第七話 幻想入りした人間の日常
彩「――ん…今日も仕事か…」
いつものように朝四時に起きる。
そしてスーツに着替えようとしたが――
麦「あれ、スーツが……あっ。」
そういえば俺、転生したんだった。
只今、俺――稲見麦は幻想郷に転生し、そこで神の尻拭いをさせられている。
神に博麗神社に行けと言われ、そこでなんやかんやあって弟子見習いとなる。
――ここでじっとしていても暇だな。
そう思った俺は布団から出て、眼鏡を掛け、障子から縁側へ出る。
外に出ると、真っ赤に輝く太陽が空を同じ色に染めていた。
――まだ日光が出てから時間はそんなに経っていないようだ。
麦「こんな早くに起きるなんて…これが社畜のさだめか…」
自分に根付いた社畜動作に内心泣きつつ、ぼーっと外を眺める。
すると、桜の木の傍に花が咲いていることに気が付いた。
麦「……この花は…」
そこまで言うと、眼の前に何か説明文みたいなものが出てきた。
これは眼鏡が出してくれた…のか?
あの転生直後に見た本によると、視た対象の名前、能力、などの概要を説明してくれるようなのだ。
麦「えっと、この白い花は…【アネモネ】、花言葉が『希望』、『期待』。…この時期に咲く花か。でも…」
何を隠そう、その隣に咲いて(?)いるのはどう見てもススキなのだ。
麦「…本当にススキだ…花言葉は……うへぇ、なんかいっぱいある。…?でもこれだけ太字だな…『憂い』?でも何でこれだけ太字なんだろう…?」
ススキの花は秋に咲く花なのだが…
そんなことを考えていると、大きめの腹の音がなった。
麦「そういえば、起きてから何も口にして無かったな…」
今まで気にしていなかったせいか、空腹感と喉の乾きが急激に襲いかかってきた。
麦「こちらの方で勝手に作らせてもらうか…」
そうして俺は、台所に向かった。
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少女移動中…
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麦「――やっぱり、冷蔵庫とかあるんだな…」
昨日ちょびっとだけ見たが、意外にも冷蔵庫とか電化製品がある。
…でもコンロはなかった。
麦「冷蔵庫の中には…おっ、色々あるじゃん。」
食材も野菜から肉、魚介類まである。
ここには海とかあるのだろうか…
そんなことを思いつつ、俺は料理を開始した。
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少女料理中…
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俺「ん、いい感じだな。これで味噌汁も完成っと。…後は主菜かぁ…」
…何か野菜大量にあるし、簡単な野菜炒めにしよう。
決して他のを作るのが面倒臭かったわけじゃないぞ。
肉を少々と野菜を切って…っと。
フライパンに油を引いて、どんどん野菜を入れていく。
ジュウウゥ…
いい音だし、いい匂いだ。
…え?フライパンはどこから来たって?
…実は神からもらった袋は、欲しい物が一日おきに手に入る、というなんともご都合主義な袋だった。
あいつ、俺がこれ持って闇堕ちする可能性とか考えてないだろ…
ある程度炒めていると、後ろから声が聞こえた。
?「――美味しそうだな、それ。」
麦「ヒャッ!?…もう魔理沙さん、いきなり脅かさないでくださいよ。」
魔「ん?すまんすまん、そういう気はなかったんだぜ。」
その声の正体は魔理沙だったようだ。
麦「…そろそろ朝ごはん出来るのでお皿に盛ってもらえますか?」
魔「いいぜ。今日は元々朝ごはんをもらうつもりで来たからな。」
麦「『働かざる者食うべからず』、ということですか?」
魔「そうだぜ。」
朝ごはんを皿に移していると、部屋の奥から霊夢が出て来た。
霊「……(目を擦る)」
麦「あっ、霊夢さん。起きたんですね。今、朝ごはんを持って行きますね。」
霊「……(頷いて帰る)」
魔「…霊夢のやつ、完全に寝ぼけてるな…」
こうして、幻想郷での日常が始まるのだった。
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少女食事中…
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魔「…で?『これは魔理沙にも手伝ってほしい』なんて言っちゃってさ。…今日は何するんだ?」
霊「そう、昨日はあのレミリアから呼ばれてね。そこで何故か【チルノの討伐】を、私に依頼してきたのよ。…なんだか怪しくない?」
魔「そうだな……考えすぎじゃあないか?レミリア自身気まぐれなところがあるし、考えても無駄だと思うけどなあ…」
霊「まあ、報酬はあるらしいからちゃんと頑張るけどね。」
そんな会話をする二人。
そんな話に麦はついていけなかった。
魔「…麦がついていけません、って顔してるなこりゃ。」
麦「その通りです…」
だってレミリアって誰よ!
聞いたことないぞ。当たり前だが。
すると、霊夢は心を読んだかのようにこう答えた。
霊「…大丈夫よ。会えばわかるわ。」
麦「…霊夢さんも心読めるんですか?」
霊「いや?あなたが顔に出過ぎてるだけよ。」
麦「そ、そうですか…」
…私自身の問題だったようだ。
霊「さて、そろそろ行きましょう。報酬が私を待ってるわ!」
目を輝かせる霊夢。
麦「………霊夢さんっていつもこうなんですか?(ヒソヒソ声)」
魔「…いや、いつもはもっとかっこいいけどな?」
霊「そこ!聞こえてるわよ!」
そんな他愛のない会話をしつつ、私達はレミリア?さんがいる紅魔館へと向かった。
どうも。たると林檎です。
今回はほっこり回です。
こういうの書きたかったんですよね。
次の話もぜひ読んでください。




