第四章 番外 ゴロモの売り先 4-1.グラハム親子
番外です。クリスの周りからどう見えたか、という話です。
グラハム親子 ハーシー
まだタキノ村にいる間にグラハムの旦那からの手紙を受け取った。キングストンに用ができたので、宿泊させて欲しいという内容だった。
あちらの日程に合わせて、家へ戻る事にした。
家についたのは夕方で、グラハム親子は既に到着していた。
「息子のジョンだ。」グラハムの旦那から紹介されたのは、はっきり親子とわかる若者だった。
「はじめまして。ハーシー議員。」握手した。
「普段は、議員は省略してくれ、ジョン君。」
「はい。」
リビングで向かい合って座った。
「これは、クリスから頼まれた物だ。」旦那から紙を渡された。
「これは?」紙を開きながら尋ねた。
「ゴロモを取り扱ってもよいと、言ってくれた商会の一覧だ。」
「何!?」10なんてもんじゃない数の名前が、連なっている。
「何だよ"お願いします"とか言っといて自分で、どうにかできるじゃないか。こりゃあ、議長に言って、代行様へ手紙を書いてもらわないといけないな。」
二人は驚いていた。
「クリスに何を、させられたんだ?」旦那は顔が青ざめていた。
「何だ、旦那もか?」
「何が?」
「クリスハート様が、どんだけ・・・」いたずら心がわいた。
「どんだけ、とんでもないご領主か、わかってないな?俺も、この間会ったばかりだけどな。」
「会ったばかりって、そんなに変わってたのか?都で会った時は、変ってなかったのに・・・。」
「ジョン君はどう思う?」
「兄さんが、他人に迷惑をかけるはずが、ありません。」ジョン君も、顔がこわばっている。
「そっちから話を聞かせてもらおうと思っていたが、まずはこっちから話したほうが良さそうだな。じゃ、初めから。」姿勢を正した。
「俺は市場の仕切りを手伝っていてな、見回りをしていたら買い物をしている貴族がいたんだよ。挨拶をしようとして近づくと・・・。」
朝だけでなく夜の話を続けた。
「・・・それでな、もう関係ないだろうに、なんでゴロモの商売話を聞きに来たんだって聞いたんだよ。そしたら"いくつかの村の人が困っているのを、ほっといたら領主失格でしょう"ときた。」
「目の前にいるのが商人じゃなくて、ご領主だと解って思わずその場で平伏したね。」
さらに話を続けた。
「・・・最後まで俺に向かって敬語を使われたので、次回から使ってくれるなとお願いしたんだ。」
「バージル様が残られて、クリス様が俺にどれだけ配慮されたかを、教えてくださった。
その後、"正式に伯爵になられたら、お変りになるかもしれないけどね。"とおっしゃったんだ。ジョン君はどう思う?」
「変わらないでしょう。」ジョン君に即答された。
「俺もそう思う。とんでもない、ご領主だと思うだろ?」
「はい。」
「クリスの貴族らしからぬ振る舞いはわかったが、都でゴロモを扱う商人を紹介すると、なんで手紙を書くという事になるんだ。」旦那から聞かれた。
「ご領主が自ら都の商人に働きかけて、たくさんの取引先をご紹介いただいたんだぞ?
議長から代行様に、礼状を出してもらうのがスジだろう?」
「礼状か。」グラハム親子は、とても安心した様子だった。
「ところで、この一覧の作成は、クリス様が旦那に依頼したのか?」
「それ以外なかろう。」
「そうかぁ?奥ゆかしいクリス様の事だから、"一つでも知っていたら、教えてください"くらいしか言わなそうだがなぁ。なぁ?」ジョン君に同意を求めた。
「はい。」ジョン君が苦笑した。
「・・・・。」旦那は何も言わなかった。
「店は信頼できる息子にまかせて、我が子の頼みとあればと、一肌脱いだんだろ?」
「私は商工会に、儲け話を持って行っただけだ。」
「成程なぁ、泣かせるねぇ。一覧の礼を代行様にすると、代行様がクリス様に連絡する。
クリス様は驚いて旦那を呼び出して、ぺこぺこ頭を下げる。と、この読みはどうだ?」
ジョン君に聞いた。
「いい線いっていると思います。」ジョン君が再度、苦笑した。旦那はぶすっとしている。
「さて、そっちの番だ。クリス様をあずかる事になった、いきさつを聞かせてもらおうじゃないか。」
グラハムの旦那から、詳細な話を聞いた。




