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第10話「掃討」

シバリアしないのテロリストの拠点を潰しにかかる日本。

そしてそれが進むに連れファマティー教の姿が見えてくる・・・。


第10話「掃討」お楽しみください。

―――シバリア市内商業区


深夜遅くに数人の人影が、ある大商人の店舗にむかっていた。

その人影は顔を何かで黒く塗っているため、目だけが目立つ異様な雰囲気をかもしだしている。

その人影たちは手で何かの合図をすると店のドアを蹴り開けた。

と同時に円筒形の物体を放り込みドアの脇に隠れる。

直後、凄まじい光と耳をつんざく爆音がなり響いた。

「Go!Go!Go!」

初めて人影たちが声を発する。

彼等は日本外人部隊の米軍だった。

この日、行われているのはファマティー教の隠れ蓑になっていた場所を制圧するための強襲だった。

店内にいた数人の傭兵が武器を手にするが、手にしたところで米軍部隊の銃撃を受けて地面に転がる。

「クリア!」

店舗に入った所にある売り場は即座に確保され多数ある部屋を次々にクリアリングしていく。

クリアリングとは、その場所の安全を確認、確保する事で脅威を発見、捕捉した場合は即座に制圧する事だ。

そのクリアリングを行いつつ米軍部隊は地下を目指した。

ちなみに建物上部は既に他の部隊が隣の建物から侵入し制圧している。

そして地下室前に武器を持って待ち構えていたテロリストを排除すると、最初にやった様にドアを開けてフラッシュグレネードを放り込んだ。


「アーノルド少佐、目標の完全制圧を完了。我が軍は目標を支配下に置いています」

部下からの報告に被害が無かった事もアーノルドの機嫌を良くしていた。

「うむ、よくやった。捕虜は?」

別に潜伏するテロリストの場所を探す上でも情報は必要だ。

そう言う意味では捕虜は重要な情報源になりうる。

「は!6名確保、他に20名ほどおりますが、事情を知らない民間人かと思われます」

それを聞きながら、軽々しく民間人と断定出来ないアーノルドはしばらくは拘束する様に告げると無線電話を手にした。


―――シバリア市行政区


情報収集の結果を聞いた高橋はテロリストの拠点を一つ潰せた事に安堵していた。

「これで五つ目だな」

井上は広げた地図を前に赤字でバツを付ける。

今までに潰した拠点は五つ、その内、四つが商業区で一つが倉庫区だ。

「意外です。隠れるなら南の倉庫区の方が隠れるのに向いてるでしょうに」

佐藤は今回もまた商業区にあった事を疑問に思っていた。

「おいおい、隠れるに向いてるだろうが同時に一番警戒されるだろう?」

井上はそい言って笑い出す。

佐藤はそうかな?と言った表情だ。

今のファマティー教テロリストはシバリア脱出を優先している。

それなら倉庫区の方が脱出にも隠れるのにも向いてると思えた。

「相手は俺らが倉庫区が怪しいと思う事を考えたんだろうな。ただ、今の彼等に味方はいない。おかげで商業区に隠れていたのを見付けられたんだから」

そう言って椅子に深く腰かけた高橋は地図にかかれている怪しいとされる場所を見た。

「次は西の商業区か・・・」

シバリア市の商業区は東西にあり、今回は東だった。

西はやはり脱出の為に警戒しているのもあるが、その分ファマティー教テロリストも用心しているのか、見付かった拠点は一つだけだった。

「多分この西側辺りが一番居そうだな」

高橋の言葉に誰もが同じ様に考えていた。

「とは言え、捕虜にしたカーンでしたっけ?よく仲間を売りましたよね」

ファマティー教の人間は狂信者と言う印象があった佐藤は、責任者だったカーンが拠点をペラペラ喋った事を不思議に思っていた。

「俺もだ。拷問されても喋らないと思ってたぜ」

佐藤と同じく井上もそう思っていた。

だが、現実には簡単に仲間を信者の潜伏先を話していた。

おかげで捜索が楽になったが、あまりに簡単に話すのでかなり疑わしいのも事実だ。

「降伏してきた神官さんも情報提供してくれましたが、カーンて人は何か・・・」

何と表現して良いか佐藤にはわからない。

降伏してきた神官、ミラも協力的ではあったが毅然としており、また無駄に被害が出ないように頼んだりしてきていた。

だが、カーンの場合は此方の顔を伺う様に率先して情報提供していた。

誰も聞いてない事まで話すのだ。

尋問に当たった高橋と北野、アーノルドはそのカーンの様子に呆れたぐらいだ。

北野なんかは「私が会う必要もありませんよ」と言って早々に退散した程だった。


おかげで高橋が尋問をしたのだが聞いてない事まで勝手に喋ってくれる。

結果、拠点と思われる場所を幾つか特定することができ、掃討開始5日で拠点を4つ潰す事に繋がった。

残す拠点は3つにまでになっていた。

ただし、この3つまではカーンとミラの情報が食い違い、正確な場所を特定するのに時間がかかると予想された。

だが、市民からの情報が元になり、今こうして五つ目を制圧し、残る拠点は2つになった。

そう言う意味では如何に日本や北野が市民の協力を得るために苦心したのかが理解できると言える。

アーノルドら米軍ではこうは行かなかっただろう。


「まあ、彼には彼なりの考えがあるのだろう。好感は持てんがな」

興味ないとばかりの高橋に井上と佐藤の二人が顔を見合わせた。

「・・・お前は何とも思わないのか?」

井上の言葉に高橋はまるで、つまらない事を聞くな。と言わんばかりの態度だった。

「一々あんなのに構ってられる訳ないだろう。どうせテロを首謀したとして死刑だしな」

そう言って高橋は集められた情報をまとめた書類を手に残りの拠点は何処か?を考え出した。

「・・・高橋さんもああ言った人は嫌いなんですね」

小声で井上に耳打ちする佐藤の言葉に井上は頷いた。

当たり前と言えばその通りなのだが、日本人は特にカーンの様な我が身の為に仲間を売る。と言った感覚が理解できない。

むしろ憎悪の対象ですらあるだろう。

もちろん日本にもそう言った似た人はいるが、基本的にやはり好まれない。

だから高橋の態度にもうなずけるのだ。

「そんなどうでも良い事より、ミューリたちからの裏付けはまだか?」

高橋は書類を読みながら情報の裏付けに奔走する三人の事を聞いた。

真っ先にミューリの名前が出てくるあたり高橋も満更でもないのかな?と佐藤は思った。

「いや、まだ無いな」

短く答える井上に高橋はそうか・・・と言って書類に意識を向けた。


しばらく一人で書類と戦っていた高橋は一息ついていた。

井上も佐藤も他の面々も新しい情報は無いか確固で動いている。

命令しなくても率先して動けるだけの仲間に高橋は比較的楽ができていた。

もっとも、高橋自身要らぬ苦労を買ってしまう性格なので、楽になっていると言ってもその分苦労を背負いこんでしまうから仕事の総量は変わらない。

だが、高橋はふと考えていた。


(俺のせいで皆に苦労をかけてしまうな。また休暇を取れる様にしてやらないと・・・)


実際問題、一番休暇を取らなければならないのは高橋自身なのだが、彼はそこに意識が向かない。

「この掃討が終わったら申請してみよう」

高橋はそう言うと休暇の申請書類を机から取り出し書き始めた。

そんな高橋を井上が見たらこう言うだろう

「ワーカーホリックめ」

と・・・。


書き足し完了!


短くはなりましたが第10話終了です。

気付けばあっという間に10話・・・。

この調子では話数の予定をオーバーしてしまいそうw


まあ、そん時はそん時と言う事でw


では次回でまたお会いしましょう。

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