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触らぬ神に  作者: 梅酒
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問題児 1

問題児と言われる転校生の説明

その日は土砂降りだった。

 僕らのクラスはその日体育の授業がマラソンだったため、この土砂降りのせいでそのマラソンが中止になりクラス全員で大喜びしたのを覚えている。

 ただ、その日の先生達の様子がとんでもなくおかしかったのだ。

 たまたまその日の朝、僕は職員室の前を通った、ちょうど職員会議だったのかは分からないがいつもより、不気味な程に静かだった、いや職員会議でもあそこまで静かにはならないだろう。

 しばらくして授業の準備なのか、朝のホームルームの準備なのか、職員室からぞろぞろと先生達が出てきたのだが、


「まさか、本当にいるとは...。」


「しかも、私たちの学校に来るとは...。」


「でも、給料はとんでもなく上がるんだよな...。」


 と顔面蒼白の状態でブツブツ言いながら自分達が担任をしている教室に向かって行った。


「何か、あったのかな...?」


 と僕は職員室の中を覗き込んだのだが、僕らの担任、秋園先生が教頭と何か話し込んでいた。


「教頭先生、その転校生の話なのですが...」


「わかっている、ただ私も半信半疑だったんだこの話は...」


「まさか、本当に実在しているとは...。」


「でも、あの子達になんと言えば良いのか...。」


 なぜか秋園先生は、半泣きだった。

その時の僕は「転校生」が来るというだけで泣きそうになる理由、そして他の先生達までもが、その「転校生」に怯えている理由が意味不明だった。だが、次の教頭の言った言葉に僕は戦慄してしまった。


「まさか、前の学校の教師と学生を30人を死なせてしまうとはね...。」


僕は教頭の言っている意味が分からなかった。


「やめてください...!」


 と秋園先生は怯えている様子だった。

正直、僕は職員室に入ろうか迷ったのだが聞いてはいけないことを聞いてしまった感じだったので僕は教室に戻った。

 その後はとにかく先生達が不気味だったのだ、朝は死人のような顔面蒼白でだったが(教職という職業柄過酷というのも関係しているかもしれないが)、授業、休み時間その他の時間も含め、「いつも通り」だったのだ。

 この「いつも通り」という感覚に対して僕は人生で初めて恐怖を感じた。


「おーいエリト、次の体育の授業マット運動だって早く着替えて行こうぜ...!」


「そーよ、男子が着替えるの遅いからいつも私たち女子が授業の始まりギリギリになっちゃうんだから早く着替えてよね...!」


「あ、うん、わかってるよ...。」


「おーいい、エリト~、テメエ今日元気無さすぎだろぉー...。」


「少し考え事があってね...。」


 朝、おきた出来事クラスメートや他の生徒、先輩等には言っていないと言うよりかは言ってはいけないが正解かもしれない、自分自身そう感じていた。会ったこともない、その「転校生」に対してもなぜか、先生達以上に恐怖を感じていたのだ


「おーい、エリト早くしろよ...。」


 クラスメートから注意され、急いで着替え体育館に向かおうとした時だった。


「えーと、今日の体育は中止です...。」


 担任の秋園先生が教室に入るなり、顔面蒼白状態プラス声をとても震わせてながらそう言った。


「「転校生」について少し君たちに話さなければなりません...。」


「「えっ」」


 クラスの皆が顔を合わせた。


「えっ、イケメンですか...!?」


「女子ですか~...?」


 皆が「転校生」に対して期待を膨らませていた。


「静かに...!!!!!!」


 秋園先生の声が教室中に響いた。

 担任の秋園先生は普段、学校で一番優しく怒らないそして若くて美人で学校内ではとても有名な先生だった。

 ただその時はクラスの皆が戦慄と硬直を同時に感じたと言ってもよい、秋園先生の目が血眼で鬼と不動明王をあわせて割る二をしたような顔付きだったのだ。


「ごめんなさいね、大きい声を出して、その転校生は教職の世界でとても有名な人なのです というよりはそういう方もいると言った方が正解でしょうかね...。」


 そしていつも通りの顔付きに戻った先生


「朝、教頭先生と喋っていたのはその「転校生」についてですか...?」


「あら、稲賀エリト君、朝職員室にいたんですか...?」


 しまった...。

その日、一日気にしていたから、ついつい聞いてしまった...。

 クラスの視線が僕に集まる...。


「いえ、朝、偶然職員室の前を通りましてね、教頭先生と秋園先生が会話していたのを見ましてね...。」


「それで、盗み聞きしたと...?」


「まぁ、ひらたく言えばそうなりますね...。」


「その事は、皆に言った...?」


「いえ、何か言っちゃいけなそうな気がしたので...。」


「そう、言っていないのね...。」


「じゃあ、その「転校生」が前の学校でその学校の生徒と教師を合計三十名を間接的に殺している事も...?」


 先生は怯えていた、声を震わせながら僕を呪い殺すかのようにそう言った。

 クラスの皆は先生が何を言っているのか分からないようなポカンとした顔だった。すごい気持ちが分かるが、正直その時の全員の顔がとても面白かった。

 その時、クラスの誰かが先生に聞いた。


「アハハ、それどういう事ですか?先生、漫画の読みすぎですよ...。」


「正直、教師の仕事をする前までは、先生も信じられませんでしたよ...。 ただ教職の世界に入り散々先生の先輩方、大学の教授までもが「それ」には気を付けろと言うんです。さっきも言いましたが教職の世界では有名な人というかそういう方もいると...。」


「「それ」ってなんです...?」


「「怪異型問題児」とでも言いましょうかね...?」


「間接的に殺したってまさか...!!!」


 秋園先生に「それ」いや「怪異型問題児」について聞こうとした時


「いやいや、信じられないですよ...。」


「それな...。」


「エリト君、マジになってちょっとキモイ...。」


と一部のクラスメートが「それ」について否定的なこと言ってきたのだ。


「ああ、皆さんはあまり「怪異型問題児」について信じていないようですね...!!」


 突然、先生が不気味な程の笑顔になった。


「フー、「怪異型問題児」って言うの面倒なので「問題児」と言うようにしますね...!!」


 何か秋園先生の様子がおかしい、何かとても不気味な程嬉しそうに笑顔で突然奇妙なダンスをしはじめたのだ。


「キャハハあ、そいつがさー、アハハー、校長を「怪異」で殺したんだって~.....!!!!!」

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