表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

2-3.クリスの決意

クリスの決意 デイジー


 グラハム商店のご家族に挨拶に来ました。着くと応接室に通されました。

「婚約者のブライス伯爵の次女、デイジー嬢です。」クリス様から紹介されました。

「デイジーとお呼びください。よろしくお願いいたします。」

「父のジョージ・グラハムは知ってますね。」

お互い礼をしました。

 「化粧品をお届けの際に、お会いしましたね。」養父から話かけられました。

「はい。確かに、そばかすが薄くなってきたような気がします。」

「それはよろしゅうございました。あれは、クリスが仕入だした物なのです。」

「まあ、そうでしたの。」

「近所に悩んでいる女の・・・女性がいてね。」とクリス様。

「プレゼントしたんですね?」ちょっと妬けるかしら。

「まあ、そうなんですが、効くようだったら広めてくれ、と渡したので試用依頼ですね。」

冷静に返されました。

「そうですか。」私が納得したのを見て。

実母アイリーン様、弟君ジョン様を紹介してもらいました。

 実母様はクリス様と髪と目が同じで、弟君は養父様に似ていました。

アイリーン様が真先に話されました。「クリス、デイジー様にお話する事があります。二人だけにしてください。」

「はい。」

 呼び捨てですよね。こんな事で義母オードリー様との違いがわかるなんて。


 アイリーン様は、三人が部屋を出たのを確かめ。「デイジー様、クリスと婚約を決意していただき、ありがとうございます。」頭を下げられました。

「いえ、クリス様が良い人だからですわ。」

「クリスを、あのような容姿にしたのは私なので、たいへん心配していたのです。」

「え?」食いしん坊だから、じゃないんですか?

「クリスは、前伯爵の血を色濃く引いているのです。」

あの肖像画の?そうかしら?

「伯爵様と似ている事を気づかれぬよう、わざと太らせたのです。」

そんなに似てたのですね?

「この話は伯爵家に行く事になった際に、クリスに打ち明けました。」

聞いてないですよ。

「あの子は、きかっけはそうでも、取り扱う食品を食べまくったのは自分だから、と言ってくれました。」

 クリス様ならそんな事を言うだろうと、納得してしまいました。



 「もう一つ。クリスを、どのように伯爵家を継がせるようにしたのかをお話します。オードリー様から、いきさつを聞かれておられますね?」

「はい。」オードリー様は別の人からと言っていたけど、説得した本人に頼まれたのね。


 アイリーン様が話始められました。

 オードリー様は子供が生まれず病弱になられたので、クリスが伯爵家を継ぐ事態が考えられました。

 私は、そんな日が来ない事を望みつつ、その時がきたら、伯爵の血を色濃く引くクリスが継ぐべきと思いました。

 私は、伯爵に感謝しているのです。放り出して終わらせられるものを、こんな素晴らしい家庭を与えていただけたのですから。

 オードリー様の事も、世継ぎを産まないままの奥様として、どのように扱われるか心配でした。

 夫は、私の思いを理解してくれました。

 グラハム商店は貴族様との取引もあったので、クリスが貴族様との相手をできるように力を入れました。でも、伯爵の血を引いている事を気が付かれる事を恐れ、キングストン家には出入りさせませんでした。

 そして、その日が来てしまいました。私はクリスにこの話をしました。


「私は夫に引き止めても良いと言って、その時にどう言うのか確かめませんでした。」


 養父様は、次のように話したそうです。

 私は、お前の事を離したくない。でも、伯爵家を継いで欲しい。

お前なら、グラハム商店が相手をするよりも多くの人を喜ばせ、伯爵家を繁盛させられる。それだけの素養は持たせた。立派な伯爵になってくれ。


「クリスは、夫の言葉に動かされたようでした。」

「"僕が父さんの子ではないらしい事は、気づいていました。僕の運命がそうで、多くの人の役に立つのなら、伯爵になります。"」クリスはそう決意したのです。


「アイリーン様の願いも、クリス様に届いていますよ、オードリー様をとても大切にされていますから。」

「あの子、オードリー様とベッタリなんですって?」

「はい、クリス様はマザコンなのかと思いました。」

「まあ、ホホホホ。」アイリーン様は、今でも気品を感じる。カワイイ系のオードリー様とは、違うタイプのお母様だ。


「デイジー様、クリスの事よろしくお願いしますね。」

「はい。でも、クリス様は今のような肝心な事を、私に話してくれませんでした。」しゅん。

「伯爵の血を引く者が、伯爵家を継ぐのは当然だからです。経緯が特殊故、決意させた側から、お話させていただきました。」本人からは、話し辛いだろうということね。

「はい、わかりました。」


 「あの子は最近、自発的に決意を新たにしたそうですね。」

「・・・聞いてません。何かあったのでしょうか。」

アイリーン様は何か、意外に思われたようでした。「婚約されましたよね?」にこ。

!!赤くなってうつむく。最近こんなのばかり。私ってニブイ子だったのでしょうか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ