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自作小説倶楽部 第28冊/2024年上半期(第163-168集)  作者: 自作小説倶楽部
第167集(2024年05月)/テーマ 「森林」
20/26

03 紅之蘭 著 『天才紅教授の魔法講義 其の三』

《梗概》

東京都黄戸島村立大学・紅教授・魔法科教室講義、第三講。


挿絵(By みてみん)

挿図/©奄美「縫目ちゃんの横顔」

    天才紅教授の魔法講義 其の三


 私は紅教授の助手、魔法人形オートマの縫目フラ子である。


「恒例、わが魔法教室実技演習を開始したい――」

 紅教授の魔法教室受講生は二十名だ。それを四名で班割りし、AからEの五班をつくる。各班は、学校正門をスタート地点とし、紅教授が設定したルートをたどりつつ、島の中央にある中央火口丘を目指さねばならない。途中にはいくつかのトラップがあり、それに引っかかって、班から一人でも脱落者が出ればゲームオーバーだ。

「ではみんな、縫目ちゃんに注目!」

 ばっ。

 紅色の髪をダウンテールにした紅教授が、私のスカートを豪快にまくりあげた。

「教授、何するんですか!」

「バン・キュ・ボンな私と比べて、未発達であるな」

 どういたしまして、たしかに私は貧弱ですよ。でもロリータ体型も一定の支持層があるでんすからね。べーっ。

 陰キャ系学生が鼻血を出して卒倒していた。

「はい、E班、第一トラップで脱落。以降は他の班がすんなりゴールできないように、嫌がらせをするように」

 ――紅教授、この人、ほんとに性格悪いわ。

 

 東京都黄戸島村は、太平洋に浮かぶカルデラ火山島で、島は外輪山で囲まれている。

 外輪山は完全な環状ではなく、南側に切れ間があり、入り江になったところがある。そこが島の玄関口である港となっている。入り江に臨んで大学や村役場、それにささやかな市街地が立地している。

 島の大部分を占める外輪山に囲まれた盆地〈火口床〉は、中央火口床を取り囲んでいる。半分は水源用のジャングルで、残り半分がミカン畑になっている。


 南の入り江に臨む大学正門。

 そこからスタートしたAからDの四班は、E班のディフェンスを受けながら、五キロ先にある休火山・中央火口丘山頂に旗を立てなくてはならない。最大の難所は途中にあるジャングルで、車で先回りしたE班が、落し穴やら仕掛け網なんかを設置して、待ち構えている。

 E班の活躍でB・C・Dの三班が第二、第三トラップで脱落。班員は速やかにディフェンス側に加わった。

 ――こいつら、なんでディフェンスになった途端、生き生きしだすんだよお。

 私はドローンを操縦士、紅教授はモニター越しに学生達を監視していた。


「縫目ちゃん、旗を持ったA班が今まさに山頂に旗を立てようとしている。リーダーはメガネ君だ」

 だが、そこには最終トラップがあった。


 ――縫目ちゃんの下着、持ち帰った人は一名様に限り、ご褒美デート――


 なんだこの看板は――

 A班の学生たちは四人全員男子だ。

 ファィアーボール、ウォーターボール、ストーンシュート……が飛び交う。

 そして結局、同士討ちで全滅した。


               了

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