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016

「ご、ごめんね〜。龍種と見たらすぐ殺さないと後々面倒だから、いつもそうしてるんだ」



怖えよ。と言いたいところだが、ピオの登場シーンを見てもらえると分かる。殺さないと殺されるのだ。実際に登場するだけでその場にいた何名かのプレイヤーが犠牲になった。恐らく彼らには何が起こったのか分からず死んでしまったのだろう。


「後々面倒って……それより、莉里なんだよな」


「あ、うん。リリだよ?それよりお兄ちゃん……なんだよね?随分と、その…」


 ん?何か言いたそうにモジモジしてるけど、何が言いたいんだ?


「随分と可愛いね!お兄ちゃん」


「は?か、可愛い?ど、どゆこと?」


 このゲームのプレイヤーの容姿は現実に近いものになるはずだ。


 だから、可愛いなんて……


「中学生くらいの時の姿になってるよ?私もうろ覚えだけど、中学生の時の姿と似てると思う」


「は?確かに身長は無いし肌もすべすべだから容姿は気にしてなかったけど…」


 可愛いとな……知らん。俺は知らんぞ。別に可愛かろうがゲームはゲーム。現実じゃ無いんだから。むん!


「いや、むんじゃなくて。髪長いし多分胸もあるし……気づかなかったの?」


「へ?何が?」


「お兄ちゃんのアバター、女の子だよ?」


「…………」


まじ?















 変身中のアバターが俺の中学生時代の容姿に似て、且つ女の子のアバターになっていると言う衝撃の事実を知った後、リリに此処に来るまでの経緯を話した。



「あはは、お、お兄ちゃん、ある意味チートだね」


 腹を抱えて笑っているのはリリである。なんと失礼な。大変だったんだからな!


「お兄ちゃんの特性は、探求と不死だよね。知ってる?特性って人種プレイヤーで言うユニークスキルに該当するんだよ?」


 それは知らなかった。


「っていうか、ツバサとZeroくらいしか人種プレイヤーを知らないんだが…」


「それもそれで問題だね……まぁ、お兄ちゃんがボッチになりそうなのはおいといて。」


「おいとかないでくれ…」


「お兄ちゃん、未だまともにレベル上げできてないでしょ?どう?ダンジョンとか?」


「dungeon?」


「いや、なんで英語で言ったし。そ、ダンジョン。私の城のね!」


 リリは"テレポート"と呟いて、くるっと宙に舞った。

 

 一瞬目の前が真っ暗になり、世界が再構築される音で目を覚ます。


 するとそこは禍々しい瘴気を大量に放つ、いかにも魔王城といった城が鎮座していた。


上を見上げるとケルベロス?みたいな犬が門番として居座っているほか、ガーゴイル?が城の周りを飛び回っていたり本格的だ。


 ふむ。リリさんや。此処はどこかいね。何か色々と間違えてないか?


「むふー。じゃじゃーん!驚いた?実は私魔王なのです!」


「( ω)°°」


 正に目が飛び出てしまった。ま、魔王?魔王ってあの……


「どの魔王か知らないけど、魔王だよお兄ちゃん!驚いた?」


「お、おう。そりゃあもう……って、何故に魔王?」


 いや驚くよ?でも何故に?


「えー?今時勇者とかつまんないし、ノリと成り行きで?お兄ちゃんも城と古龍持ってるなら分かるでしょ?」


「あ?確かにそうだ。成り行きだ」


そう考えてみると俺達は似てるのかもしれない。

 城を持ったのも、古龍を手に入れたのも、特性を手に入れたのも、全部成り行きなのだから。


「だから魔王なんだよ。敢えて敵役になっちゃおうかなって」


「そ、そうか。お兄ちゃんは応援しておくよ。」


何処を目指しているのかもよくわからないが一応兄妹として応援したしておこう


「だからはやく行くよー。ほら遅いって、いこいこ」


「お、おすな!急かしすぎだっての。どんだけ楽しみにしてたんだよ」


 魔王だけど全く魔王に似つかない笑みで俺を押すリリ。こいつが魔王とか平和なゲームだな。おい。














「まず、説明しておくと、城にはダンジョン、転移装置、ギルドの3つの機能があるんだけど、今回はダンジョンだけだから他二つの機能は省くね」

「え?聞き覚えのある機能が聞こえた様な…」

「何?何が言った?」

「なんでも無いです」

「ふむふむ、お兄ちゃんの実力的にはスライムと言えども装備が欲しいんじゃ無いかね?」


装備?そうだ、確かにスライムだけど変身中は装備が付けられるんだった。


「お兄ちゃんも強さに貪欲になっている様でよろしい。」

「はい、リリ先生!」

「り、リリ先生?!お兄ちゃんの口からそんな言葉が…‥.いやでも、ありか?あいやいや…」


何やらぶつぶつと忙しなくツインテールが揺れる。荒ぶってるなぁ。


「こほん。お兄ちゃんは今、装備品が欲しいんだよね?だったらこの魔王城は正にオアシスだよ!」

「オアシス?水あるの?」

「あ、いや、そういう意味ではなく。装備品の宝庫だよー!!いぇい!」

「い、いぇい?」


 むぅ、蛙化してしまった。つかテンション高くね?


「で、早速ダンジョンに潜る訳だけど。ダンジョン内で倒した敵は倒した後一瞬で消えます。なので、スライムの吸収は使えなくて、代わりに宝箱と素材を落とすからそれを吸収したらおけだよ?」


「おう、長い説明ありがとう。お兄ちゃんにはさっぱりだよ」


「むぅぅーちゃんと話聞く!ま、やってみればわかるよね。ってなわけで?やってみよー!」


「は?ちょーまって、引き摺らないでください!!お願い!あ、ねず公、た、助けて」


とことことやってきた、はつかねずみことねず公。やってきたというより何かの用事の帰りの様だ。珍しく鞄を背負っている。つまり、通りすがりのねず公なのだ。


「チュチュちゅちゅちゅゅゅー」( ´ ▽ ` )


「温かい眼差しを向けるなぁぁああ!!」


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