017
「知ってる?城主同士は同盟を結べて偶にあるイベントの攻城戦で一緒に戦えるんだよ?」
「攻城戦?」
何処かで聞いたワードではあるものの、深掘りしたことはなかった。
「そこから?攻城戦は城を持つ者同士が互いに承認して闘い合う領地争奪戦みたいなものだよ。でも、城自体がユニークだから?あんまり盛り上がってないんだよね」
でさ、とリリが続ける
「同盟なんだけど。しちゃおっか?ね」
「はぁ?俺は未だ始めたばかりのクソ雑魚なめくじだぞ?いいのか?」
まだ、同盟についていまいち分かってないからそれがどうなのかも知らんけど。大事なことなのではとも思うわけで
「攻城戦自体が合ってないようなものだし。殆どの試合形式がZero対私で面白くなかったんだよねー」
Zeroさんって………此処にきてもか。まぁ、試合結果は聞かんでやろう。可哀想だしな。
「詰まり次回は俺も参戦できるから今まで通りには行かないわけか」
「んや。それでもZeroさんが勝つだろうにゃ。レベルがダンチだからさ勝てないよ」
「そんなもんやってみなきゃ分かんないだろ?」
余りにも諦めきっているから喝を入れてやろうとしたけれども……
「んや、勝てないよ。私がプレイヤーランキング2位を維持し続けているように、Zeroは何を取っても1位を維持し続けるだろうから。」
それ程までにZeroは強い。始めたばっかでここまでハプニングの連続で浮かれてたけど、そうだ、上には上がいる。
「にしし、でも大人しく負けるなんて性に合わないからね。だから魔王になったんだよ!!Zeroが勇者ならば、威厳あり、粛然とし、貞淑な心構えで迎え撃とう!とね。勝てなくとも、Zeroの目に自分の存在を刻み込むくらいはしたいじゃん」
リリの表情を見て思った。
リリはこの世界でもしっかりと生きている。自分の居場所にして、楽しく生きている。
それがすこし羨ましく思った。
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「うぅ………臭い。」
「あはは、そうだった。私はもう慣れたけど最初はすごい臭いんだよねー」
腐った卵の匂いやら、肉が腐ったような匂いやらがぷんぷんする。
変身中は五感がきっちりと備わっているらしい。ので、変身解きます。もう限界なんだもん!
「あぁあ、懐かしい頃のお兄ちゃんが一瞬でぷち可愛のスライムにぃ…」
「だって臭いは臭いもん!消臭剤がないならスライムになってやり過ごす」
ポヨーンとジャンプしてリリの頭の上に着地した。
「あは、もうなんでそんなとこ乗るの!」
「え?いいじゃん乗り心地サイコーだよ?」
「そうなの?………じゃなくて、はぁもう。お兄ちゃんったら」
「ん?」
「敵が来るまで大人しくしててね。」
「はーい」
「お兄ちゃんの容姿が幼くなったのってその言動のせいじゃ…」
なんかぶつぶつ言ってるけど知らん。はやく敵来ないかなー。とプルプル震えて待ってと……
「ちょっと大人しくしててね。素材取るから」
そう。このゲーム以外では無いが素材の種類がとてつもなく多い。ので一個一個あげるのも面倒な程素材があるから生産プレイヤーはまず素材の種類を覚えるところから始めるのだ。
主人公がこれまでに取った、ある種無駄な素材は[タピオカの素][抹茶][牛乳][小麦粉][サトウキビ][砂糖][餅米][コーヒー豆][生クリーム]とスイーツを作るためだけの素材を豊富に取っている。が、実はこれだけでなく[ユグドラシルの枝]と言った伝説級の素材も取ってきている。何処で?という疑問には彼だからとしか答えようが無い。
「お兄ちゃんっぽいね。このゲームでスイーツを一番楽しんでるのってお兄ちゃんだよ。多分」
「スイーツを楽しむゲームではなかったはずなんだけどな」
じゅじゅじゅと、チョコチップクリーム抹茶オレを飲んだ。
うむうむ美味であるな。
「あー、私も欲しいー!タピオカキャラメルマキアートでお願いね?」
「はいはい。ほら。タピオカキャラメルマキアート」
兄使いが激しい奴め。まぁ、嫌じゃ無いからもっと使ってくれ!暇だし。
「じゅー、あ、敵さん発見!敵の群れかな数は10、20、30!スケルトンの群れだね、どうするお兄ちゃんやれる?」
「当然。ここで妹に強くなった俺を見せてやるぜ。」
「おおー!がんば、がんば」
敵の正確な情報は、スケルトン18体とスケルトンナイトが2体、スケルトンプリーストが5体、スケルトンリーダーが2体、スケルトンメイジが3体だ。
まぁ、結局全員倒すんだから変わらない。
今回俺はルール付きで闘おうと思う。そのルールはピオの召喚禁止だ。
はっきり言ってピオは戦力過剰な上に1発で敵を倒してしまうから戦いで得れる真の経験値が少なくなる。
そしてもう一つのルール。戦隊メンバーとの連携で倒す。これは経験値を重視するなら大分いい経験になると思う。
リリもいるし思いもしない不慮の事故など起きないだろう。フラグではなくてね。
「召喚:スライム戦隊!!」
完全に狙ってると思われるスライムの色。赤。青、黄、緑、ピンクの戦隊カラーで登場したスライム達。
「スライムレッドとイエローは前衛レッドはイエローの作った防壁からガンガンファイアボール撃って」
先ずは前衛の指示。次は中距離の指示。
「ブルーは遊撃敵のギリ攻撃範囲内からバカスカ魔法撃って。危なくなったら直ぐに逃げてレッドとイエローに引きつけて」
最後。
「ピンクスライムは全キャラの回復。優先順位は前衛からだけど体力的に危なくなったらそのキャラを回復して」
うんうん。できてる。流石スライム戦隊。やればできるじゃないか。
だが、徐々に押されていくスライム戦隊。気づけばレッドやイエローのHPがレッドゾーンにまで達していた。その原因は……
「あー、MP厳しくなってきたか……ほぼ魔法職だもんな。じゃ、召喚!スライムキング」
スライムの王。そしてレア度SSRのINT極振りの……ん??ダメじゃん!INTって……
しかし、そこはスライムの王。遠距離広域殲滅魔法アイスシャワーによって全スケルトンが駆逐された。
スケルトン流石に王には敵わなかった。
でも、大体こんなもんだよな連携って。
「ほー、凄いじゃんあのスライム達強いね!」
「あぁ、王だからな」
アイスシャワーの威力は俺もきつかった。あれを直で喰らうのと見るのとじゃ大違いだからな。
"ちゅちゅちちゅ(平伏すのじゃ、)
いや、ねず公の王なんて出てきても何も怖くありませーん。ばーかばーか。
"ちゅちゅちゅゅゅー!!(なんと傲慢な、システムーカーディナルーコマンドーログアウト)
ん???ぐ、ぐあぁああ?!き、強制ログアウトだと?!卑怯な!!ぐああああ!!あっ