異世界への誘い
?「もうこんな時間か…」
ふと時計を見ると時間は零時をまわっていた。
?「ふあぁ…そろそろ仕事を終わらせないと…」
彼はパソコンを打つ手を速めた。
…え?お前は誰なんだ、って?
俺はしがないサラリーマン、ブラック企業勤めだ。
…名前を言えって?…こんな二十代後半の男性の名前を聞いてどうするんだよ。
ようやく打ち終わった書類を確定させるとエラーのウィンドウが出てきた。
俺「もう…またか……」
この会社に入ってから定期的に出てくるエラーのウィンドウに初めはイライラしたが、今ではもう慣れてしまった。
一応上司にも言ってみたが、結局先延ばしにされて直してもらえなかったし…
…ま、出てきても消してしまえばいいだけだったしな。
俺は手慣れた手付きでエラーウィンドウを消すと見慣れないウィンドウが出てきた。
俺「ん…?何々…?――貴方は其処ではない世界に興味はありますか?――…何だこれ…」
見慣れないウィンドウなのでそこで消してしまえばよかったのだが…何をとち狂ったのかそのウィンドウのYesボタンを消してしまった。
――それは俺がこの会社から逃げ出したかったからかもしれない。
俺「えっと…?――貴方にはその世界からいなくなる覚悟がありますか?――……」
もちろん俺には父と母がいるし弟もいる。俺の大切な家族だ。だが…
俺「………」
…かなり悩んだが、俺はYesボタンを押した。
俺は家族を売ったのだ。
だが、生まれ変われるのなら正直どうでもいいといいと思えるぐらい最悪な社畜人生だった。
俺「…――貴方は転生する条件を満たしていません。少々お待ち下さい。――なんだ…やっぱり偽物か…」
偽物だったことに俺は失望に満ちた声を出した。
…ならばこの仕事を速く終わらせないといけないではないか。
このやり取りでウィルスが入った可能性はあるが、どうせブラック企業だ。もうどうにでもなってしまえ。
俺「とっとと終わらせて帰るか…」
明日も来る仕事のために今日最後の仕事を終わらせた。
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男性帰宅中……
ーーーーーーー
俺「あー…やっと家だ…」
仕事を終わらせて帰った俺。
やっすいアパートだが窓からは桜の花が見える。
俺の心の癒しだ。
俺「…やっぱり桜の花は綺麗だな…」
桜の季節は出会いと別れの季節。
――そろそろ俺もあの会社からお別れしようかな…
よし、退職してやろう。
そんな出来るわけがないことを思いつつ、俺はベッドに倒れ込んだ。
あぁ…明日も仕事だ…
人生をもう一度やり直せないかな…
…このときの俺は知らなかった。
転生の引き金が深い眠りに落ちることだったことを…
今回はプロローグです。
…え?幻想郷の話が出てこないって?
…これが初めての作品だしプロローグなので許してください。
この作品がいいと思ったら次回の作品も見てください。
この作品の色々について質問したい人は感想と一緒にお願いします。
(ネタバレしない範囲内でだったり遠回りな言い方で後書きに書きます!)
これからよろしくお願いします!
登場人物紹介
しがないサラリーマン:人生のすべてで躓いた男性。
そのせいか行き当たりばったりで自暴自棄になることが多い。
元々は物事に対して深く考える人であった。
思い切りがいい。