その男、創設者につき
手のひらにべっとりとついた仲間の血を見て、呟く。
「…なんだろう、勝手に死ぬのやめてもらっていいですか?」
得意の薄ら笑いも今はなぜかうまく浮かべられない。
腕の中で体温を失っていく仲間、その向こうで高笑いする敵。
「雑魚は雑魚であると自ら見抜けないと戦場でやっていくのは難しいよなあ?ハハハ」
その言葉に自分の中の何かが切れた。そこから先はほとんど覚えていない。次の記憶は、さっきまで笑っていたはずの敵が怯えた顔で命乞いする姿だった。
「ま、待て、悪かった、俺の負けだ、降参する!組織の情報も包み隠さず全部話すから!さっき俺が殺したあいつの敵討ちなんかよりよっぽど重要、だろ?」
必死に縋る敵を、自分でも驚くくらい冷めた目で見下ろしながら、躊躇なく刀を振り下ろした。残骸に背を向け呟く。
「それってあなたの感想ですよね?」