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第十八話 夜逃げ

麦「――ん、もう朝か…」


博麗の巫女の弟子の朝は早い。

朝起きて、ご飯を作り、食卓に並べる――のだが…


?「た…助けてくれっ!」


助けを求める声が、静寂に包まれた博麗神社内の空気を震わせた。


麦「どうしたの――」


麦は声の聞こえた方へ向かうと、そこにはバッグ、サングラス、指輪などなど、きらびやかに着飾った、栗色の髪の少女がいた。


麦「――あれ?あなた、私とどこかで会ったことありますか?」


麦は既視感を感じた為、相手に聞くことにした。


?「うん……?」


少女は記憶を引っ張り出しているのか、眉間にしわを寄せている。

麦も記憶を遡っていると――


二人「ああっ、あの時の!」


と、二人はお互いに指を指しあった。

どうやら、同時に思い出したらしい。


◆◆◆◆◆◆◆


遡ること二日前。

麦が里へ買い物に行った際の出来事だ。


麦「わっ…!」

?「きゃ…!」


麦は、里の一昔前の雰囲気が物珍しく、辺りをキョロキョロしていた。

そのせいで、前から歩いていた青い髪の少女とぶつかってしまった。


麦「す、すみません…!大丈夫ですか?」

?「はい…なんとか…」


麦は少女とぶつかった後、すぐに立ち上がり、謝った。


?「ちゃんと前くらい見て歩きなさいよ。」


そう言うのは件の少女。


麦「ご、ごめんなさい…」


麦がそう謝ると――


?「――あら、依神(よりがみ)女苑(じょおん)さんではないですか。こんなところで何しているんですか? 」


と、二人に話しかける女性が現れた。


女苑「げ…」


そっちの方を見るやいなや、苦虫を噛み潰したような顔をした。


?「ここで会ったのも何かの縁ですし、久しぶりに修行しませんか?」

女苑「あ、あはは…今はその気分じゃないっていうかなんというか…」

?「…隣にいるのは紫苑(しおん)さんですよね?紫苑さんも一緒に修行しませんか?」

紫苑「へっ!?」


麦を置いて、話がどんどんと進んでいく。

…麦の出る幕はなさそうだ。


麦「帰ろ…」


◆◆◆◆◆◆◆


ということがあったのだ。


女苑「って、そんなことよりも霊夢はどこにいるの!?私が探しているのはあんたじゃないの!」

麦「なっ…」


言っていることに少し腹が立ったが、麦は平然を装って返答した。


麦「霊夢さんは今――」


そこまで言うと、後ろの障子が開いた。


霊「何しに来たの、女苑。ここには何もないわよ。」

女苑「頼むよ霊夢!姉さんを助けてくれ!」

霊「はぁ!?」


霊夢は予想外の言葉に素っ頓狂な声を上げた。


霊「…どういうこと?」

女苑「話せば長くなる。それでもいい?」

霊「なんでもいいからとりあえず聞かせて頂戴。」

女苑「わかった。…あれは、そこのやつと姉さんがぶつかった後――」


◆◆◆◆◆◆◆


女苑「どうしてこうなった…」


女苑は布団の中でそう言った。

女苑は女性――名前は(ひじり) 白蓮(びゃくれん)という――に命蓮寺まで連れてこられていた。

【質素に暮らしたい】という願望は叶うかもしれないが――


女苑「前に居た時に飽きた時点で無理よねぇ…」


――女苑は疫病神である。

疫病神である自分の体が贅沢をしないと気が済まないのだ――と自分で感じていた。


紫苑「女苑!ここはいいとこだよ!ご飯や漬物を食べさせてくれるんだよ!」

女苑「はぁ…」


女苑はため息をついた。

――紫苑は貧乏神である。

そのせいで、今までちゃんとした食べ物をそんなに食べられていない。

私はここを抜け出したいが、紫苑にとってここは天国と言うべきところと同じなので、他のどこにも行きたくないだろう。


――明日から、私だけでも逃げる準備をしなくっちゃ…


そう決心し、女苑は深い眠りについた。


ーーーーーー

少女睡眠中…

ーーーーーー


女苑「観自在菩薩。行深般若――」


女苑は、般若心経(はんにゃしんぎょう)を読まされていた。しかも早朝から。


白「紫苑さんはこちらで少しずつ覚えましょう。」

紫苑「は、はい。」

女苑「是諸法空相。不生不滅――」


早く終わってくれと、そう思った女苑であった。


ーーーーーー

少女修行中…

ーーーーーー


白「紫苑さん、ちょっとこちらへ。」

紫苑「はい!」


紫苑が何故か呼ばれた。


女苑「…?」


少し怪しく思ったが、このときはそんなに重く思っていなかった。


ーーーーーー

少女修行中…

ーーーーーー


――おかしい。


女苑は布団の中でそう思った。

あれから紫苑が帰ってくることはなく、白蓮に聞いても――


白「紫苑さんには墓の掃除をしてもらっています。」


などと言い、何故か一緒に行動をさせない。

なにか嫌な予感がした女苑は、命蓮寺を抜け出すことにした。


女苑「……」


通路に誰もいないことを確認し、息を殺して歩く。


女苑「…?」


ふと、通路の先に光が漏れている障子があった。

好奇心に勝てず、覗き込むと――


白「ふふふ…これで……」


白蓮が、闇を操っていたのだ。


女苑「――!」


女苑は慌てて足を滑らせ、尻もちをついた。

そのせいで通路の板がきしぃっ、と鳴いた。


白「……女苑さーん?何故そこにいるんですかー?」

女苑「ひっ!」


女苑は全速力で逃げ出した。

――その後のことはよく覚えていないが、気付けば博麗神社付近まで逃げてきていたらしい。


◆◆◆◆◆◆◆


霊「――(にわか)には信じがたいわね…」


女苑の話を聞いた霊夢が言う。


霊「…でも、前にうどんげが敵になったこともあったし、これも本当かもしれないわね。」

麦「つまり…?」


霊夢の結論を待つ麦。


霊「――確かめに行くわよ。命蓮寺へ。」


霊夢はそう宣言した。

こんにちは、たると林檎です。

またまた遅れてごめんなさい。

最近忙しくて…遅れないように努力します…

お話としては女苑が命蓮寺から逃亡しました。

さて、どちらが敵なんでしょうかねぇ。

次のお話もよろしくお願いします!


依神紫苑:最凶の姉妹の姉。

貧乏神であまり良い生活が出来ていなかった。

能力は『自分も含めて不運にする程度の能力』。


依神女苑:最凶の姉妹の妹。

豪華な暮らしをよくしているが、内心は質素に暮らしたいらしい。

能力は『財産を消費させる程度の能力』。


聖白蓮:命蓮寺の和尚さん。

特に身体能力を向上させる魔法を扱う。

能力は『魔法を使う程度の能力』。

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