第十話 あーそびーましょ!
レ「元々こうなることは視えていたけれど…その運命が変わらなくてよかったわ。――あなたのせいで、ね。」
飲んでいたティーカップを置き、そう付け加えた瞬間に、レミリアは紅い瞳で麦を見据えた。
途端に、麦は恐怖を感じ始めた。
まるで自分の全てのことが見透かされているような感覚に陥ったからである。
その恐怖に耐えられず、ただただ固まっていると、レミリアからこんな言葉が発せられた。
レ「――…あなたは数奇な運命のようね。」
麦「…えっ?」
麦はレミリアの言ったことが理解できなかった。
霊「――無理に理解しようとしなくていいわ。」
そう言ったのは、今まで口を閉ざしていた霊夢だった。
霊「ここから先はレミリアと話したいことがあるから、チルノを連れてこの部屋を出ていてくれる?」
麦「…なんでですか?」
霊「あなたは部外者でしょう?」
麦「…」
ぐうの音も出ない。
麦「…分かりました、チルノと一緒に待機してます。」
大人しくしているように言われたチルノと一緒に部屋を出た。
ーーーーーー
少女待機中…
ーーーーーー
麦「――暇だなぁ…」
麦はあまり辛抱強い方ではなかった。
チ「…なら一緒に紅魔館を探検しようよ!」
奇しくも、チルノも辛抱強くはなかったのである。
麦「えぇー…」
口ではそう言うが、正直、探検したい。
麦「…よし、探検しよう!」
麦は少しの間黙っていたが、やはり探検をすることに決めたようだ。
チ「ホント!?」
麦「本当だよ。…じゃあ最初に大広間、行こうか!」
チ「突撃ー!」
こうして、チルノ探検隊(仮)の冒険が始まった。
◇◆◇◆◇◆◇
咲「お嬢様、私もここで…」
レ「ええ、下がっていいわよ。」
咲「失礼致します。」
その言葉を最後に、咲夜は姿を消した。
霊「――で、レミリアは何で私を呼んだのかしら?」
残された霊夢はレミリアにそう問い掛ける。
レ「最近起きた異変の事よ。覚えてるでしょ?」
霊「…」
覚えている。あの一時的にもう一つの能力が使えるようになったことである。
異変解決に動き出した頃には使えなくなったが――
霊「…あの時の里の様子におかしなところはなかったと慧音から聞いたけど?」
レ「里がどうたらこうたらじゃないわ。…実はその頃からフランが部屋の外に出なくなったのよ。」
霊「…は?フランはいつもそこにいるんじゃないの?」
レ「私は部屋の外になら出てもいいと言ったわ。」
霊「ふーん…外に出るかはフラン次第じゃないの?」
レ「フランはいつも二日に一回は外に出ているわ。」
霊「…」
いつもと違う行動…か。
レ「咲夜に聞いても【いつも通り】しか返ってこないし、私が直々に行ってもフランの様子に変わりはないし…正直なところお手上げよ。」
霊「…考え過ぎじゃないの?いつもと変わらないならそれでいいじゃない。」
レ「…そうね、考え過ぎならいいんだけど…」
レミリアは浮かない顔をしているが、置いてあった紅茶を飲んで一旦区切りをつけたようだった。
レ「――ありがとうね、相談に乗ってくれて。」
霊「これぐらいのことだったら、私が暇だったら乗ってあげるわよ。」
レ「…さて、そろそろ外にいる二人を――」
その時だった。
ドゴーン!
と何かが壊される音がしたのだ。
二人「――!」
異変を感じた二人が大広間を見ると…
――そこには弾幕ごっこをしているフランと麦がいた。
◆◆◆◆◆◆◆
遡ること十数分前。
麦「大広間まで来たけどここからどうしようか…」
もちろん勢いだけで来たのでこの後のことは何も考えていない。
どうしたものかと考えていると、遠くにあったドアが開いた。
ただただドアが開くのを見ていると、そこから金髪の少女が出てきた。
?「…あっ、見つけた。」
何か言っているようだったが、遠すぎて聞こえなかった。
すると、金髪の少女は麦に近づいてきたのである。
麦「…?」
何かをするでもなく、ただ立ち尽くしていると、少女の方から声をかけてきた。
?「こんにちは。私、フランって言うの。私と一緒に遊んでくれない?」
麦「…えぇ?…えーと、少し遊ぶくらいなら…」
麦がそう言うと、フランという少女は顔を明るくした。
フ「…いいの?やったー!」
麦「えーと、それで何で遊ぶの?」
フ「弾幕ごっこー!」
麦がそう聞くと、フランはそう即答した。
麦「えぇー…私そんなに上手くないし、他の人の方が…」
フ「えぇー、遊んでくれるっておねーさんが言ったんでしょ?」
麦「う、うん言ったね…」
弾幕ごっこで遊ぶとは思わないじゃん…
フ「そういえばおねーさんの名前を聞いてないね。」
麦「確かに。…私の名前は稲見 麦よ。」
フ「稲見麦…忘れないようにするね。…じゃあ早速弾幕ごっこ、しよ?」
麦「う、うーん、するかぁ…」
麦はあまり乗り気ではなかったが、やると言ったのだからやらねばなるまい。
麦はフランと少し距離を取った。
フ「準備はいい?」
麦「…いつでも。」
フ「…じゃあ楽しい弾幕ごっこを始めよう!!」
――弾幕開始!
フ「最初っからいっちゃうよー!『禁忌「クランベリートラップ」』!」
弾幕はチルノのスペルカードと同じく横方向から出てきた。
あれ?そういえば…
麦「チルノどこに行った?」
◇◆◇◆◇◆◇
一方そのころ、チルノは――
チ「……君のような勘のいいヤツは嫌いだよ」
咲「…いきなりどうしたの?そんなこと言って。」
チ「なんか言わなきゃいけないような気がした。」
咲「…そう」
咲夜に見つかり捕まっていた。
◇◆◇◆◇◆◇
麦(まあいいか。そんなことよりも早く弾幕ごっこを終わらせよう。)
横方向から放たれた弾幕は自分が居た所を目掛けて飛んできている。
それだけなら――
麦「突破出来る!」
その言葉と同時に周りの弾幕が弾けた。スペルブレイクである。
フ「おねーさん強いね~。でも、まだまだ!『禁忌「レーヴァテイン」』!」
すると、ビーム状の剣が現れた。
そしてそれを麦目掛けて振ろうとしてきた!
麦「――っ!?」
麦は辛うじてよけることが出来たが、体勢を崩してしまった。
振られた剣は、そのまま横の壁に吸い込まれていき――
ドゴーン!
と轟音を立てて止まった。
麦「ひえっ…」
壁が簡単に崩れた…
霊「――何事!?」
その声と同時に霊夢が麦の隣に来た。
麦「ああ、フランさんが遊びたいからと…」
霊「あなた死ぬ気!?」
麦「ええっ!?そんなつもりはないですよ!?」
そう反論すると霊夢はため息をついた。
霊「まあ、あなたに遊んでほしいと頼んだのなら…私は下手に手出ししないわ。あくまでも自分の力で頑張りなさい。」
麦「も、元々そのつもりですけど…」
霊「…とりあえず相手の弾幕は全てよけなさい。私から言えることはそれぐらいよ。」
麦「は、はい…」
フ「そろそろいーいー?霊夢も巻き込んじゃうよー?」
フランはもうこれ以上待てなさそうだ。
霊「はいはい、わかったわよ。」
霊夢がその場を離れていく。
フ「じゃあ、第二ラウンド始めようか!」
ここから、麦の魂を掛けた弾幕ごっこが始まる。
今回はフランが出てきましたねぇ~。
これであと十三話…道は長い…
パロディーは楽しんでもらえましたかね…(感想を下さい)
これからもどんどん書きます。
次のお話もよろしくお願いします!
フランドール・スカーレット:レミリア・スカーレットの妹。
いつも狂ってはいない。
以外と落ち着いていたりする。
但し、一般的な常識は通じない。
能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』。