019
「あんな奴にどうやって勝てばいいんだ…」
「お兄ちゃん大丈夫だよ。わたしは一度勝ってるから」
え?なら、そう苦戦せず勝てる可能性があると言う事ですか?
つい敬語になってしまったが、もしそうなら早く言ってほしいものだが…
「でも、それだとお兄ちゃんのためにもならないよね。」
「は?オレのためって……」
「ここは心を鬼にして、お兄ちゃんとヒュドラの勝負を見守らなきゃ」
ぐっと拳を握って意気込む我が妹。いやそんなところで意気込まなくても……勝てると思うか?アレに??
「お兄ちゃん!がんば!」
「取り敢えず弱点とか教えてもらっていい?」
「お、やる気ですな?」
にししと、笑って訊ねるリリ。ちょっと悪戯っぽくて可愛い。
「ち、違うって、またこのまま吹き飛ばされて終わるんじゃなんか悲しいし」
「お兄ちゃん来るよ!"マジックカンタ"」
え?何それリリ。
リリの目の前に魔法陣の盾の様な模様が現れてリリを包んだ。
マジックカンタ。マジックカウンターはが予め張っておくことで魔法を打ち返すカウンター技。
魔王にとってはこれも初級魔法と同じくらいの技。
"グシャアアアアアァ"
「火炎放射ばっかり!お兄ちゃん対抗できる技持ってる?」
「あ、えーっと、多分ない」
「へ?」
"グシャアアアア
「きゃっ……やばい、お兄ちゃ、わたしは守るだけで精一杯かも。」
「か、勝ったことあるんじゃ」
「それはリリスがいたからだよ。特にわたしはバッファーだから前衛は苦手で…」
「え?!」
そうだったの?てっきり魔王って言うからもっと強いのかと……
まぁ、そんなこと考えてる暇ないわな。
取り敢えず死んでもいい俺がヒュドラのヘイトをかってタンクを努めますかな。と、ちゃっかり攻略ページに書いてあったことをやってみたり。
「「グルァアアア」」
後ろの2つ目3つ目の首が声を上げて氷の弾丸を吐き出してそれを……
「"突進"」
突進で回避して、首元を狙って………
「"ファイアランス"」
459.damage
赤く煌めく槍状の魔法が1つ目の首元に当たった。けれど、全く応えた様子がない。効いていないのか?
「グルァアアアアァ」
やばい!!紫色の魔法陣が俺を包み目の前を真っ暗に染めた。
♡♥︎♥︎♥︎♥︎♥︎♡
テニス部の部活が終了して、茜の斜陽とチャイムが帰宅時刻を告げる。そんな時、俺は体育倉庫の裏で………
「好きです。付き合ってください。」
「ごめんなさい。私、好きな人がいるの」
いるの、いるの、いるの、いるの………と、何度もリピートして頭の中を駆け巡る。つまり答えはNO。その日から数日間枕を涙で濡らした。
う、う、うぁああああぁ、?!?
♡♥︎♥︎♥︎♥︎♥︎♡
「しっかりして!」
「はっ?!あ、あれは、若かりし頃の黒歴史」
どうやらトリップしていた様だ。あんなものを見せるなんて、いや、思い出させるなんて……ヒュドラ、貴様ァ!!
「何言ってるのお兄ちゃん」
「違うんだ!あの頃は若かったんだよ。勝手に勘違いして告白しただけなんだ!」
「もう何を言ってるのかわからないよ!落ち着いてお兄ちゃん!!」
あ、危ない危ない。また暴走するところだった。おのれ、おのれ!!ヒュドラァァアア!!
「お、お兄ちゃんが燃えてる………そんなに嫌な記憶だったの?逆に気になるよ」
バットステータス恐慌。全属性耐性を持つ俺でも、恐慌属性の耐性を持っていたのかは分からない。からこそ今回は絶対に必要だと感じた。トラウマを強制的に思い出させるなんて鬼畜以外の何者でもない。
「召喚魔法ゥゥウウウ!!ピオォオ!」
なんかレスラーの掛け声見たくなったがそれほどに今は荒れ狂っているのだ。
「お、お兄ちゃん!落ち着いて!」
またも一つ目の首が火炎放射をしてきたのでファイアウォールで相殺。
「「グルゥアアアア」」
氷の弾丸を吐き出した2つ目と3つ目の首はスライムキングと、エルフを召喚し撃ち落とさせた。
「待たせたの、ご主人様」
「いくぞ!変身!!ピオ!」
ちゅちゅちゅちゅーー(好きですだって?大胆〜
くっ、何も言わん。何も言わんぞ!!
ちゅちゅちゅちゅーー(あの後クラスメイトから散々慰められて学校行きづらくなった思い出はー?
うっ…………な、涙が……
ちゅちゅちゅゅゅー(しかも断られた本当の理由は「恋人とか興味ない」だったんだってー!
やめでくれぇえええええねずこぅうう




