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第23話 メッセージ

誰もいない部屋にずっと閉じこもっている。このままここにいても状況は好転するわけでもないのに、動く気力がわかずに何もすることができないでいる。


私はあの人との関係を壊してしまった。一緒に家に入っていった人が誰かをしっかりと見たわけではないのに。一時期の感情の高ぶりで取り返しのつかないことをしてしまった。そんな後悔が自分を苦しめる。


「悠真さん…。」


彼女が自分の中でどれほど大きな関心をしめていたか無くなってみてよく理解することができた。


最初は自分が一方的に一目惚れして彼女を追いかけ回していたことを思い返す。自分でも少しやりすぎていたなと反省した。


彼女とか変わったきっかけはトイレで忘れ物をして困っていた彼女を助けたことだったな。同じ女性として、彼女に寄り添い役に立てた事がとても嬉しかった。


話してみると、自分のことを受け入れてくれるんじゃないかと決心がつき、私は彼女に告白をした。


それからの日々は天国みたいだったな。一緒に銭湯にいったり、カフェでナンパから守ってくれたり。彼女はとても綺麗なのに、そういう男らしくてかっこいい側面を持ち合わせているのが魅力だった。


背の高い彼女が私を守ってくれているあの状況を考えるだけで私の興奮は収まらなかった。


私は彼女を愛していた。私は彼女を心から愛していた。


最初は一方的だったけど、彼女はそれに答えてくれた。そう思っていたのに。


彼女からしてみれば、それは遊びだったのかもしれない。部屋に知らない男を連れ込んでいたあの日、そんな感情が爆発してしまった。


彼女を思う気持ちが高まっていた分、裏切られたと思ったときのショックも大きかった。


そして、彼女を拒絶して離れてしまって、冬休みに入ってしまって…。彼女とは話すこともなく、別れてしまった。


ただでさえ外の景色は灰色で色彩のないような感じなのに、それがとても暗く見えた。


「悠真さんはどうして私の思いを裏切ったんですか。」


その問いかけは彼女には届かない。彼女には何も伝えていないのだから本当の答えなんてわかるはずもない。理性では彼女もそれを理解していた。しかし、彼女はその答えを求めた。


時間はあったから、考えて考えて、考え抜いて彼女がどんなことを思っていたのか振り返ってみた。


そこで、私はある前提を見落としていたことに気がついた。いや、見落としていたわけではないのかもしれない。とっくに気がついていたけれど見てみぬふりをしていただけだ。


私が彼女に向けているのは、完全に恋心なのだ。友達としてじゃなくて、彼女として自分を見てほしい。そう思っていた。


しかし、それを彼女に伝えたことはあっただろうか。「好き」という言葉は2通りの解釈ができると思う。


友達としての好き、恋人としての好き。


私は後者の意味で彼女に告白をしていたが、彼女は前者の意味で受け取っていたのかもしれない。


そのすれ違いが起こっているとするなら、彼女が男を家に連れ込んだことも理解できる。だって私は友達に過ぎないのだから。


そのことが理解できてしまったから。そんな仮説が立ってしまったから。私は今非常に苦しんでいる。


後悔は先に立たないとは言うけれど、これほどの後悔を味わうことになるとは思わなかった。もし、あのとき彼女を突き放さなかったら。今気軽に彼女に気持ちを聞くことだってできたかもしれない。


私の好きという思いをすれ違いなく受け止めた結果、私ではなく男を選んだと言うならすんなり諦められるかもしれない。


思いは日々が進むにつれて次第に大きくなっていった。同時に彼女と私の間にある溝も開いていくような気がする。


彼女にもう一度会いたい。あって話をしたい。だけど、自分から彼女のことを拒絶しておいて今更どんな顔をして合えばよいのだろうか。


葛藤は自分を苦しめ、にっちもさっちもいかなくなっていた。


苦しいためか、時間が経つのは非常にゆっくりだった。しかし、着実にときは進んでいき。冬休みはあと1日で終るところまできた。


そのときだった。


ピコっとメッセージアプリの通知が鳴る。誰かから連絡が着たのだ。自分の友好関係はお世辞にも広いとはいえないもので、家族か彼女くらいなものだった。


だから、おそらく家族からのメッセージだろうと何も期待せずに通知を開いた。


それは悠真さんからのメッセージだった。


「明日、会って話したいことがある。大学に来てほしい。」


そんな一文。夢にまでみた一文。嬉しくて自然と涙がこぼれた。


彼女にまた会えるんだ。それを全身の細胞が喜んでいるのがわかる。


冬休みは終わったけれど、私の人生は再び動きだした。


その夜は楽しみであまり良く眠れなかった。


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