Dear my princess ~恋を教えてくれた君へ~
僕の愛する、ありすちゃんへ。
僕の記憶が、神によって消される前に、君に贈る、この手紙を書いています。
初めて会った日。
それは、クリスマスイブの夜だった。
僕が15歳で、ありすちゃんは、7歳。
今思うと、幼かったね。
テラスでお茶をして、僕が焼いたクッキーを美味しそうに食べてくれた。
その後、ツリーにオーナメントを飾り付けて、一緒にダンス。
あの時のありすちゃん、とってもドレスが似合ってた。
可愛かったよ。
今でも、可愛いままだけど。
すぐにお別れすることになって、お互いに悲しんだよね。
一刻も早く会いたかったんだ。
13年経って、僕がありすちゃんの家まで行ったとき。
あの時渡した星のオーナメントを、持っていてくれたね。
嬉しかった。
僕を忘れたんじゃないかって、心配してたんだよ?
星の国で、観覧車に乗って。
二人の時間が、このまま続けばいいのに。
そんなこと考えて話した。
星の国は『監獄』なのに、「監獄なんかじゃない!」って。
涙ぐんだ声で言った、ありすちゃん。
だけど、星の国が消えて。
人間になって、また離ればなれ。
でも、すぐに再会できたね。
占い師になった僕のお店に、ありすちゃんが来てくれた。
気づいて欲しかったんだ。
『君の想い人は、目の前にいるよ』ってね。
そして僕らは、付き合った。
嬉しかったよ。
ありすちゃんと付き合えて。
ありがとう。
ありすちゃんに出会えたこと。
魔界で暮らしていたら、きっと知らないままだった。
初めて『恋心』を知ったんだ。
僕の中で、何かが変わった気がする。
僕が犯した『罪』を、ありすちゃんに知って欲しい。
だから、話すね。
僕は、魔界の創造神、ハーバキルトが生み出した存在。
魔界の王子として、僕は生きていた。
だけどね。
ある日、ハーバキルトは神々によって抹消された。
それを知った僕は、神殿に向かい、ハーバキルトから授かった力を暴走させたんだ。
神々は恐れから、僕を星の国へ送った。
誰も立ち入ることのできない、永遠の監獄にね。
寂しさから、僕は力を使って、ありすちゃんを呼んだ。
罪を増やしたことになったけど。
そろそろ、ソフィーが来てしまう。
長くなる前に終わらせるね。
『愛』も、『恋心』も知らなかった僕に、『恋』を教えてくれてありがとう。
たとえ、記憶を消されたとしても、僕が、ありすちゃんを愛していたことに変わりはない。
またいつか、生まれ変わったら。
デートの続きをしようね。
それじゃあ。
さよなら。my princess.
君の幸せを心から願う者より