013
スライムキング。
それは水色のスライム共の王。
キングというというからには王冠が付いていると思うだろう。うん。ついてない。
だが、王というからには威厳が必要である。だから、そのスライムは無駄にも玉座に座っている。
そう、そして今も尚胡座をかき挑戦者を待っているのだ。
「でも、雑魚なんだよね?攻略Wikiにはゲームやってない人でも勝てるって書いてあったし。よーし!これが俺の実質的には初戦闘になる訳だ。」
階段をぽよぽよと登る。
あ、そうだ。何か進むのが遅いなぁと思ったら変身解いてたんだった。
とりまへーんしん!!
「よし。これで人間の体で戦える………武器ないじゃん!戦えんじゃん!とでも思ったか愚民共!はははは!我は魔法も習得しているのだぞ」
ちょっとテンションが昂ってしまった。
剣がなければ戦えない、というわけでもなく、このユウは火魔法、回復魔法を取得しており、どちらも(Lv.1)以上。だから、魔術師としてのロールもありなのだ。
そして、こちらにはゴブリン戦隊とスライム戦隊がいる。ドロップしたモンスターは現在10体まで召喚できる。これは恐らく契約の指輪≪エンゲージリング≫の効果だと思われる。
「よし!準備万端!これで勝つる!」
『Emergency!!!emergency!!emergency!!emergency!!
フィールドボスが出現します。
フィールドボスが出現します。
直ちに逃げましょう。
直ちに逃げましょう!!』
「ん?フィールドボス?ってなんぞ?」
知らなかった。攻略サイトでみたのはスライムの育成方法だったり、ボスの攻略方法だったりと"フィールドボス"に関してはまるっきり無知だった。
「ふぁっ?!な、何だあの船!!で、デケェ!!」
≪フィールドボス スライムファミリーが現れました。≫
ぽよーん。
『プレイヤーYuuが死亡いたしました。
ジジッ、死亡を特性:不死により、肥やしを犠牲にしてキャンセルしました。
バットステータスは加算されませんが、死亡回数は加算されます』
くそぅ!!吹き飛ばされたぁ〜っ。なんなのあの馬鹿でかい船は!!ってかフィールドボスって普通に現れるんだね。怖。
「取り敢えず!ファイアボール!!」
パシッ。
256…
やばい全く効いてない感じするんだけど……
「へぇ、闘う意志はあるんだ。君、面白いね」
「ん?あ!メタモルスライムさん!!こ、こいつはやばいですって早く逃げた方が……っ?!」
「君には伝えてなかったけど、メタモルスライムの変身スキルの真髄はただ人間になれるだけじゃないんだ。何にでもなれる、それがメタモルスライムの真髄だよっ。変化クラーケン!!」
その瞬間フィールドが海と化して20kmを優に超える巨体が海上を支配した。
クラーケンの触手で攻撃。どんどんと船を絡め取られ攻撃を重ねる毎にダメージが入っていく。見ているだけでドキドキする光景だった。
「本家はここからだ!分裂!変身!リヴァイアサン!!≪青の原始≫ハイドロシャープキャノン!」
そして、絡めて身動きのできない敵に勢いの良い水の渦が幾つも現れこの場を蹂躙する。
もうスライムファミリーが見ていられなかった。可哀想とかそういう次元じゃない。正にチート。その言葉が頭の中に浮かんだ。
「ふぅ、終わったか。最後のリヴァイアサンは特別に見せたんだからね?普通は、ユニークは"隠す"もんだから」
「え、えと……そうっすね。」
先ほどまでの光景が凄すぎて未だ余韻に浸ったままだった。だからかどもって答えてしまった。
「でも僕は君が気に入ったよ。初期型、然も最低級のスライムなのにリセットせずに此処にいる。何故?それに何処か自信を感じる。うん、別に死んだってどうにでもなると言った自信。」
あ、それはもう諦めてるだけです。俺くらいになると死に対して耐性があるからな!むん!
「打たれ強い?そんな簡単なひとことで言い表せないほど、超打たれ強い。だから、ここまでゲームを辞めずにいる。」
別にそんなに打たれ強いってわけでもないんですよ?死んだら人並みには悲しいと思えるし。
「うん。また会ったのは何かの縁だ。これをどうぞ」
いきなり体の一部をちぎってこちらに渡してきた。リヴァイアサンの状態でだよ?ちょっと怖い。
「わっ、痛くないのそれ」
==============================
Yuuはメタモルスライムを吸収しました。
Yuuはスライムはリヴァイアサン(仮)を吸収しました。
Yuuはスライムファミリーを吸収しました。
メタモルスライムから変身(Lv.1)を取得しました。統合して変身(Lv.5)になりました。
Yuuは原始魔法:青魔術(Lv.1)を取得しました。
Yuuは眷属支配(Lv.1)を取得しました。
==============================
「ん?痛くないけど?ふむ、これで少しは強くなったんじゃないか。変身はLv.五から壁があるからね、頑張って」
壁?それよりもう行っちゃうの?
「それじゃボス行くんでしょ?頑張って行っておいで」
メタモルさんは、もう行くみたいだ。と言うか何故こんなにも助けてくれるんだろ?
「面白いからだよ。イベントでは遊ぼうね。じゃ、バイバイ」
そしてまた、風景が変わった。
スライムの森、4Fボスの間。
大森林の奥の奥。最奥地。
そこにスライムを統べる、スライムの王はいた。
スライムファミリーよりは小さく、通常のスライムよりは遥かにでかい。
ぽよぽよの胴体は今にも攻撃してきそうな程警戒されている。
「それじゃ、初手は、火魔法≪ファイアボール≫!!」
火魔法Lv.1、ファイアボール。レベルはなくとも+値が100を超えている分INT値は通常よりも高い。
ぽよよよん。
354.damage
現在、Yuu の鑑定スキルでは相手のステータス窺うことはできないものの、見てわかるレベルでダメージを負っている。
「えっと次は、ファイアランス!!」
単数詠唱で火魔法Lv.2のファイアランス。火魔法がレベル2に至るのは通常次のエリアとされている為一足抜かしで強くなっている。
ぽぽぽ……
485.damage
「ぽ、ぽよよん!!」
突進だ!直線の突進だから、スキル推進で、避ける!!
スライムキングの巨体が木にぶつかって倒れる。その衝撃で足場が揺れ、不安定になった隙を狙って氷魔法アイスシャワーを打ってきた。
12.damage
『プレイヤーYuuが死亡いたしました。が、特性:不死により肥やし分を犠牲に死亡をキャンセルいたしました
『Yuu』+116→115』
くそー、たった12ダメなのに死んじゃうって……あ、そうか、ドロップに+HPのモンスターがいないからだ。や、やばい、なんの攻撃でも一撃喰らったら死ぬって唯の弾幕ゲームじゃねぇか!(よく翼が話してたゾンビのシューティングゲームに多かったそう)
効くとわかったからなのかアイスシャワーを連射してくるスライムキング。
スキル推進で避け続けるものの、相手の間合いに入って攻撃出来ず
『プレイヤーYuuが死亡いたしました。が、特性:不死により肥やし分を犠牲にして死亡をキャンセルいたしました。
『Yuu』115→114』
ぐ、あぁあー!めんどくせぇ!!!攻撃しようと間合いに入ったら遠距離魔法のアイスシャワーで攻撃されて終わるし、俺が遠距離魔法を撃とうとしたら逆に突進されて終わるし……くそーー!!
『特性:探求により、スキル影分身(Lv.1)を取得しました』
なーいす!!多分レベル1じゃ使い物にならないから、またまた上げて……
『特性:探求によりスキル影分身を(Lv.4)にあげました』
よっし!ナイス探求さん!これで勝つ!
「影分身!」
「ぽ?ぽよ?」
心なしか疑問符を浮かべているように見えるスライムキング。 すかさず分身にアイスシャワーを放つもそれは俺じゃない。分身だ。
「ファイアウォール!!これで決まりだぁぁあー」
広範囲遠距離魔法のファイアウォールで囲って最後はランスで決める。
1245.damage
「ファイアランス!!」
ぽよよよよん!
498.damage
ぽよ、と崩れ落ちるスライムキング。やがて物言わぬ死体となってその場に静寂が訪れる。
「やった!!勝った!!それにしても疲れるなーボス戦は…」
「さてさて、早速吸収してドロップ確認かな」
見上げる程巨大なそれによく勝ったなと自分を褒めたくなった。そして、吸収してみると…
==============================
プレイヤーYuuがスライムキングを吸収しました。
スライム種に対する耐性50%UP
スライム種に対するLUCK値25%UP
【ソロ勝利時のみ獲得】スライム種のユニーク個体に遭遇する確率15%UP
【ソロ勝利時のみ獲得】スライム種の肥やし吸収効率を1/10から、1/8へ。
スライムキングからスキル氷魔法(Lv.1)を取得しました。
スライムキングからスキル突進(Lv.1)を取得しました。
スライムキングからスキル眷属支配(Lv.1)を取得しました。統合して眷属支配を(Lv.2)にUP
ドロップ
スライムキング
SSR INT+1456 Lv.26
==============================
や、やばい、ドロップが思いの外美味しすぎて涎出そう。最高かよ。
まぁ?今日はこれくらいで終わりにしようかな。翼は今日できないって言ってたし、充分戦力補給できたと思うしね。
じゃ、お
わりにしようと思ったけど、ねず公は出てこないよな?
右見て、左見て、上見て、下見て………
よし、ログa
「ちゅ!」
ぅあああああ!!で、出たなねず公め!ん?なんでか今回は五匹並んでやがるな何するつもりだ!
「ちゅーちゅ!」
せ、戦隊ごっこしてんじゃねぇーー!!テメェとスライム戦隊とかゴブリン戦隊はちがうんだよぉおおおお!!