女子会
「えっ!?亜李朱っち、駅前の占い師さんと、付き合ってんの!?」
「うん」
「そんなあっさり、『うん』と、言われましても……」
2月の昼下がり。アルバイトの時間まで、大学の友人たちと例のカフェで、ティータイム。
「羨ましいですね」
「イケメンだもんね。彩希ちゃんが食いつく理由が、わかる」
「はぁ。なぜ、亜李朱さんに彼氏が……」
ため息をつく、彩希ちゃん。
「そうだよね!亜李朱っちに彼氏は、似合わないよね!」
穂乃花ちゃん!?
「穂乃花さんにも、わかってもらえますか!」
「わかる!わかるよ!彩希ちゃんの気持ち!」
飲んでいた、カプチーノを吹きそうになった。
「あのー。お二人さん?私に彼氏ができると、まずい事でもあるの?」
「ないよ」
「ありません」
私の、カプチーノを飲む手が止まる。
二人は気にせずに、パンケーキ食べてるけど。
「おいひー!彩希ちゃん、そっちの、一口ちょうだい!」
「どうぞ!わたしも一口もらって良いですか?」
パンケーキ交換。
「二人にも彼氏、いたよね?」
いたって、にこやかに聞く。
すると、二人の手が止まって。
「亜李朱さん。それは、いつの話ですか?」
彩希ちゃん?どうしたの?
「えっ? 先月、彼氏と映画観に行ったって、言ってたじゃん」
「あー。先月の話でしたか。忘れていました」
「忘れる事でもないような気が、するんだけど?」
「忘れたくなりますよ!あんな、浮気男!」
「浮気?」
「そうです!バレンタイン前だったんですけど」
彩希ちゃんの、(元)彼氏の話が始まった。
「その日は、お互いに午後の講義がなかったので、午後から会えると思ったんです。大学近くにフレバ、あるじゃないですか。そこでお昼を食べようと入ったら……」
彩希ちゃんは、うつむいて。
「彼と同じサークルの、女子の先輩と仲良さそうに。人目を気にせず、キスまで!」
怒りに任せて、パンケーキを食べる、彩希ちゃん。
初めて見た……。
「浮気現場を、目撃したんだね。可哀想に。私の方なんて、マンションに連れ込んでたんだよ!」
穂乃花ちゃんも、浮気されたんだ……。
「付き合って、2ヶ月たった頃かな」
話してくれたけど。
「彼のマンションに、アポなしで行ったの。驚かせようと思って。玄関のドア開けた瞬間、女物の靴が目に入ってさ。静かーに、部屋に入ったの!そしたらね、寝室の方から……」
あとは、穂乃花ちゃんの泣き声で、聞こえなかった。
「なんか、ごめんね。二人とも」
謝るしかない。
「亜李朱っちのせいじゃないよ!悪いのは全部、元彼だから!!」
「亜李朱さんのせいじゃありません!悪いのは全部、元彼ですから!!」
おぉ。
立ち直った?
「元彼に比べて、あの占い師さんは浮気しなさそうで、羨ましいよ。でも、油断しない方がいいよ?」
「ですよね!イケメンですし、声もいい。狙う女性は多いはずです!」
「気をつけなね!」
「お気をつけください!」