表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/30

第十五話 操られた霊夢

霊「――私は優曇華院様の守護者(ガーディアン)、博麗 霊夢。この御方には、傷一つ付けさせない。」


私達に向かって宣言する霊夢。


麦「霊夢…さん…?」

魔「…噓だよな?霊夢。冗談にしても笑えないぞ。」


魔理沙はこの状況が信じられず、霊夢に問い掛けるが――


霊「冗談じゃないわ。本気よ。」


無情にも、これは現実だった。


魔「…話は通じなさそうだな。」


魔理沙は覚悟を決めたかのように、八卦炉を強く握った。


魔「…こい。私が相手だ!」


いつもの魔理沙とは思えない真剣な声色(こわいろ)で言い放った言葉は、霊夢の闘争心を刺激したのか――


霊「へぇ…いい声出すじゃない。――本気で相手してあげるわ。」


と、霊夢に言わせた。


麦「……」


麦は、まだ二人が全力で戦うところを見たことがない。

だから、麦が二人の動向に目を奪われているのはある意味自然だったと言える。

霊夢が先に動いた――と思った時には、霊夢のお祓い棒が魔理沙へと迫っていた。


――危ない!


そう思ったが、魔理沙はこうなることを予想していたかのように、冷静に箒で防御した。


魔「…こうやって戦うのはいつぶりだろうなぁ?霊夢。」

霊「……」


魔理沙は霊夢に問いかけたが、返事は帰ってこなかった。


魔「――無視か。…麦!霊夢は何とかするから、そっちはうどんげを頼む!」

麦「――!はい!」


麦はうどんげがいた所を見た。

うどんげは前で腕を組み、余裕があるように見せていた。


優「ほう。其方(そなた)も我に挑もうと言うか。」

麦「はい。」

優「その勇気、誉めてやろう。――その勇気に免じて、其方も私の仲間にならないか?」

麦「…は?」


――そんなもの、なるわけないだろう。


そう言いそうになったのを引っ込めた。

相手は自分のことを見下している。

相手に付け入る絶好のチャンスだ。


麦「……なります。」

優「フフフ、其方ならなってくれると思っていた。」

魔「!?」


魔理沙は麦の方を向こうとしたが、霊夢の攻撃を受け止めるだけで精一杯だった。


優「…我が主は幻想郷の支配を目的としている。其方も、それに協力してくれるな?」

麦「…はい。」

魔「おい!どうしちまったんだよ!麦!お前は異変を解決するためにここにきたんだろう!?」


魔理沙からの声が、麦の罪悪感を増幅させる。


麦「……」


麦はただ黙ることしか出来なかった。


優「…さあ、私の手を取り、我が主の配下に加わるのだ!」


うどんげが右手を差し出す。

…今がチャンスだ。


麦「…なるわけないだろう!このうさ耳!」


麦はうどんげの手を払い退けた。

うどんげはいきなりの出来事に固まっていたが、やがて、不気味な笑みを浮かべた。


優「フフフ…そうか。貴様はもとからこちらに寝返るつもりはなかったのだな。…だが、甘い!甘すぎる!」


うどんげは腕を広げた。


優「元にこうして私に何一つ傷を付けられていない!貴様は折角の機会を自らどぶに捨てたのだ!」

麦「…それは違います。」

優「…なに?」


麦はうどんげの話を遮った。


麦「…あなたは私を舐めすぎです。」

優「ほう…では何をしたんだ?」


高圧的な態度で問いかけるうどんげ。


麦「…分からないんですか?――霊夢さん!」


麦は霊夢に呼び掛けた。

普通なら、麦の声に反応するはずがないのは明白なのだが――


霊「――……」


体がピクリと跳ねる。

霊夢から反応が帰ってきた。


麦「霊夢さん!思い出してください!」


麦は息を大きく吸った。


麦「ここに来たのは――異変を解決するためでしょう!?」


――これは魔理沙の受け売りだが、霊夢にも届くはず…!

麦の予想は当たり、霊夢の機敏な動きが鈍り始めた。


霊「異…変…?かい…けつ…いや、私は…」


霊夢の口から言葉が溢れる。


優「そうだ!其方は私の守護者(ガーディアン)だ!此奴(こやつ)の策略に()まるでない!」


そう言って、能力を使おうとするが――


霊「私…わ、たし、は…」

優「クソッ、何故使えない!」


使えない。

ついには霊夢はその場で止まって頭を抱えてしまった。


――霊夢に掛かっている洗脳が解けかかっている。


そう確信した魔理沙は、最後の一押しを加えた。


魔「お前は博麗の巫女なんだろう!?ならその程度の洗脳なんか吹きとばせ!――帰ってこい!霊夢!」


魔理沙の言葉が霊夢に届いたのか、霊夢は魔理沙の方を見た。


霊「――ぁ、まり、さ…?」

魔「ああ、そうだ。私は霧雨魔理沙だ。」

霊「魔…理沙。私、私は…」


頭を抱えて座り込む霊夢。

そして、不意に立ち上がった。


霊「……全て思い出したわ。――私が何であるかを。」


霊夢はうどんげの方向に向き直る。


霊「私は博麗の巫女、博麗霊夢。この異変を解決する者よ!」

優「くッ…!」


うどんげは思い詰めた顔をした。


霊「よくも私で遊んでくれたわね…?」


ヤンキーのように怖い顔をする霊夢。


優「ま、待て。話せば分かる。話せば――っ!?」


霊夢は手に持っていたお祓い棒で、うどんげの頭を叩いた。

ゴッ。

中々鈍い音をたてた後、うどんげは白目を向いて倒れた。


霊「安心して。死んではいないわ。…多分」


と、霊夢は言う。

最後に付け加えられた言葉に不安を覚えるが――


魔「――ひとまずは、この騒ぎは落ち着いたようだな。」


この騒ぎに終わりを告げた魔理沙であった。

なんとか週三投稿したかったけど無理でした…

これからも頑張りますので今後ともこの作品をご贔屓に…(後十一話)

物語としては霊夢が操られて復活しました。

元々考えていたのより少し短くなりました。

次のお話もよろしくお願いします!


鈴仙・優曇華院・イナバ:異変によって騒ぎを起こした玉兎。

『繋がりに干渉する程度の能力』はその名の通り、繋がりに干渉して改変することが出来る。

しかし、制約として、自分と明確な繋がりがないと、繋がりを改変することは出来ないし、発動するためには目を合わせる必要があった。

この能力は一応、妹紅にも効いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ