第十三話 異変の知らせ
霊「――さて、昼食も食べたことだし、異変を解決しに行くわよ。」
昼食を食べ終わった霊夢一行は、紅魔館を出発しようとしていた。
レ「今回もいい暇つぶしになったわ。――麦も、また遊びに来てちょうだい。今度は私が相手してあげるから。」
後ろで霊夢一行を見送ろうとしていたレミリアはそう言った。
妹のフランに勝つのもギリギリだったのに、私は姉に勝てるのだろうか…
麦「ははは…また来ます。」
麦は苦笑交じりに返答した。
魔「…さて、私はそろそろ家に帰らせてもらうぜ。」
そう言うのは、パチュリーに僅差で勝った魔理沙。
後ろから「む、無念…」という声が聞こえた――気がした。
レ「それじゃあ、また会いましょう。」
霊「またね。」
そして、霊夢と魔理沙と麦は、紅魔館を出発した。
――そこからの帰り道。
魔「…んじゃ、そろそろお別れだな。」
霊「ええ、そうね。――今日は有難う。」
魔「どういたしまして。」
そして、魔理沙が他の方向へ箒の先を向けたところ――
霊「――誰か来る…!」
と、霊夢が言った。
そう言われたので、麦は周囲を警戒していると――前方から、こちらに近づいて来ている炎の玉が見えた。
麦「前から炎の玉が…!」
霊「――誰!姿を表しなさい!」
霊夢は炎の玉に問い掛けると、それは弾け、中から白髪の少女が現れた。
?「霊夢、驚かせてしまってすまない。だが――永遠亭で異変が起きたんだ!霊夢にも助けて欲しい。いいか?」
霊「――!…ええ、いいわ。」
?「ありがとう。詳しい内容は道すがら話すことにしよう。そこの魔理沙も一緒にな。」
魔「なんか巻き込まれたんだが…」
魔理沙は少し不服そうだ。
麦「私も行きます!」
?「…いいのか?」
白髪の少女が霊夢に問う。
霊夢は少し悩んだが――
霊「…ええ、構わないわ。」
?「分かった。君の名前は?」
麦「稲見 麦です。」
?「…麦でいいか?」
麦「はい。」
?「では、永遠亭に向かうとしよう。」
霊夢一行と白髪の少女は永遠亭に向かった。
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少女移動中…
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?「――自己紹介が遅れたな。私の名前は藤原妹紅と言う。よろしく頼む。」
麦「よろしくお願いします。」
妹「――さて、そろそろ迷いの竹林に着く頃だな。」
周りの景色は雑木林から竹林へと移り変わっていた。
妹「これ以上は全速力で行くとうどんげ達に音でバレかねない。だから、ここからは歩いていくとしよう。」
何を隠そう、妹紅の全力はとてもうるさかったのだ。
正直に言って、永遠亭に着くまでの話はよく聞こえなかった。
霊「まだ異変の細かいところが聞けてないしね。」
妹「ああ、そうだな。…今までに、うどんげ等の永遠亭にいる奴等が全員敵だとは言ったな?」
麦「…はい。」
そこだけは辛うじて聞こえた。
妹「その中でも…主犯格はうどんげだと、私は睨んでいる。」
霊「…それは何故?」
霊夢が問う。
妹「――見たんだ。うどんげが、兎の妖怪達を洗脳するところをな…」
妹紅は信じられないものを見た、という顔をしていた。
妹「…最初は自分の目を疑ったよ。――いつものように永遠亭に向かっていてな。いつもより騒がしく思ったから竹林の間から永遠亭を覗いたら…」
霊「うどんげが妖怪を洗脳していた…」
妹「そうだ。――その後、うどんげの周りにいた兎の妖怪に見つかってしまってな…私は全速力で博麗神社へ急いだ。その博麗神社で茨木 華扇という者に出会い、その者に『霊夢は紅魔館にいる』と聞いたんだ。」
霊「そして私達と合流した…と。」
妹紅は首を縦に振った。
妹「さて、私が霊夢に会うまでの間を説明したところで…そろそろ作戦会議をしよう。相手には手強い奴らがいるぞ。」
霊「…そうね。相手には蓬莱人がいるけど…こちらも蓬莱人をぶつけるまでよ。」
妹紅はやれやれというように首を振った。
妹「…霊夢は人使いが荒いな。」
霊「でも――今はそれが最善でしょう?」
霊夢は妹紅を真っ直ぐに見た。
妹「…分かった。輝夜のことはなんとかしよう。でも、因幡 てゐや八意 永琳は抱えられないぞ。」
妹紅はそう指摘した。
霊「そこら辺は私達三人で何とかするわ。」
魔「私達をなめてもらっちゃあ困るぜ。」
霊夢と魔理沙は同時に頼もしいことを言ってのけた。
妹「…二人がそう言うのなら大丈夫だろう。では、永遠亭にどうやって侵入しようか?」
霊「正面から行くのはダメなの?」
霊夢から少女とは思えない位強引な案が出た。
しかし、その案を却下したのは魔理沙だった。
魔「――厳しいだろうな。敵と戦っている最中に敵の増援が来るかもしれないし…弾幕ごっこに乱入するかも定かではないし。」
霊「……」
妹「なら、どうする?魔理沙。」
魔「うーん…やっぱりうどんげを真っ先に何とかするしかないんじゃないかなぁ…」
魔理沙はそう言った。
妹「…麦も何か案は無いか?」
妹紅は話を麦にも振ったが――
麦「無い、ですね…」
妹「そうか…」
麦に何とか出来る力は無かった。
麦「…うどんげの所まで瞬間移動出来たらいいのに…」
麦の口からこぼれた妄言。
何の考えも無しに言った言葉だったが――
霊「…それよ!」
と、霊夢が何か閃いたようだ。
魔「…何を思いついたんだ?霊夢。」
霊「うどんげのところに連れてってもらえばいいのよ。――八雲 紫にね。」
魔「あぁ、あのスキマ妖怪か…」
二人にはぴんとくる人がいるらしいが――
麦「あのぅ…八雲 紫って誰ですか…?」
またしても何も知らない稲見 麦なのであった。
…時間が圧倒的に足りません。
このまま週二投稿にならないように頑張って行きます。(後十二話)
今回は藤原妹紅が出て来ました。
八雲紫の出番は…ほとんどないかも…
今後の活躍に期待、ってことで…
次のお話もよろしくお願いします!
藤原妹紅:元人間の蓬莱人。
気が強く、少しやさぐれている。
でも、根は優しい。
能力は、『老いる事も死ぬ事も無い程度の能力』。