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第十九話 依神紫苑

?「――おはよーございます!」

霊「……」

麦「お、おはようございます…」


大きい声で挨拶をしてくれたのは、ケモ耳のついた少女。

少し耳がキーンとしたが、挨拶を返さないわけにもいかないと思ったので、麦は律儀に返した…が、霊夢と女苑は無視していた。

少しその少女を見つめていると、文字が現れた。

名前は幽谷(かそだに) 響子(きょうこ)、能力は『音を反射させる程度の能力』。


何でもわかるなこの眼鏡…

…なんか怖い。


何でも分かる眼鏡に少し恐怖を抱きつつ、麦達は真実を確かめに聖白蓮のもとへ向かった。


ーーーーーー

少女移動中…

ーーーーーー


白「――あら、私が闇の力を操るだなんて…言いがかりはよして下さい。」

女苑「でも、私は見たんだ…!」

白「困りましたね…」


ため息をつく白蓮。


霊「正直に言いなさい。――あなたは異変を起こそうとしていた。そうよね?」


霊夢が白蓮を睨みつける。


白「…そういうなら証拠を見せてください。このままだったら実力行使も辞さないですよ。」

霊「…いいわ、その言葉、買ってあげる。」

白「…仕方ありませんね。そこまで言うなら付き合ってあげます。」

霊「女苑、あんたのことをすべて信じたわけじゃないけど…もし、あなたの言うことが真実なら手伝いなさい。」

女苑「しょうがないわね…」

麦「あわわ…」


い、一気に険悪な雰囲気に…!


霊「行くわよ、聖!」

白「いざ、南無三!」


その声と同時に、弾幕ごっこが始まった。

どっちがこの戦いに勝つのかは、麦にはわからない。

もし霊夢が負けてしまったら…?

――そう考えた瞬間、悪寒が背中を駆け巡った。

ただの勘でしかないというのに、とても嫌な予感しかしない。

今、私に出来ることは…!

麦が自分の脳を全て活用し、出した答えは――

――命蓮寺の中を調べること!


そう思うと同時に、麦の足は動き始めていた。


白「――!」


それを見ていた白蓮は麦の前に立ちはだかろうとしたが――


霊「何故そんなに麦の所に行こうとするのかしら?」


霊夢が邪魔をする。


白「――ッ…!」


その瞬間、白蓮の胸元で何かが光った――気がした。


◇◆◇◆◇◆◇


麦「女苑さんの話では寺の縁側付近だと聞いたんですけど…」


普通に広くて見つけられない。

というか、なんか寒い気がする……


下を見ると、少し霧が立ち込めていた。


麦「どういうこと…?」


こころなしかここらへんがちょっとだけ暗い気がする…

麦は怪しいと思ったので、そこら辺の屏風を開けると――


麦「……!」


そこには、禍々しい台の上に横たわった青髪の少女――紫苑がいた。


◇◆◇◆◇◆◇


白「フ、フフ…」

霊「あんた、なんで笑ってるの?」


白蓮の行動に違和感を感じた霊夢が聞く。


白「…やっぱり、ダメでしたか。」

霊「何がよ?」

白「コントロールについてですよ。負の感情の。」

霊「あんた、何を――」


するつもりなの。

その言葉が霊夢の口から出てくることはなかった。

それよりも、出てきたのは――


命蓮寺からのとんでもない量の負のオーラだった。


◇◆◇◆◇◆◇


紫苑「――――ッッッ!!!」

麦「うわ…!」


麦は台に横たわった紫苑に触る直前に、紫苑からのオーラをモロにくらった。


――寄って集って、私をいじめて…石を投げて、泥水をかけられて…全員、許さない…!

ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ――


麦「――!」


という呪詛めいた言葉を麦は感じ取った。


麦「………」


何を思ったのか――麦は、少しずつ、紫苑の所へ歩き始めた。

少しずつ、歩いていると――


麦「ぐっ…!」


麦の体を、何かが掠めた。

傷から鮮血が飛び散る。


紫苑「――クルナッ!チカヨルナアアアアアァァァア!」


紫苑は狂ったように声を麦に打ち付ける。

また、何か――いや、これは髪の毛のようだ。

髪の毛が、麦を紫苑に近付かせまいとうごめいているのだ。


麦「……!」


麦は紫苑の攻撃を甘んじて受け止める。

そして、紫苑に手をのばし――


◇◆◇◆◇◆◇


霊「――今までのは全部演技だったのね…!」

白「ええ、そうです。」


白蓮は顔の笑みを崩さずに言った。


白「あの子に、あれを止められるんでしょうか?フ…フフッ、アハハハハハッ!」


高笑いをする白蓮。

それを見て、霊夢は考えが変わった。


霊「――あんたみたいな外道には弾幕ごっこだなんていらないわ。全力で殺してあげる。」


そう言うと、霊夢の体が半透明になった。


白「フフフ…出来るものならやってみなさい!」


白蓮の方も虹色のオーラに包まれる。

その直後――

壮絶な戦いが、幕を開けた。


◇◆◇◆◇◆◇


紫苑「――ッ!?」


麦は、紫苑を抱きしめていた。


紫苑「ハ、ハナセ――」

麦「離さない。」


麦は確固たる意志で、そう言った。

抱きしめている紫苑は暴れているが、麦の話は続く。


麦「私が君に何と言われようとも、絶対に君を離さない。」

紫苑「……」


そう言った瞬間、麦の頬に冷たいものが垂れてきた。


――涙だ。


紫苑「ナ、ンデ…オマエノコトナンカ、キライダ…!」


紫苑から恨みのこもった声が聞こえる。

麦は彼女に何があったのかは知らないが――


麦「紫苑、君を――助けたいんだ!」

紫苑「ナ、ンデ…」

麦「何で、とかじゃない。困っている人を助けるのが、博麗の巫女の弟子としての仕事だっ!」


実際は、それだけじゃない。

私もいじめられていたから、紫苑の気持ちがわかるのだ。

私と同じ苦しみを持っているなら――助けてあげたい…!


紫苑「…イイノ?…ワタシモ、ダレカヲタヨッテ…」

麦「ああ、いいんだよ。私に全部聞かせてください。」


麦はよりいっそう、紫苑を抱く力を強めた。

すると――


紫苑「…うわああああん!」


紫苑は泣き出してしまった。

それと同時に、紫苑から出ていた負のオーラが無くなった。


紫苑「わっ、わたっ、私っ…うわあああ!」

麦「…うん、うん。ゆっくり、ゆっくり落ち着いて…」

紫苑「…うん…」


紫苑の背中をさすりながら、ゆっくりと、話を聞いてあげた。

こんにちは、たると林檎です。

今回も遅れてごめんなさい…!

ぜ、善処します…

厚かましいかもしれませんが…

次回もよろしくお願いします!


聖白蓮:紫苑を暴走させた張本人。

紫苑に悪夢を見させて負のオーラを蓄積させていた。

そこを女苑に見られる。

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