引き裂かれる絆
一時限目の数学の授業の終了を知らせるチャイムが鳴り響き、一斉に教科書を閉じ、シャーペンをペンケースにしまい、短いトイレ休憩を自由に過ごす生徒達。
好美も、だいたい、いつも真希と共に行動していたが、悠太が暴露した事で2人の間にも気まずいものが蟠り、互いに自分の席から動こうとしなかった。
そんな2人の様子を歩は訝しげに見守った。
けれど、以前のように気軽に話しかける事はせず、歩は短い休み時間を有意義に過ごした。
気まずい時間に耐え続け迎えた放課後、好美は足早に下校した。
そんな好美の後姿を真希も歩も別々の場所から見送った。
見送りながら歩が一人走っていると、程なく翔もランニングを始めた。
そしてさり気なく歩と並んで、誰にも聞き耳を立てられていない事を確認すると、心配そうに確認した。
「土曜日さ、ちょっと、小沢達と、おかしな空気になってたみたいだけど、俺たちを優先して良かったのか?」
「うん、あそこで2人に会うなんて思わなくて、ちょっとビックリした、でも別に2人に誘われたわけでもないし約束もしてなかったし」
「そうなのか?」
「そうだよ、だから気にしないで平気」
「なら良いんだけど、お前ら3人っていつも、つるんでいるイメージがあったから意外」
歩は翔の悪気が無い、素直な感想に地味に精神的ダメージを受けたが、ポーカーフェイスで喋りながら走り続け、不意に両角の視線に気付いた。
「・・・・・っと、両角先生がまた睨んでる!お先に!また後で書店でね!」
歩は翔を置いて、ペースを上げた。
一方、真希は、そんな親しげな2人の姿を見せ付けられ、モヤモヤするものを感じながらもひたすらスタートダッシュの練習を繰返した。
考えると辛くなるので、真希は無心になりたくて集中した。
「連絡事項は特になし、解散」
チャイムと同時に終了し、後片付けに取り掛かる一年の面々。
体育倉庫で黙々とトレーニング用具等を片付けていると、歩と真希に2人きりになるタイミングが訪れた。
絶好のチャンスを迎え、真希は注意深く周りを確認して歩に話しかけた。
「・・・・・・歩!」
唐突に、どこか思い詰めた声音で呼ばれ、歩は巻尺を握りしめたまま思わず振り返った。
「日記、ずっと歩の所で止まってるね、書きたい事一杯あるんだけど」
話し掛けられる事を想定していなかった歩は、急に軟化した真希の態度に警戒しつつ、戸惑って見せた。
「でも、その前に、まずは謝りたい・・・・・本当にゴメンね、友情を誓い合ったのに、こんな最低な事!歩が嫌じゃなかったら、これからも交換日記やろう!説明は日記の中でさせて?」
どうやら妙な罠は張られていないようだと、ほんの少し警戒を解いて見せた。
「・・・・・判った、ノートは明日、持ってくる、とりあえず真希の下駄箱に入れておくよ!」
「いや、下駄箱は、また妨害されるかもしれないし」
「また?」
不意に外に人の気配を感じた2人は直ぐに口を噤んでドアを振り返った。
そこに立っていたのは両角だった。
「おい、片付けにどれだけ時間掛けてるんだよ!その鍵、早く返してくれよ、これから職員会議が控えているんだから、無駄口きいてないで早く終らせろよ」
小言を言われ、2人、手を動かし、素早く片づけを終らせ鍵を返し学校を後にした。
久し振りに歩との下校を果たした真希は、周囲に気をつけながら、日記の受け渡し場所に部室のロッカーを提案した。
「明日、部室の私のロッカーに入れておいて、部室のロッカーなら安全だと思うから」
「判った」
それぞれ帰宅し、真希も好美も、この日は、お互いにLINEを控えた。
一方の歩は、真希に日記を回す為、久し振りに日記帳を開いた。
けれど、以前のように無邪気に平凡な日常を綴る気には、流石になれなかった。
思いの丈を短いメッセージに込めた。
『久し振りに真希と話せて、少なくとも私が何か気に障る事をしたわけじゃない事がわかっただけでも良かった、日記で話したいって事だったよね、可能な範囲で良いから色々と詳しく聞かせて?』
朝連の後、歩は最後まで部室に残り、誰の目もない事を確認した上で真希のロッカーに日記を入れた。
クラスでは変らず保身の為に無視を続けつつ、放課後、一人になるタイミングに素早く日記を回収した真希は、帰宅後、早速確認した。
歩の、切実な短いメッセージに真摯に応えるべく真希はペンを取った。
そして自分達が仕方なく歩を無視している事を説明した。
本来なら好美にも回す所だが日記は複数回、2人の間でやり取りされた。
違う部の好美に、一切のリスクを伴わず、安全に日記を回す事が難しそうだったので、当面は好美を交換日記から省く事が得策と言う判断に至った。
その後、日記を回す唯一の機会の部活動がテスト勉強期間中で無くなり、日記は真希の所で一旦、止まった。
そんな中、好美は予期せぬ形で自分が交換日記から外されてる事を知る事になった。
それは、ある週末の事だった。
咲希の高校の友だちが家に来るからと、部屋を追い出された真希が近くの図書館で勉強に励んでいた。
同じ頃、その図書館に、寛子と一緒に試験勉強をする為に訪れていた好美。
電車に乗り遅れ、約束の時間より少し遅れると連絡を受けた好美は、姉に簡潔に了承した旨を返信して場所取りした後、先に勉強に取り掛かった。
暫し英語の勉強に励んでいると程なく寛子からLINEが届いた。
『着いた、どこら辺に要る?』
『迎えに行く、入り口に居て』
入口に向かう途中、偶然会った真希は、通り過ぎていく通行人の視線を気にかけながら、歩に回す為の日記を書いていた。
「ヨッシー・・・・・」
「真希ちゃん、そのノート・・・・・・」
慌てて閉じられたノートの表紙は、あの日、歩が好美に見せた青空をモチーフにしたものだった。
久し振りに交わした2人の言葉は何とも気まずいものだった。
「鏑木さんから回ってきたの?」
「違うよ!」
真希は咄嗟に嘘をついた。
「・・・・・嘘!っていうか、何ページか書いてあったよね、どう見ても」
追求され、隠し続けるのも急激に面倒になった真希が開き直ろうとした刹那。
好美が寛子からのLINEを再び受信した。
LINEに急かされて好美は冷たく立ち去って見せた。
「・・・・まぁ良いや、お姉ちゃんも図書館着いてるみたいだから私行くけど」
「え?」
何故、姉妹が敢えて別行動で図書館に来るのかと、訝しげに真希が好美を見上げた。
訝しがる真希を一瞥して好美は立去った。
素っ気なく立去って見せながらもボタンの掛け違いで生じてしまった真希との溝を感じ好美の胸は寂しさで一杯だった。
好美に背を向けられた真希はイライラしながらも再び日記の続きを書こうとしたが、色んな疑念が邪魔して頭の中が散らかった。
溜息をついて、燻り続ける疑念を一掃しないと何も手に付きそうに無いので、さり気なく後をつけた。
そして図書館の入口で皆で巨大パフェを食べた時に、姉と紹介していた人物と会っているのを見て、とりあえず自分が抱いた、コッソリ歩に会ったりするのでは?という疑念が不要なものだったと理解して席に戻った。
その後、個々に有意義に勉強を進めて適当な時間に図書館を後にした。
帰宅後、好美は久し振りに思い切って真希にLINEを送った。
『ウジウジするのは嫌だからハッキリ聞くけど、交換日記、私、外されてるよね?』
真希は、その文面を確認して盛大な溜息をついた。
そしてスマホを持ち直し、覚悟を決めてタップしていった。
『まずは、図書館で咄嗟に無意味な嘘をついた事、とりあえず謝るよ』
『いつから?いつから2人でコソコソしてたの?!歩ちゃんも私を外そうって言ったの?』
直ぐに届いたメッセージに不快になりながら強い力で送信ボタンをタップした。
『変な被害妄想やめてよ!そんな相談は誓って、お互いしてないから!』
好美は怒りに任せ直ぐに、言葉を選ぶ事もせず返信した。
『なら何で私、外されてるの?!自分だけ歩ちゃんと仲直りしたの?!私だってちゃんと話して謝りたかったのに、私から、そのチャンスを奪う権利なんて真希ちゃんに無いよね?最低だね!』
怒りのLINEを受け取った真希も冷静さを欠いていた。
『へぇ、人の事、最低とか言っちゃうんだ?でも最低って言うならヨッシーの方が最低だと思うけどね、ヨッシーがあんな紙、回したりしなければ私たちは、ずっと友達でいれたのに』
触れられたくない、ずっと後悔していた部分を責められ、直ぐに返信できなかった。
その時、リビングから耀子が好美を呼んだ。
「好美、ご飯」
「・・・・・・はい」
結果、真希に対し「既読スルー」の形になってしまった。
「何なの!もう」
都合悪い事を無視されたと受け取った真希が思わず声を上げた。
中間試験の出題範囲を勉強していた咲希が自分の隣で荒れている真希に訝しげに視線を流した。
「ちょっと煩いな!何荒れてるの?とりあえず勉強の邪魔だから静かにしてよ、あんたもスマホばかり弄ってないで勉強しなよ!あんたも明日からでしょう、中間試験」
山積みになる憂鬱な問題に盛大な溜息を洩らしながら、スマホをベッドの上に放ると真希も前を向き直り勉強を始めた。
それでも、好美に言ってやりたいことが有りすぎて、全く集中出来ず、真希はスマホを拾い上げLINEを送りつけた。
怒りの形相でスマホをタップし続ける真希にドン引きしてみせながら咲希は勉強をつづけた。
『でも安心してよ、ヨッシーが私たちを裏切って、あの紙を回した事は歩にはまだ言ってないから、って言うか自分に都合悪い事とか平気で既読スルーとか信じられない!』
そのLINEに既読が付かない事で直ぐに好美が夕飯タイムに入ったのだと気づいて火に油を注ぐようなメッセージを送ってしまったことを後悔したが、フォローはしなかった。
夕飯の後、好美は部屋に戻り、更にLINEが送られてきていることを確認し、早速、嫌味たっぷりに送り返した。
『ゴメン、別に都合が悪くて既読スルーとかした訳では無かったんだけど、ご飯の時はスマホ触れないから返信が遅れただけなんだけどね、いちいち悪く捉えられて心外だよ!でも、まずは、歩ちゃんに私の裏切りを黙っていてくれてありがとう!でも、思うんだけど、真希ちゃんが、もう少し気をつけて、あの手紙、歩ちゃんの下駄箱に入れてくれてたら妨害される事も無かった気がするんだよね、私たちの友情もキープできてたと思うんだよね』
面と向かっての口論と違い、第三者は誰も2人のケンカを目にしてないので止められることは無い。
ヒートアップしていくLINEでの応酬を、2人、もう止める気は無かった。
ぶつかり合って全て吐き出さないと終われなかった。
『は?自分では何もリスクを背負わないくせに、何でも人任せにするくせに文句は立派だね!友情のキープなんて出来るわけないじゃん、ヨッシーがあの紙回した時点で私たちの友情なんて壊れてたんだから!』
その後も怒りのLINEを送りあって、迎えてしまった9時のタイムリミット。
「ほら好美、もう時間になるから、スマホ貸して」
燿子に促され好美はスマホを手渡した。
正直、まだ言いたい事は沢山あり、名残り惜しそうに充電器にセットされるスマホを凝視した。
「お休み、早く寝るのよ?」
軽く手を振って、燿子は自分の部屋に入っていった。
日中、確かに寛子と図書館で相応に時間をかけて勉強したが、帰宅後は勉強を疎かにして非常に無駄な時間を過ごしてしまっていた。
酷く後悔しながらも、試験で少しでも良い点が取れるようにと、眠くなるまで勉強しようと、机に向かった。
けれど他の、山積みの問題に意識が行ってしまい、まるで勉強に集中できなかった。
しばし、教科書のマーカーが引かれた部分を見直したりノートを見直したり頑張ってみたが知識としてしっかり記憶に残ったのか、怪しい限りだった。
「ダメだ・・・・・寝よう」
明日、難題を前に、今日、こうして寝てしまったことを後悔するのだろうかと、ボンヤリ思いながらも、今この瞬間の「楽」を選択してしまった。
布団の中で天井を見つめながら、一学期に3人で試験勉強を愉しくやっていた事を妙に懐かしく思い出した。
あの時は、まさか、2学期の中間試験で、こんな状況になるなんて夢にも思わなかった。
眠りに落ちる直前まで歩と真希の事を考えていた好美は2人の夢を見ていた。
・・・・・・・夢見は決して良くなかった。
夢の中で、3人で大喧嘩していた。
何が原因でケンカしてるのか、夢なので判らなかったが激しく口論していた。
会話にも、まるで脈絡が無かったが大声で怒鳴り合っていた。
イライラしながらケンカしながら教室に入ると、刹那、2人は消えていて、場所も、それまで自分が居たはずの西浜中では無くなっていた。
そこは、学区外への転校を選ばざるを得ないほど自分を追い込んだ、忌まわしい、小学校時代の、あの教室だった。
何故か逃げ出す事が出来ず、あの教室で自分の席だった場所に座り、刹那、色んな物を投げつけられジッと耐える夢だった。
夢なので、何が当たっても痛くは無かったが、すこぶる嫌な気分だった。
ようやく教室から飛び出すと、全員から追いかけられ、どういう思考回路で、そう行動したのか、開いていた窓から飛び降りていた。
落下する独特の、あの感覚に、ようやく目が覚めた。
好美は何とも言えない倦怠感に苛まれながら憂鬱な気分で登校して教室に入り、時間ギリギリまで教科書と睨めっこしながら、試験開始の時を待った。
準備万端とは言えない中で迎えた2学期の中間試験。
こんな辛い思いを抱えて2学期の中間試験を受ける事になるなんて好美も真希も歩も思いもしなかった。
チラリと2人の様子を窺うと、真希は必死に単語帳を捲りながら、歩はジタバタすることなく、真っ直ぐに前を見据えていた。
程なく教師が入ってきて問題用紙と解答用紙が回ってきた。
「では始めてください」
真希との大ゲンカの影響もあり、あまり集中できない中、好美は、それでも何とか最後まで理科・数学・社会の試験をやりきった。
そして3教科の試験の後の掃除とホームルームを終え、一斉に下校した好美たち。
遠く前方に一人、足早に学校を後にする歩の姿を認め、埋められない溝を痛感しながら肩を落とし帰路についていると、真希に後ろから呼び止められた。
「・・・・・・待って!ヨッシー」
お互い時間を置いた事で、言いたい事を言い合った事で冷静になっていた。
振り返り対峙して真希の言葉を待った。
「一緒に帰ろう・・・・・って言うか色々ゴメン、ヨッシーが怒るのも無理ないのに」
先に真希が謝ったことで好美も更に冷静に素直になった。
「私も言い過ぎたよ、ゴメンね」
無事に仲直りを果たした2人。
「・・・・・それでさ、この話はヨッシーもしたくないと思うけど、あの紙を回した経緯を教えて欲しい」
「うん・・・・・」
「とりあえず場所変えよう!うちにおいでよ!」
「うん、でも、家族は大丈夫?」
「平気、親は夜まで帰ってこないし、お姉ちゃんも今日、バイトの面接って・・・・・面接は午後からだけど一度帰ってくると面倒だから帰りは遅くなるって」
「そっか、じゃあ遠慮なく!!」
麦茶とスナック菓子を勧められながら好美は始業式の日に起きた事を打ち明けた。
「・・・・・・・何で一言相談してくれなかったの?甲本の事」
「そうだよね、相談しなかった事については改めて謝るよ、言い訳に聞こえるかもしれないけど、順を追って話すと、例の紙が始業式の日に私の机の中に入っていて、あの時点では本当に誰が、あの紙を入れたのか判らなかったんだよね、真希ちゃん、覚えてるか判らないけど、あの日、甲本が登校してきたのって一番最後だったし、その時点では一旦、甲本が犯人候補から外れて、っていうか、あの時は犯人の特定より、誰の目に気を付けたら良いのかっていう事の方に意識が行ってて、後でラインで思い切って真希ちゃんに相談しようと思っていたんだけど、その日に限って色々とバタバタしちゃって、気づいたら既にタイムリミットの9時を回っていて、相談できないまま翌日を迎えちゃって・・・・・そうしたら甲本が、あの紙回せって迫ってきて、出来ないならお前も同じ目に遭うって脅されて」
「そうだったんだね・・・・・・本当に最低だね、甲本の奴!!歩の事が気に入らないなら一人で無視したら良いのに、私たちまで巻き込むなんて!」
「きっとクラスを巻き込んで相手が不登校になるまで追い込まないと気が済まないんだろうね」
言いながら、チラチラと宮原隼人と高倉美音子の事を思い出した。
「でも、そんなところまで歩を追い詰めるなんてしたくない、歩、何も悪くないのに!」
「私もだよ」
「こんな辛い事、歩一人に我慢させて良いわけないよ、絶対に間違ってるよ私達」
「・・・・・間違ってるのは承知してるよ!できるなら私だって、こんな事止めたいよ!」
「なら、やめよう!」
好美は真希の勇気ある決断に、迷わず「うん」と言えない自分に激しい自己嫌悪を覚えた。
長く沈黙した後、言葉を選びながら忠告した。
「でも、自分の身を守ることも大事だよ」
好美の忠告に一瞬、反発を覚えたが、あの紙が回ってきた時の気持ちを思い出し口をつぐんだ。
カッコつけて正しいと思う事を口にしたが、あの瞬間、保身しか頭になかった。
「・・・・・そう簡単に、正解に辿り着ける問題じゃないね、とりあえず、明日のテストの勉強しよう」
真希に提案され、好美は頷いた。
そのまま、難題に向き合うのが辛かった好美は、真希の提案に思わずホッとした。
「うん、問題は山積みだけど、明日の試験の問題から取り組もう!」
結局、解決策は見つからないまま、けれど滞りなく試験2日目も消化し、恒例の上位者発表が行われ歩は、変わらず上位にランクインしていた。
けれど、悠太との差は1学期の期末試験の時より開いていた。
悠太の成績が上がったというよりは、歩の点数が落ちた状態だった。
一応、順位を確認しに来た歩は、けれど気に病む様子もなく直ぐに立ち去った。
好美も確認する必要が無いので距離を置いて下校するため生徒玄関に向かったが、そこで真希と歩が何やら言い争っていた。
「真希ちゃん、どうしたの?」
「歩に言い掛かりつけられて」
「言い掛かりなんて付けてないよ、返してよ!」
言いながら真希が持っていた靴を引ったくり、2人を一瞥してグラウンドに向かった。
「何があったの?」
「後で話すね、とりあえず私も部活行くね」
立ち去る2人を見えなくなるまで見送り好美は下校した。
学校から帰って、いつものようにスマホを手に取ると由美からLINEが入っていた。
『学校お疲れ様、LINEに気付いて都合悪くなかったら、ちょっと電話して?』
「何だろう・・・・・」
絵文字もスタンプも一切含まれてないLINE。
とりあえず都合は悪くなかったのでビデオ通話で由美と話した。
「もしもし」
『久しぶり、元気?』
「うん、由美ちゃんも元気そうだね」
『お陰様でね、実は、ちょっと気になる事があって連絡したんだけどね、今って一人?』
「うん」
『実は、昨日、好美ちゃんのアパートの近くで美音子と宮原を見かけたんだよね』
「うそ・・・!」




