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006

あの後ねず公に盛大に慰められ、ねず公を追い払い第一の街で漸く翼と出会えた。

 翼はプレイヤーネームをツバサにしたらしく、帽子を頭にかぶった黒髪のイケメンだった。


「で、これまでの経緯を聞かせてもらった訳だけど、この短期間で随分と冒険したみたいじゃないか」


「う………」


「俺の予想通りクソ雑魚いキャラになったみたいだね」


 翼の予想はクソ強いキャラになるかクソ雑魚いキャラの極端なキャラの予想だった。


「く、クソ雑魚いだけじゃ無かったんだ!超雑魚いんだ」


 何せ通算102回程死亡しているから、クソ雑魚を通り越して超雑魚い。

完全にキャラクリをしくじってるんだ!!


「……同じだよ。然もさっき話してたのゲーム実況者兼ゲームトップランカーの『Zero』だよね……」


 このゲームのトップランカーにしてチャンネル登録300万ベテラン動画実況者『Zero』。

 口ぶりからして何故か目をつけられてしまった状態にある、色々な意味で恐ろしい人だ。


「あ、あれも俺から話しかけた訳じゃ無いですし、おすし…」


「あぁ、ねず公だっけ?何やら今日はネズミをよく見るみたいだね。」


 最初はねず公に不満を当たり散らしていたら、Zeroの方から興味深さそうに話しかけてきたのだ。


「そ、そうなんだ。全部ねず公のせいなんだよ!くぅ、ねず公め今度会ったらタダでは済まさんぞー!!」


「いやいや、話をうまい具合にまとめようとしても無駄だよ。待ち合わせ、三時間も遅れたんだからね」


「う、そ、それは……むにゃむにゃ」


 現在時刻11:30。夜も更けてきましたね。えぇ。俺もいつもだったら寝ている時間だなぁ。いやー、不思議不思議。第一の街ってなんでこんなに広いんだろーなー……


「それは第一の街が広いんじゃなくて、ユウが小さいだけだ。お前今スライムなんだぞ?鏡で見せてやろうか」


 と、何処からか鏡を取り出して俺の方に向ける。そこには!艶やかなブルーの液状のジェル!!くりっとした双眼の紅い瞳。そう、スライムである。


「分かってるわ!過酷な現実を突きつけるな!涙で明日が見えなくなるだろうが!」


「その涙も今のお前じゃ出ないんだけどな」


 魔物は感情表現や一部動作が出来ない事が多い。

例えば今言った涙だって、スライムは出ない他、当然だが笑ったり叫んだりも出来ない。


 後で翼に聞いた所、以前魔物の動作制限に関してクレームを入れた奴がいるらしくその返答は【え?必要あんの?】と、ちょっと挑発的だったらしい。

 ただでさえ膨大なサーバーに必要なデバッグだって押してるのに、無駄な要素は極力取り除きたいのだろう。


「涙は出なくとも心には刺さるんだよ!」


「あー、もう分かった。許す許す。大変だったんだな。」


「やれやれ感を出されると逆に申し訳なくなるわ。ごめん!」


「で、これからどうする?結構いい時間だけど案内とかできる?」


「あ…………」


 当然だがこのゲームでは翼も初心者である。例え動画等で知識を積もうが、実際にやるのでは訳が違う。


「えっと…………あはは。俺も知らない」


「はぁ………そうだな。チュートリアル録に見ずに大冒険してる奴が初めの街の案内なんて出来る訳ないか…」


「ごめん。冒険してるつもりはないんだけど、冒険が向こうから勝手にやって来る感じだから……」


「やれやれ系主人公の気持ちが漸くわかったよ。ま、今ならZeroさんの気持ちも分かるかもな」


「ん?…」


 なんだろう失礼な事を思われてる気がする。


「いや、何でもない。そんなことよりも行こうぜ。このゲームじゃちょっとだけユウの方が経験者なんだろ」


「まぁ、未だレベル1だけどね」


「……………………」


「………………」



 なんだろう物凄く不安になってきた。翼も無言になるし、やめて!!なんか喋って!気まずいじゃん!!












【冒険ギルド】


 冒険ギルド。ゲームをプレイする上で最も重要と言っても過言ではない。ステータス及び、各種機能、情報を得る為に欠かせない場所である。その他にもギルド内掲示板や、クエスト掲示板も置かれており今も盛んに対応している。


 そして、流石第一の街。初心者や他中級者さんたちで溢れかえり長蛇の列ができている。


「なぁ、なんかめっちゃ見られてる気がするんだけど、気のせいか?」


「気のせいじゃないね。めっちゃ見られてるよ。一躍有名人じゃないか。よかったね」


 皮肉気に言うが目を合わせようとしない翼。おい!こっち見て話せよ!おーい!こっち、こっち!仲間だろ?な?


「まぁ、掲示板でもユウの存在は謎のスライムとして出てたし、何せあの『Zero』と話してたしね。知ってると思うけど『Zero』さんってあんまり人とは喋らないで有名だから」


 おーい。一コンマも目を合わせようとしないのやめて。マジで……仲間だろう??


「やれやれ……ほら俺の帽子の中にでも隠れな」


「うん……」ゴソゴソ(・ω・)///


が、しかし、収まり切らず中途半端に身体が出て翼の頭の上に乗る感じになった。


 ぽよよん!


「若干残念な感じになるのがユウクオリティなのか?……まぁ、気に入ってるようだし行くか」


「は?気に入ってないし!ちょっと乗り心地いいなと思っただけだし!!」


 機嫌良くぽよんぽよん動いたせいで気に入ったと勘違いされたらしい。気に入ってないし!!


「はいはい。順番来たよ」


『第一の街冒険者ギルドへようこそ。御用件は如何致しますか?』


 ギルド令嬢の………何さんだっけ?えーっと………うんAさんでいいかな。


「ステータス提示と、ジョブ獲得をお願いします。あと、ギルド所属も」


『ステータス提示とジョブ獲得に致しましては貴方方のレベルでも出来るのですが……ギルド所属はレベル五からになります』


 ここで、皮肉気に絡んでくる輩が居ないのはありがたい。個別でやってるから話に割り込めないのだ。だからこそああいう輩は現れる。


「そんなことも知らねーのかよ」「あははは初心者も初心者だな」「いや、攻略ページ見れば分かるだろ」「それすらも知らねーんじゃね」「なにせスライムだしな」「「「「「あははははは」」」」」


「ユウ、ああいうのは無視してろ」


「あ、あぁ。」


 ギルドのノリはちょっと解らない。飲み会のノリと似たようなモノだろうか…


「ステータス提示とジョブ獲得をお願いします」


 するとギルド令嬢が何やら石(鑑定石と言うらしい)を持って来て翼の手に乗せた。


『ではプレイヤーネームツバサさんのステータス提示。…………これは凄いですねこれ程の光だとSS評価になります。ええと……


Lv.1 ツバサ

HP100/100 S

MP100/100 S

STR【19】 S

VIT【12】 A

AGI【22】 SS

DEX【22】SS

INT【11】B


で、装備可能武器は、弓、長弓、古弓、片手杖、魔導書、魔法腕輪、魔法銃、銃、双銃になります。』


「ええと……」


 ギルド令嬢のその言葉でギルド内は鎮まり返った。

当然先程煽って来ていた奴等も同様鎮まりました。

そして、俺も………


「何が凄いのー?」


全く分からないのである。STRやら、AGIやら何が表記されてるのか全く分からない。でも、翼が凄いと言われてるのは嬉しい。ので、ぽよんぽよんはねておく。


「このゲームではSTR、VIT、って言っても分かんないか。力、心筋、敏捷、器用さ、賢さをSTR、VIT、AGI、DEX、INTで表示されるんだ。で、HPとMPくらいは分かると思うから、装備可能武器なんだけど…」


「その装備可能武器だと後方支援職だな。前衛張ろうと思ったら、魔法銃、銃、双銃だ」


 だ、誰?自然に帽子の中に隠れてしまう。

ゴソゴソとしながらツバサの帽子の中へ……


「ですよね。で、あんた誰?勝手に会話に入って来て順番抜かし?」


 後方には未だ何人も並んでる人がいる。割り込みはマナー違反だろう。


「あぁ、違う違う。ギルドに誘おうと思ってな。評価SSは"誰でも欲しがる人材"だ。」


 あ、でもこの人悪い人じゃ無さそう。


「あぁ、そういう事なら、暫くはギルドに所属しようとは思ってない。」


「ま、そうだろうな。そーゆー事だ、テメェら!コイツらに迷惑かけるんじゃねぇぞ!」


 するとギルド内では、舌打ちが聞こえたり、他の人と相談しながら此方を窺う人がいたりと様々だ。


「ありがとな。俺たちは未だギルドに入るつもりは無さそうだったから、それを踏まえてだろ?」


「そんな話はしらねぇな。俺は俺のする事を終えただけだ。解散解散」


 なんだかいい人?なのかなぁ。漢気のある人な気がする。手をひらひらとさせて去っていった。


「では、ジョブ獲得をお願いします」


『プレイヤーツバサのジョブ獲得……………


プレイヤーツバサは、双銃士を所得した。


以降ジョブ変更は可能です。変更の際はお手数をおかけしますが、再度ジョブ獲得をお願い致します。』


「よしっ!!」


 翼は嬉しそうにガッツポーズしてる。何やらいいジョブでも当たったのだろうか……機嫌良さそうなので俺もぽよんぽよん跳ねておく。


「さ、今度はユウの番だぞ。」


「え?ま、まって、ツバサはもう終わったの?」


 なんだかあっさりしすぎて、本当に終わったのか確認した。


「いや、だってレベル五に達して無いからギルドに所属できないし、所属してない状態だとPKに遭った時の補助だったりとかが受けられないから俺達は早くレベルを上げないといけないんだよ」


「はえー。そうなんだ」


「やけにスライムが板についてきたな。ちょっと子供っぽくなってるぞ」


 そう言われたってスライムはスライムなんだから仕方ないもん!


「はぁ………俺はコイツと旅をするのか。少し、いや結構心配だなぁ。」


「俺はツバサがいると安心だけどねー。」


 俺もツバサと同じように石を持ち上げ「ステータス提示」と呟く。


『プレイヤーユウさんはええと…………多分、いい事ありますよ。元気出してくださいね。評価:Eです。


HP10/10

MP10/10

STR【2】E

VIT【1】 E

AGI【1】 E

DEX【1】E

INT【2】E


装備可能武器はありません。じ、ジョブ獲得に移りますか?』


 あ、憐れまれてる。ギルド令嬢にさえ憐れまれてるよこれ…………


「ユウ。元気出せよ」


「うわあぁあああん……」


スライムだと泣くことすらできないのが残念だ。ギルド内では、「ま、そうだよな」「スライムだし?」「スライムであのステータスだといい方なんじゃねぇか?」「スライムだしな。うん。」と先程の鎮まり返った瞬間が無かったかの様にふっと沸き返った。


『ええと、ジョブ獲得は、観測者になります。が、頑張ってくださいね」













「ちゅちゅちゅ!」


「は、ハツカネズミめ。また俺を哀れみにきたのか?」


「ちゅ」


「ま、また慰めにきたのか!?や、辞めろ!慰めなんていらないんだーーー!!!」


「ちゅちゅ!」


 ハツカネズミがコンペ持ってツバサに向けている。な、何をしているんだ?


「え?これで締めるの?えーっと、それでは次回もよろしくお願いします。」






==============================




 





頑張ってくだちぃ

ちょっと待って下さい!<(o.o)ノガシ

そこの

主人公乙wwと思った方

スライム雑魚wwと思った方

ひゃっふぅ〜!ねず公最高!!(つД`)ノと感じた君の事です。

よろしければ、そんな方からの感想 レビュー ブグマ 評価待ってます。作者は豆腐メンタルなのであまり石を投げないで下さいね(T-T)

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