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011

そこは第一の街南東に位置する『スライムの森』入口の大森林。


 超超初心者フィールドであり、本来ならチュートリアルを終えた初心者がレベル上げを兼ねて訪れる場所である。


 そんな場所に一人?一匹の敵に紛れ込んだスライムが………



「だあああ!くそ!!俺に攻撃してくんなプレイヤーどもぉおおお!!」


 そう。スライムの森だからか、どうしてもスライムがいると攻撃されてしまう。それがプレイヤーであれとも。



「俺は敵じゃねぇー!!周りにゴブリンいるのが見えんのかあほーー!」


なんとも残念な感じが残るのが、この作品の主人公。ユウである。



「はぁはぁ……しかし。まだ一体もスライムを見ていないんだが何かあったのか?」


攻撃してくるプレイヤーはいるものの、喋ればプレイヤーだと気づき謝ってくる為かまともな戦闘をまだ一度もしていない。


 このゲームはPKを推奨されていない。だからPKされたとしてもアイテムを落とすとか、装備をドロップするとかはなくて一部ステータス半減があり、PKプレイヤーのカルマ値がアップするだけだ。

そしてプレイヤーのカルマ値は上がり過ぎるとレッドプレイヤーとして忌避される存在となり、入れてもらえない街なども存在しデメリットしかないのだ。



「と、Wikiに書いてありました。って、どうでも良い説明は置いといてスライムだよスライム。俺にまともな戦闘をさせてくれー!!!」


さぁ、叫んでばかりな主人公ですが、それで良いのか?スライムだぞ?レベルは当然スライム程度では上がらない。それほどにユウは死んでいる。


 死ぬたびにプレイヤーに加算されるのはバットステータスとして、経験値もあるのだ。


 経験値は半減し、取得経験値減少、取得経験値1/10とあり、丁度1000回もの死を経験したユウは取得経験値1/100だ。


 100回ものバトルをしないと1回分の経験値を取得できない。ほぼ詰んだ状態でプレイしているのだ。 



「せめて………せめて、Lv.1くらい、上げさせてくれよ……」


能力ばかりが上がってレベルが全く上がらない。なかなかに渋い状況だった。


 そこでユウが目をつけたのは『スライムの森』難易度は上、中、下、A、B、C、D、Eと表記するなら下の下、難易度Eの初心者フィールド。ボスはスライムキングである。


 因みに、裏フィールドと言うのがクリア後に解禁され、スライムの森は中の下、難易度Cのボスはメタルスライムキングのフィールドに挑戦できるのだ。



「だけど、このままスライム狩っててもレベルを上げることなんてできないのは事実……ツバサにおんぶに抱っこな状態を抜け出すにはどうしたらいいか……」



 ゴブリンの集団を倒した時も迷いなくドロップなどを全てくれた。


 俺が強くなることを疑っていなかったのだ。


 けれど、クエストが存在するゲーム。いつまでも同じようなことはしていられない。


 報酬を得るには獲得部位なりを納品しなければならない。



「ツバサに甘えてばかりじゃないられないんだが。まずは特性:不死の能力も知っておきたいな」


 前回取得した特性:不死。


 特性と名のつくスキル?はこれで3つ目。現在は、特性:探求、サポートセンター、不死。



「サポートセンターも未だよく分かっていない特性だからな…」


 ロックされていた特性、サポートセンター。その実態は、ヘルプやQ&Aの様なサポートを目的とした特性。ぶっちゃけ意味がわからん。



「おっ?!す、スライム?なのか、君は」


そんな時、スライムが………木にぶら下がっていた。


 いや、垂れているのか?木に。


「おーい!降りてこーい」

 

よく見るとあのスライム、透明である。いや、スライムに本来色なんてつかないだろと言う読者がいるかもしれない。


 だが、スライムの森には色付きのスライムがうようよといるのだ。


 それはまた後ほど知ることになる。



「うぅーん………五月蝿いなぁ」


「?!!?」


し、喋った、だと?!スライムが喋ってる?!あ、俺もスライムだった。最近は割とスライムも喋るのかもしれない。


「誰だいボクの眠りを妨げる愚民どもは」


「グミ??」


こんな時におやつが欲しいのかこいつは……人と会ったらまず挨拶、はないか。ゲームだし、人じゃねぇし。



「はい、じゃ、グミどうぞ」


「いや、愚民どもって言ったんだけど…」


「え?足りないって?しょうがないなぁ、はい!またまたグミです!」


「はぁ……なんか変な奴だなぁ」


む、失礼な。俺からしたら君の方がよっぽど変な奴である。

 


「むぐむぐ…‥なかなか美味……じゃなくて!何の様なのさ!ボクの眠りを妨げてまで何か御用なの?」


「いや、スライムがいたからバトルをと……」


「君は倒されるスライムの気持ちを考えたことはあるかい?」


あ、これ、絶対めんどくさいやつだ。


「そうやってスライムがいたら殺す!みたいな精神はねこの世界をゲームとしか捉えていない奴の感想だよ!。それもこれもあれもそれもエトセトラ」


「すぴー」


 はっ?!寝てしまっていた。なんてどうでもいい話なんだとトリップしていたら寝てしまった。


「ふん!失礼な奴だな君は!人が喋ってる時に寝るんじゃない!怒ったからね!うん??君もスライムじゃないか…なんだよ。同士か」



すると、目の前のスライムは形が、頭を作り胴体を作り、手を作り、足を造った。やがて、細かい造形も出来上がり、どこからどう見ても不自然のない人間になった。


すごい!どうやって?!


「とはいえ、君も不運だったね。スライムの中でも低級、然も初期型のスライムだなんて。」


低級だか、初期型だか、何言ってるかよく分かんないけど哀れまれているのはよくわかる。


「ん?ボク??ボクはスライムの中でも中位に位置する存在。メタモルスライムさ。君が後数千年経っても勝てない存在だよ」


 なんだこいつ……と思うよりもショタっ子に変身しているってことはなんだよ子供かよ。


 言っていなかったがこのゲーム、容姿や性別はリアルとほぼ変わらない造形になることが多い。それはゲーム前に接触の確認として身体中をペタペタと触る動作があり、それで身体情報を読み取られるからだ。


って、そんなことより!



「えーっと、バトルしませんか?」


「しない。ボクの体の一部あげるから帰って」


「はい……」


こうして俺の初戦闘は幕を閉じた……戦闘になってないって?しるか。






  






「ね、ねず公またも現れやがったな」


「ちゅ!」


「ん?なんだって!?今度からは現れるかわからないですけどよろしくだとぉお?!」


「ちちゅ」


「さぼんなねず公ぅぅぅう!!」


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