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ゾンビダンス

作者: よっし~

 僕はまだ8ヶ月目の新人ケアマネージャーで、4名のケアマネージャーが所属する居宅支援事業所で働いています。

 ところで僕は2ヶ月程前に、50代の女性管理者に

「○○君、いろんな事業所の人がどういう人なのか把握するようにした方がいいよ」

 と言われていました。

 まぁ、それはそうなのかもしれません。しかし、僕にとって最大の問題はその管理者であったので、まずは管理者をキッチリ把握する事に努めることにしました。

 その管理者は、大きな法人の一事業所の管理者を任せられるだけの事はあって、ケアマネージャとしての経験が長く知識も豊富です。しかし何が問題と言って、そういった自分の中にある経験則とか知識しか見ていないのか、時に話しがまるで通じないという事です。

 例えばこういう事がありました。ある新規の利用者の契約に一緒に行った時の事です。僕はその場にいましたが、新人の見習いみたいなもので、直接話しをしていたのはほぼ全て管理者でした。

 そしてその利用者には、週1回の訪問看護と月2回の医師の往診を利用してもらおうという話しになったのですが、その時、同席していた息子さんが

「月に2回往診に来てくれるのなら、訪問看護は毎週じゃなくて月2回でいいんじゃないですか?」

 と管理者に聞きました。

 僕もそれを聞いて、そりゃそうだと思いました。医療の目があった方がいいのはわかりますが、なにも同じ日に看護師と医師が訪問しなくてもいいだろうというわけです。息子さんが言わんとすることは、小学生でも聞いていればわかるはずです。

 どう返事するのだろうと管理者を見ていたら、なんと管理者はとうとうと医療の必要性を説き始めたのです。

『だからそういう事を言ってるんじゃなくって、看護師と医師が一緒に入る日がなくったっていいんじゃないのかって話しでしょ?お金だってかかるんだからさ』

 と僕は当然思いましたが、管理者はついにそのまま毎週1回の訪問看護を入れるので押し切ってしまいました(何も言わなかった僕も悪いのですが、言うに言えませんでした・・・)。

 信じがたい事ですが、管理者は息子さんの言わんとする意図をまったく理解できていないのです。こういった事は事業所内での会話でもたまにあり、「話しの通じない人だなあ』と僕は思っていましたが、それは利用者及び家族に対しても同様だったのです。自分の中にある『この人には医療の必要性が必要なんだ』という思いしか見ておらず、目の前で言っている簡単なことさえ聞けていないのです。

 要するにこの管理者は、自分が今まで培って来た、ある期間までの経験や知識の中でしか生きておらず、なにか事柄があっても、自分の中にある引き出しの中から答えを見つけて来るだけで、思考が停止しているんだと思います。そうやって過去の自分の中で生きているだけで、今の自分は死んでいるからゾンビだというわけです。思考が停止したら後は腐って行くだけです。まさにゾンビと呼ぶのに相応しいではありませんか。


「○○君、この傾聴の技術の研修行った方がええんちゃう?」

 今日、ゾンビ管理者に晴れやかに言われました。

『お前こそ行け、腐れゾンビが』

 とは思いましたが、そんなことを言ってはいけません。そんなこと言ったら、ゾンビに噛まれて自分もゾンビになってしまうかもしれませんからね。

 それにしても、まさかケアマネージャーになって、ゾンビと働く事になるとは思いませんでした。でも、まぁしょうがありません。案外ゾンビなんて、ウジャウジャと平気な顔してそこら中に溢れているのかもしれませんしね。

 ともかく、今後管理者と接する時は、まともには話しができないので、ゾンビダンスの引き出しの中にあるであろう内容と接していくしかありません。


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