16 往復目標 ー 林月編
6/2 17:10 物語の一部がなぜか消えていることに気づいたので、緊急で修正します(。•̀ᴗ-)✧
……
「……まったく、何してるのよ、早く行くよ!」
前を歩くフィーナがそう言った。
林月は手に持ったタバコの箱を見つめ、そのパッケージの警告文を見て、幼い頃のことを思い出した。
父親はいつもタバコを吸っていた。妹は呼吸器系に問題を抱えていたのに、父はまるで気にせず、妹は毎日、咳に苦しんでいた……
そんな記憶の中、自分もタバコを買っていたことを思い出すと、何とも言えない嫌悪感がこみ上げてきた。
あんなに嫌っていたのに……
「ねぇ、今から何食べるの? 林月、食べたいものある?」
フィーナが林月に向かって言った。
道沿いに並ぶ大小様々な店を見渡しながら、もし本当に行きたいところを言うとすれば——風俗店だな。
中はすごく面白そうで、ソープランドとか、ちょっと良さそう!!
「それともバイキングにする? ねぇねぇ……林月、何食べたいのよ!」
フィーナが大きな声で言った。
「うわっ……ああ……ごめん、ご飯って言えば、まだ店でラーメンとか回転寿司とか食べたことないな……
じゃあ、回転寿司にしようか! さっきの男も言ってたよね、近くに美味しい寿司屋があるって。行こう!」
林月は嬉しそうに言った。
賑やかな通りに差しかかると、そこには仕事帰りの人たちがたくさんいて、酒を飲みながら服を脱いだりしていて……
そのまま警察に連れて行かれた。
ちょうどこの時間帯が一番人が多い。通勤帰りのピーク時間、学生たちも放課後にご飯や遊びに来ている……
学生時代のことを思い出す。みんな放課後、楽しそうに一緒に帰って、ご飯を食べてたっけ。
前を歩く学生たちは楽しそうに集まり、片手にカバン、もう一方にはタピオカドリンクを持って歩いていた……
その光景に、林月の心にはほんの少しの羨ましさがこみ上げてきた。
なぜなら、自分の学生時代、クラスで誰一人として話しかけてくれる人がいなかったから。
かわいい女子なんてもってのほか、クラスの男子ですら誰も関わってこなかった……
グループ分けのときも、どこにも入れなかった。人間関係が悪くて、よく暴力や暴言を吐いてたやつですら、まだグループに入れてたのに……
なんていうか——完璧なボッチだった。
先生ですら自分のことを覚えていないレベル。
中学の卒業写真や寄せ書きのときも、自分の存在なんてなかった……
確かにその日、俺もちゃんと登校してた。ただ、教室でうっかり寝てしまっていて。
クラス全員がそのまま俺を放置して撮影に行って、先生すら俺のことを思い出さなかった。
目を覚ました時には、すでにみんな写真を撮り終えていた……
寄せ書きなんてもっとひどい。卒業アルバムにサインしてくれたのは、担任の先生以外、一人もいなかった。
クラスメートが書いてくれなかったわけじゃない。
書くのが嫌で、わざわざ他の場所に逃げていったんだ……
卒業旅行でも、グループ分けに入れず、最後はクラスの中で他にも余った人たちと無理やり一組になった。
けど、小グループでの活動になると、みんな勝手にどこかへ行ってしまって、俺を待つことすらしてくれなかった……
食事もいつも一人だった。父親は飯代すらくれず、俺はコンビニでバナナを食べながら、他の奴らが楽しそうに遊んでいるのを眺めるしかなかった……
寝る時もそうだった。あいつらにベッドを全部取られ、仕方なく俺は床に寝た……
あの時、行かなきゃよかった…………
中学さえ終われば、アニメの主人公みたいに、もっと友達ができると思ってた。百人くらいの友達を作れるかも、とか。
それが無理でも、ハーレムでもできるんじゃないかと夢見てた……
でも現実は、いつだって逆だった。
高校の進学先は、父親に無理やり志望を書かされて、学費が安いという理由で……
ボロボロの校舎に通うことになった。
「ここから新しい人生が始まるんだ」と思っていたのに、そこは不良、暴走族、ギャングばかりの学校だった……
入学してすぐ、俺は持っていた金を全てゆすられ、携帯は叩き壊され、カバンの中の教科書は真っ二つに裂かれた。机の引き出しも、カバンも、下駄箱も、生ゴミやらゴミやらで埋め尽くされた……
毎日のようにトイレで待ち伏せされて、頭を小便器に押し付けられた……
机や椅子はバットで叩き壊され、アニメグッズはライターで燃やされた……
そこでは、何をしても絡まれて、煽られて、殴られた。
そして、あの時、どこにでもいそうな少年がいた。名前は——『林宥』。
そいつが、俺の人生を終わりなき地獄に変えた。
そいつは、校門や教室の壁に、俺の悪口をびっしりと書き殴った。
「女子にセクハラばっかしてる」とか、「クラスの誰々が好きらしい」「学校一の美少女に惚れてるらしい」とか、大声でクラス中に言いふらした……
数ヶ月も経たないうちに、ハーレムどころか、友達どころか、クラスでの生き方すら分からなくなった。
男子たちは、俺が誰を好きかを知ると、みんなして殴りかかってきた。その女子の彼氏たちも同じだった。
毎日、囲まれてはボコボコにされた。
ある夜のこと、林宥に外へ呼び出された。
あいつはカッターを俺の首元に突きつけてきて、こう言った:
「これからは、俺の言うこと聞け。嫌なら死ねばいい。」
その時、一人の可愛い女の子が、道を歩いて通りかかった。
林宥は冷たく笑って、俺に言った。
「行って、その女の子を蹴ってこい。」
俺は、そんなことしたくなかった。
けど、林宥の脅しと煽りに負けて……やらざるを得なかった……
結局、その女の子の姉にボコボコにされた。
そして、俺が一番絶望したのは——その女の子が、俺の大好きなコスプレイヤーの女ネットアイドルだったということ。
彼女は俺を汚らわしそうに睨みつけ、叫んだ。
「ゴミ!死ねよ、マジでなんで生きてんの!?キモッ!変態!クズ!ゴミ!!」
彼女は俺を地面に押し倒して、罵声を浴びせながら怒鳴り続けた。
その時になってようやく、林宥が出てきた。
嘘くさい笑みを浮かべながら、彼はその女ネットアイドルにこう言った:
「……ああ、ごめんね。この子、うちの学校のやつでさ。こういうことばっかするんだよ。俺が代わりに謝るから……本当にごめんね。うちの学校に、こんな奴がいるなんて。」
彼女は冷たく言い捨てた。
「アンタの学校、ちゃんとこういうゴミを管理した方がいいよ……まあ、アンタはまだまともな方だけど。」
彼女が去った後、俺はもう二度と顔を上げることができなかった。
本当は、あの女の子を蹴ったのは俺じゃない。あの一蹴りは、林宥がやったんだ……
あの日を境に、林宥はますますエスカレートしていった。
道で子供を見かければ、俺に「蹴れ」と命じてきた。
ホームレスが寝ていれば、「蹴ってこい」と言う。
盲目の人が通っていれば、「突き飛ばせ」と強要してきた。
俺は……もう全部、限界だった。
でも、少しでも言うことを聞かなければ、リン・ヨウにボコボコに殴られる。
その後、両親は激しい口論の末、離婚した。
そういえば、母はあの時まだ若かった気がする。
「夢を叶えるために出ていく」みたいなことを言っていたが、彼女の顔も声も……もうほとんど思い出せない。
父はというと、多額の借金を背負って、最終的にビルから飛び降りて自殺した。
そのことで、俺はその学校からも自然に離れることになった。
正直、自分でもよく分からない。なぜあの頃、そこまでして学校に通い続けていたのか……
人生も家庭も、すでにボロボロだったのに……
その後、弟は家庭環境のせいで、すべてを俺のせいにして責め立て、非行に走り、本物のヤクザに入ってしまった。 いわゆる「東卍」みたいなヤンチャなグループじゃなく、「黒の組織」みたいなガチの危険集団だった……
妹はというと、なぜか強姦された上に殺されてしまった。未だに犯人は見つかっていない…… もし工藤新一みたいな友達がいたら……せめて、真犯人を見つけ出せたかもしれないのに。
俺も、もうその一連の出来事のせいで学校には行かなくなった。 リン・ヨウのその後? あいつがどうなろうと、俺にはもう関係ない——というより、関わる気もない。
……
「何してるの〜?リン・ユエ?ひとりでブツブツ喋って……お腹でも痛いの?」フィーナが言った。
リン・ユエは顔を上げ、彼女の楽しそうな笑顔を見て、心の中の黒い記憶を自然と吹き飛ばした。
「え?ああ……なんでもないよ。行こう、フィーナ!」リン・ユエは笑って返事をした。
「そう?じゃあ、ちょっとここで待ってて。実はお腹痛いのは私なの〜トイレ探してくるから、ちょっと待っててね〜」 フィーナは笑顔でそう言い、小走りで去っていった。
リン・ユエは彼女の後ろ姿を見送りながら、近くのベンチでも探して座ろうとした——そのとき。
前方に、美しい女の子が倒れているのを見つけた。彼女の隣にはメガネをかけた太った男が立っており、その隣にはタバコを吸うもうひとりのメガネ男がいた。
タバコのメガネ男が突然、太った男の襟首を掴み、持ち上げて怒鳴った——
「このクズ野郎、また可愛い子を蹴飛ばしたのかよ!?お前は本当に、可愛い女見ると発情するよな?」 そう言って、笑いながら。
リン・ユエははっきり見た——そのメガネ男はリン・ヨウだった。 あいつはまた新しい「おもちゃ」を見つけて、いつものように、相手を嘲り、責め立てていた。
倒れていた女の子は、どうやら激しく転んだようで、脚から血が滲み出ていた。 リン・ヨウは止まることなく、その太った男の頭を地面に叩きつけた。バキッと裂けるような音がした。
俺の目の前の光景……この感覚は何だ……
まるで、過去の自分を見ているようだった。俺はその男の状況に、自分自身を重ねていた。
砂ぼこりが舞い、時間があの頃へと戻っていくかのように。
リン・ヨウは女の子を見つめ、そして太った男に睨みを利かせたまま、彼の髪を掴み——
「やめろ!それはあの男のせいじゃない!」俺は耐えきれず、彼らの前へと踏み出した。
女の子を抱き起こし、そしてリン・ヨウを睨みつけ、歯を食いしばって言った:
「もうやめろよ!他人に自分のクズ行為を押し付けるなよ!」
俺は指を突きつけ、声を震わせながら叫んだ——
「気持ち悪っ……あんたたちグルなの!?警察呼ぶからね!気持ち悪いバカども!!」
その女子が突然怒鳴りながら私を突き飛ばし、怒りに満ちた顔でその場を立ち去った。
私はバランスを崩して地面に倒れ、足を硬い地面にぶつけてしまった。皮膚から血がにじみ出る。
「おやおや……これはあの時休学した変態バカクラスメートじゃないか?なんでここにいるの?恥知らずだね~」
リン・ヨウが煙草を吸いながら、いつものように冷笑を浮かべた。
「そうかもな。でもそれをどう思うかはお前の勝手だ。」私は怒りを込めて返す。「さっさとその子を離せよ!こんなくだらなくて幼稚なこと、もうやめろ!」
リン・ヨウは頭を少し下げ、私の言葉には答えず、そのまま太った男に向かって言った。
「そうか?ほんとに俺と遊びたくないの?俺はお前の“友達”だぜ~」
そして笑いながら続ける。「もしまだ友達でいたいなら──目の前のゴミをぶん殴れよ!」
「バカ、そいつの言うこと聞くな。もし本当に俺を殴りたいなら、それでも構わない……。だって俺も昔は同じだった。選ぶ自由もなく、ただ従うしかなかった。来いよ、俺は抵抗しない。」
リン・ユエは太った男を見据え、低く、でも確かな声でそう言った。
「バキィ!!」
次の瞬間、リン・ユエの顔に拳がめり込んだ──太った男が迷いもなく殴りかかってきた。リン・ユエの口元から血が溢れ出る。
続けざまに、もう一発。今度は右目に強烈な一撃。
視界がぼやけて、頭が鳴り響く。目の前がかすんでいく。
「どけよ……リン・ヨウを馬鹿にしやがって!あいつは悪いやつじゃない……女のことを俺に教えてくれたんだ……!」
太った男が興奮気味に叫びながら、さらに言葉を続けようとしたとき──
リン・ユエが手を上げてそれを制した。
「……そうか、それならもういい……もう十分だ……」
リン・ユエは荒い息を吐きながら、伏し目がちに呟く。
──やっぱり、俺は勘違いしていたのかもしれない。この世界は、最初から俺の思い通りになるようなものじゃなかったんだ。
他人の思いを尊重しなきゃ……そう、だよな……?
リン・ユエがその場を去ろうとした瞬間、リン・ヨウが冷たく笑いながら声をかけた。
「おい、バカ。どこ行く気だよ?これで人生終わりか?こっち来いよ。戻ってくるなら、女の子も紹介してやるぜ~」
言い終わるや否や、リン・ヨウは容赦なくリン・ユエの腹に蹴りを入れた。
「誰がイキっていいって言った?てめぇは誰だと思ってんだよ!?このクソデブ、こいつを漏らすまでぶん殴れ!そしたら可愛い子、紹介してやっからよ!」
リン・ヨウが怒鳴りながら、笑い声を上げる。
リン・ユエは目の前の光景を見つめながら、過去を思い出していた──
──やっぱり俺は、甘かったんだ。
どんな人間も、結局はその人間にふさわしい場所にしかいられない。
女の子と仲良くなることなんて無理だ。いや、嫌われないことさえ……できない…… (リン・ユエの脳裏には、過去の記憶が蘇る──リン・ヨウに命じられて他人を殴り、嘲笑い、そして周囲から嫌われていた自分の姿……)
太った男が再び手を伸ばし、リン・ユエの襟元を掴んで殴ろうとした──
「ドンッ!!」
だが、男の腹に一撃の蹴りが入り、数メートル吹き飛ばされた。鼻血を流して倒れる。
リン・ユエの隣に立っていたのは、トイレから戻ってきたばかりで、手もまだ濡れたままのフィーナだった。
「まったく……あんた誰?トイレめっちゃ分かりにくいじゃん!先にご飯食べときゃよかった……飲食店ならトイレもあるでしょ?」
フィーナは不機嫌そうにぼやいた。
フィーナの姿を見て、リン・ユエは驚きと緊張でいっぱいだった──彼女がリン・ヨウの世界に巻き込まれることを恐れていた。
止めようと手を伸ばすと、逆にフィーナに手首を掴まれる。
「……何してんの?本当にあんたが全部やったの?いじめたのも……」
フィーナは真剣な表情で問いかける。
「ち、ちがう!全部俺じゃない……ただ、俺はもう──」
言葉の途中で、フィーナが彼の言葉を遮った。
「なら、それでいいじゃん。」彼女は目を強く見つめて言った。
「間違ってないのに、なんで全部背負おうとしてんの?」
「怖いんでしょ?うん、怖がってる。でも、それこそが一番悲しいんだよ。」
「その恐怖は、あいつじゃなく──あんた自身が生み出したもの。」
「私はただの傍観者。全部を知ってるわけじゃない。でもだからこそ見えるんだよ……本当に怖いのは、自分の中の“自分”なんだって。昔の私と同じじゃん、ねぇ……リン・ユエ!!」
フィーナは笑顔で言った。
リン・ユエはその言葉に衝撃を受け、言葉を失った。
そのとき、リン・ヨウが蹴りを入れてきたが、フィーナは軽くそれをかわした。
「もういい加減にしなよ……だからあんた、女の子に嫌われるんだよ?まあ、例外もいるかもだけど、私は無理。」
そう言って、フィーナは彼の腹に蹴り、続けて顔面にパンチを叩き込んだ。
「ぐはっ──!」
リン・ヨウの顔は歪み、吹き飛ばされて地面に倒れた。
怒りに震えながら地面の石を拾い、近くを歩く一人の少女に向かってそれを投げつけた!
「バカ!何してんの!」
フィーナが叫ぶ。
「ピタッ!」
その石を──林月が受け止めた。
少女の前に立ちふさがっていたのは、リン・ユエだった。
リン・ヨウは衝撃に目を見開いた。そして、フィーナが一歩前に出て、彼の前に立ちはだかる。
「誰があんたに、他人を踏みにじる権利を与えた?この世に、蔑まれていい人間なんていない。みんなそれぞれ苦しみ、悩み、戦ってるのに──なんであんたみたいな歪んだヤツに価値を決められなきゃいけないの!?」
そう言い終えたフィーナは、リン・ヨウの目元にもう一蹴りを叩き込む。
そのとき、あの少女の姉がやってきた。
そしてリン・ユエは気づく──その姉こそ、かつて彼が一番好きだったコスプレの女ネットアイドルだった!
あの頃、ボロボロに殴られて逃げようとしたあの瞬間……さっきまでリン・ヨウに絡まれていたあの少女が戻ってきて、もう一人の男子を連れてきた。
「この人です!この人も一味です!」
彼女がリン・ユエを指差して叫んだ。
その女ネットアイドルも彼を見る。そして思い出す──妹をいじめた張本人だと……
リン・ユエの心に、恐怖と混乱が押し寄せる。
「やめてくれ……それは、俺じゃない……!」
叫んだが、恐怖で声がかすれていく。
隣の男子がリン・ユエに殴りかかろうとした瞬間──
フィーナがそれを止めた。
彼女は背中越しに囁く。
「そろそろ、終わりにしよ?お腹すいたし……それに──あんたが『自分じゃない』って言い切ったなら、できないことは私がやってあげるよ。」
そのとき、さっきの太った男が前に出た。
「みんな、もうやめてくれ!頼むから!」
彼は大声で叫び、そしてリン・ヨウに命じられていたことをすべて暴露した。
リン・ユエもまた、勇気を出して過去の出来事を語った。
最後に──あのネットアイドルは、自分の妹を救ってくれたリン・ユエに感謝し、一緒に写真を撮ってくれた。
リン・ヨウは──警察に連れて行かれた。
その後のことは、私にはわからない……
*
「はぁ~お腹ペコペコ~!回転寿司行こっ!」
フィーナが楽しそうに言った。
リン・ユエはフィーナを見て、つい笑みがこぼれた。
くるくる回る寿司皿を眺めながら、なんだか不思議で面白くて、目が離せなかった。
「……まさか、回転寿司って初めて?」
フィーナが首を傾げて聞く。
「うん……実は、寿司そのものが初めてで……回転寿司なんて、なおさら。」
リン・ユエは照れくさそうに頭をかきながら答えた。
「へぇ~じゃあ、美味しいネタ教えてあげよっか?」
そのとき、隣に座っていた女ネットアイドルが、笑顔でそう言った。
リン・ユエは赤面しながら彼女を見て、慌ててうなずいた。
「それと、食べ終わったら、服買いに行こうよ!」
フィーナが急に提案する。
「うふふ~今流行の服が知りたいなら、私に任せて!」
女ネットアイドルが自信満々に言い添える。
リン・ユエは二人を見つめ、手をぎゅっと握る。胸の中の感情が溢れていく。
──これが、俺の人生初めての「誰かと一緒にご飯を食べる時間」なんだ。
心の奥から湧き上がるこの気持ち……ほんとうに特別で……特別で……
ははは……
今回の話で起きたこと全部、実は俺──林月が昔のことを思い出してる途中での出来事なんだ。
そのうち半分くらいは、作者っていうか、「小泉」ってやつ自身の体験らしいからさ。
だからまあ……ある意味、これは実話ってやつかもな、はは……