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第8話「会談」

ファマティー教側から布教の許可を求めての使者が着く。

だが、動乱の為に彼等の計画は大きく変更せねばならない事態へとなっていた。


日付が変わったので書き込みましたw


第8話「会談」お楽しみください。

―――シバリア市行政区



シバリア市を震撼させたファマティー教徒の蜂起事件は一応の終息を迎えた。

日本シバリア行政庁は集まったシバリア市民に対し「テロリストとして処理する」として今回のテロ行為に対し断固たる対応を発表した。

これによりシバリア市民は日本に更なる信頼と協力を寄せるが、日本としてはシバリア市民に暴動など起こされては堪った物ではないからであり、何も市民の為だけの理由ではなかった。

とは言え、市民がそれで納得するならそれで良い。

むしろ、日本が常に正しい訳でもないので、市民に変な先入観を持たれても困る、と言いたいぐらいだ。

何せ一応は「信仰の自由」を掲げているので宗教弾圧は避けたい。

だが、現実には完全に日本はファマティー教を敵視している。

何せ何度も暴動を起こさせたり、今回の様なテロに走られたのだ。

敵視するなと言う方が無理だろう。


そんな状況下でありながらファマティー教の総本山から会談の使者がホードラー地区に入ってきた。

一応、正式な使者であるため、レノン市を経由してシバリアへと通したが、使者の護衛の傲慢さには道中の護衛に参加した自衛官の眉をしかめさせた。

一応使者としてきたハウル・タウンゼン司教は使者としての態度は崩さなかったものの、その護衛に就いていた聖堂騎士たちはあからさまに自衛官を侮辱する態度をとっていた。

その話を聞いた北野はファマティー教側が本気で交渉する気があるのか疑っていた。

ともあれ、動乱の影響収まらぬ中での会談は始まる。


会談場所は旧王国の貴族屋敷を使った。

迎賓館は手頃な建物としてカトレーアの邸宅にしてしまっていたからだ。

そして、会談はファマティー教からの日本国内(ホードラー、アルトリアを含む)での布教の要求からだった。

「・・・と言う訳で信仰の自由を認めた日本国内での我等の布教を認めて頂きたい」

ハウルは丁寧かつ、礼儀を尽くして要求を伝えた。

しかし、ハウルの目にはどうも芳しくない感じに見受けられた。

「・・・布教、と申しましたが現状では無理としか言えません」

北野の言葉にハウルは目を剥いた。

当初の話では拒否されない、もしくは出来ないとなっていたからだ。

もちろん、日本側もテロの国内侵入を警戒していたが、下手したら拒否は不味い事になるのでは?と考えてはいた。

しかし、ここに来て先日の蜂起事件だ。

断る絶好の理由を得たとも言える。

「何故ですか?信仰の自由は嘘なのですか?」

内心慌てても外事交渉を任されてきたハウルは表情を崩さない。

しかし、返ってきた答えは十二分にハウルを絶句させる。

「つい先日、ファマティー教司祭カーン・クラリアンによるテロがあったばかりですからね」

北野は内心同様に冷たくいい放つ。

カーン・クラリアンは戦死したハーマン大司教の次席としてこの地にいた司祭だ。

その司祭が蜂起し、民間人を含む多数の死傷者を生んだ事実を突きつけられハウルは目眩を覚えた。

「如何に信仰の自由を認めていてもテロ行為を行う恐れがある以上は宗教として認められませんな」

テロ、と言われても何を指す言葉か分からないハウルはテロについての説明を受けた。

その上で印象は最初の頃より最悪になっている事に気付いた。

「それはカーン司祭一人の独断で・・・」

額に汗を浮かべながら弁明するが、北野たち日本の外交官は表情を見せない。

「独断かどうか等ではありません。テロ行為が起きたのは事実であり、我が日本はファマティー教がテロを行わない確固たる証明がない限りはファマティー教を宗教として認めず、布教の為の入国を拒否します」

はっきりとした北野の言葉にハウルは血の気が引いた。

これでは布教により政治中枢を教化する話ではなくなってしまう。

「すべてのファマティー教がテロとか言うものを起こす訳ではありません」

ある意味、正論ではあるが、ある意味では詭弁でもある。

実際に何度も暴動を扇動したりテロを行います犠牲者が多数出ている状況で、ハウルの回答では説得力に欠ける。

「たしかにそうでしょう。ですが、我々はファマティー教がテロを行うところしか知りません。故にファマティー教はテロを行う可能性がある。ならば治安維持や市民の生活のために入国拒否しても問題はありませんよ」

かなりの強弁ではあるが、今は有効に使える。

北野は元から許可する気がないのもあり、正当な理由としてファマティー教の責任ある立場の人たちが起こした暴動やテロなどを事細かに伝えた。

これにはハウルだけでなく追従していた司祭や神官も驚愕していた。

「お分かりですか?我々は貴殿方を信用出来ないのです」

内心、北野は信用など元からないがな。と思ったのは秘密だ。

「・・・それらの恥知らずには破門するしかありませんね」

ハウルは布教を約束させねばロシュアンが納得しないのを知っていたので、何とか布教の手立てを作ろうと必死になっていた。

「破門は当然でしょうね。聖職者にあるまじき行為ですから。が、それとこれは別問題です」

無表情かつ冷たい北野にこのままでは布教なんて不可能な事をハウルは知った。

こうなった最大の要因であるカーンを呪うしかない。

何の為のロシュアンからの書状だったのか?

ハウルはカーンが何を考えてロシュアンの足を引っ張るのかが分からなかった。

「・・・どうすれば宜しいのでしょうか?」

布教への糸口を掴まんとハウルは北野に問いかける。

「私たちに聞いてどうするのですか?貴殿方が考えてやるべき問題でしょう?その上で恥も外聞も名誉も捨てれるならばお答え致しますが?」

明らかに挑発だ。

しかし、北野自身に挑発のつもりはない。

要は拒否の姿勢を崩さない態度の現れでしかなかった。

「・・・ごもっともな話です」

ここまで言われては思い付く方法はただ一つ。

教会の最高責任者たる教皇の謝罪と再発防止の確約しかない。

北野たちは暗にそれを求めていると判断した。

だが、現実的に不可能な話だ。

教会の権威を失墜させる事になり、ファマティー教の下で大陸の平和の均衡を破壊してしまう。

そうなればファマティー教は今までの押さえつけの反動を受けてしまう。

最悪、複数に分裂しかねない。

それは避けねばならない。

「分かりました。今回の事も含め、教会に持ち帰り再度の交渉を求めるしかありませんね」

ハウルは今回の交渉では絶対に布教は認められないと判断した。

このまま交渉を続けても「認めて!」「だが断る」の堂々巡りにしかならないのは目に見えていたからだ。

「一応、事前に通達し許可を求めて頂ければ使者の入国は認めます。ただし、あくまでも交渉の為の入国でありそれ以外の活動は禁止します」

立ち上がった北野はそう言って手元の資料を集め議場を後にしようとした。

「もし、これが守れないならば最悪、貴国との交渉は一切不可能になりかねませんよ」

北野の警告にハウルは冷や水を浴びせさせられた様になっていた。

「・・・必ず伝えます」

それだけ絞り出すとハウルは椅子に崩れ落ちた。


北野との交渉が不発に終わり、ハウルはロシュアンへの報告をどうすべきか?と馬車の中で考えていた。

その時、シバリア市民の目を見た。

誰もがハウル一行を敵を見る目で見ている。

「これは・・・不味い事態になってしまった」

一人の無能によりファマティー教は予定を大きく変えねばならなくなってしまった。

ハウルは、これはファマティー教側に取っても致命的な問題になる。

それを把握して再度の交渉を行う事になると考えていた。


またまた悩みつつも投稿。


うーん、ちょっと強硬すぎるかなぁ・・・。

でも、最悪の行動を取られてきたならこうもなるよなぁ・・・。

と思いながらです。


まあ、ここまで来たら変に修正しないで「暴走」するしかないのですがねw


では今回はここまでです。

次回でお会いしましょう。

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