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結局、その後何度やっても同じ結果で、回数を重ねるごとに首が赤くなっていくだけだった。もうどうして良いか解らず、アパートを飛び出した。
財布だけ手に取り、車に乗り込むと何も考えずに、ただただ学校や自分の部屋から遠ざかる様に走らせた。30分くらい走った頃だろうか、ふとある事を思い付いた。
「入水しよう」
波に飲まれれば、怖くなって引き返すこともできないし、偶然の失敗も少ないのではないかと考えたのだ。
そこで、僕は車を北へと走らせ、海へと向かった。
だが、道中、追われているかのような気がした。
結局、その後何度やっても同じ結果で、回数を重ねるごとに首が赤くなっていくだけだった。
もうどうして良いか解らず、アパートを飛び出した。
財布だけ手に取り、車に乗り込むと何も考えずに、ただただ学校や自分の部屋から遠ざかる様に走らせた。
30分くらい走った頃だろうか、ふとある事を思い付いた。
「入水しよう」
波に飲まれれば、怖くなって引き返すこともできないし、偶然の失敗も少ないのではないかと考えたのだ。
そこで、僕は車を北へと走らせ、海へと向かった。
だが、道中、追われているかのような気がした。後ろを走る白の軽自動車は、後輩が乗っていた車種だった気がする。
時計を見ると、演習の授業も終了している時間であり、そろそろ皆が異変に気付いていてもおかしくはない。先生も生徒も揃ってお節介好きな人達だから、授業をサボり、電話にも出ない僕を探している可能性はある。
どちらでも良い、取り敢えず撒こうと何度か交差点を無意味に曲がってみた。暫くして、ゆっくり走りながら後ろを窺うと、車は走っておらず、どうやら上手く撒けた様だ。
しかし、またすぐに灰色の軽自動車が後ろにピッタリと張り付いてきた。あれは別の後輩が乗っていたのと同じ車だ。
その車も無事に撒いたが、その後同じ様な事が何度かあり、その度に道を逸れていたため、一時間程で辿り着ける所を3時間ほどかけた。
海に行く前に、折角なので城下町を見て回ることにした。
車は博物館の駐車場に停め、そのまま外へ行くのは気が引けたので、博物館の中を軽く見てから町へ繰り出した。
木造家屋が連なる光景は素晴らしいの一言に尽きるが、周辺を歩く観光客の目線が気になった。一人旅くらいいいだろう、とやや気を害したが、突っかかる程の度胸もなく、その目線を避ける様に路地裏へと入って行く。
「はぁっ…はぁっ…」
走ったわけでは無いのだが、気付けば息が上がっていた。吐気も催している。
逃げ込んだ先の路地に設置してあった自販機でお茶を買って、暫くその場にへたり込んだ。しかし、路地裏と言えど人の通りが全く無いわけではなく、すぐに通行人の視線が気になって逃げ出した。
もうここには居られない、居たくない、と再び車に乗り込むと、一路海へと向かった。