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黒鬼の王  作者: 鬼の居ぬ間に
入学前の一仕事
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隠された文字

最初はなぜ攻撃されたのか、わからなかった。しかし、状況を俯瞰してみるとわかった。縛られている女の子二人に近づく、マスクを被った黒い服の人。うん、怪しい、自分でもそう思う。

そんな、現実逃避気味なことを考えていると美姫がこちらを睨みながら、油断なく近づいてきた。


「痛い目みたくなければ両手を頭の後ろに回して、床に伏せなさい!!」


美姫はこちらに霊符を構え、怪しい動きをしたら即座に攻撃するといった雰囲気だ。

どうやら話し合いで解決はできなさそうだ

(仕方ない。顔を晒して、誤解を解くか。幸い『鬼道法』は使わずに済んだし、ばれることはないだろ。)

「落ち着け、美姫。俺だ、俺」


そう言いながら真は被っていた。マスクを外した。

美姫はその言葉に訝しげな表情をするも、マスクの下の顔を見て驚愕をあらわにする。


「真!?・・・・そう、あなたもグルだったのね!」

「ちょっ!!待て、誤解だ、誤解!!」


さらに酷い誤解を受けたら構わないと事情を説明する。


「ふぅ〜ん、警察から。じゃあ何で顔を隠していたの?」

「ああ、まぁ。俺にはこれといった後ろ盾と呼べるものが無くてな。顔ばれするのは危険なんだよ。実際、顔を隠して無かったときは何度か闇討ちされたからな。それ以来仕事をする時は顔を隠すようにしてる。」

「なるほど・・・って、いままでスルーしてきたけどライセンス持ってるの?」

「持ってるぞ、ほら」


真は懐から、警察手帳のようなものを取り出し美姫に開いて見せた。

「本当だ。しかもS級。ってことは『鬼道法』も使えるのね」


----

法魔士及び鬼士証明カード(通称:ライセンス)

 法魔士、鬼士それぞれの試験を合格したものに与えられるカード。顔と名前、そして階級が書かれている。呪具の一種で登録された魔力や鬼力を込めないと見ることができない。

----


「まあな、さて誤解も解けたところで、後始末をしますか。俺は警察呼ぶから、美姫は人質を解放しといてくれ、同性の方が落ち着くだろうし。」


そういって電話を掛ける。美姫は女の子二人の方に駆けていった。数分後警察が到着し、今回の事件はこれで一先ず終息した。


警察からの事情聴取も終わり、俺と美姫はどうせなら、ということで一緒に帰路についていた。警察署から出ていくときの坂崎のニヤニヤ顔がかなりウザかったが。


「なあ、美姫どうやってあの場所に辿り着いたんだ?」

「簡単だよ。親切な人たちから教えてもらっただけ。」

「ふうん、親切な人たちにね。」


もちろん信じた訳ではない。おそらく返り討ちにした奴らから無理やり聞き出したのだろう。美姫も誤魔化そうというより、おふざけでいったのだろう、顔には笑みが浮かんでいた。

それも飛びっきりの笑顔が。それをみて、真は、美姫はやはりドSだ、と思ったのは秘密だ。


「何か、失礼なこと考えなかった?」

「あまりも感が良過ぎると思う。」

見破られたことに驚いたあまり考えたことがそのまま口に出てしまった。

「ねぇ。なにを考えたの?」

美姫は笑顔でそうたずねてくる。第三者からみれば見惚れするような笑顔かもしれない、だが、俺からみたらその笑顔はドラゴンが口を大きくあけて待っているようにしか見えなかった。誰がすき好んでそんな危険な場所にとびこむのだろう。少なくとも俺はごめんだ。

「いや〜、美姫はかなり強いん「本当のことをいいなさい」・・はい」

どうやらドラゴンは火を吹いたようだ。真のささやかな抵抗は灰になって散っていった。


-side皇城 美姫-

『・・・では、今回の件は解決したのだな。』

「うん。後の処理は警察に任せたけど。」

『そうか、・・・・ところでその千夜真といったか?どういった少年なのだ?』

「そうね。隣の部屋でね・・・・・・・」

その後、美姫は真のことばかり話し続けた。事件のことよりこちらの方が長い。

『うむ。よくわかった。』

さすがに長すぎたのか父親から電話が一方的に切られてしまった。

切られる直前に、害虫が、とか、とうとう美姫様にも春が、などの言葉が聞こえてきたとかなかったとか。


-side千夜 真-

「今回はありがとよ。色々役に立った。報酬には色をつけとく。」


自分の部屋に戻った真は電話で誰かと話している。


『・・ありがと。次の利用も』


どうやら情報屋のようだ。声から判断するに女性のようで、短い言葉からもよくわかる。


「それだけかよ、もっとこうないの?」

『・・めんどい。切る』

「あ!おい!・・マジで切りやがった。」


電話口からはピーピーと音がなっている。真はしょうがないなといった表情を浮かべ、ベッドに寝転ぶのだった。




ベッドの横にある机の中には、二つのライセンスカードがあった。

一つは美姫にみせた()()で所得したS級の文字が入っている。もう一つにはSSS級(・・・)三文字(・・・)が入っていた。


そして、その後は何事もなく入学式の日がやってくるのだった。


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