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自由研究の冒険  作者: 56号
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終話 紅葉の、その向こうへ

秋の夕暮れ。

風に舞う落ち葉が、歩道をカサカサと転がっていく。


神谷家の居間では、父・五郎がいつものように座卓にあぐらをかきながら、ビール片手にニヤニヤしていた。


「なあ、諒一――紅葉に行こうようって言ってるのは……前田耕陽なんてな……!」


どや顔を浮かべたまま、五郎は満面の笑みで息子の反応を待つ。


だが、そのときの諒一の目が、変わっていた。


もう、そのダジャレに微笑んでみせることも、呆れてツッコむこともなかった。

ただ静かに、教科書を閉じ、筆箱を整理して、言った。


「ごめん、ちょっと勉強の続きあるから」


五郎は一瞬、言葉を失いかけたが――

すぐに何も言わず、苦笑してグラスの中身を傾けた。


(……成長ってのは、寂しいもんだな)


だけど、わかっている。

あの夏、息子は何かを知ってしまった。

そして、何かを選んだ。


諒一の背筋は、かつての五郎によく似ていた。

けれど、その瞳に宿る光は、どこかそれ以上に遠くを見つめていた。


父と子。

真実と正義。

そして未来。


この国に、もし闇があるのなら。

少年はきっと、光を手にしてそこへ向かうだろう。


――おわり。

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