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賢すぎた男

ニューヨークで起きたアルファベット殺人事件。被害者の脇にはアルファベットと数字の暗号が。

ベテランとルーキーは犯人であるローワン・バーキンスの家を訪れる。証拠を突き出すとローワンはあっさり自白。友人のカールの殺害を認めた。

だが、彼が計画した連続殺人の本当の目的は他にあった。自分の手を汚さずブライアンに殺人を行わせた賢い男の末路とは……

ジャック(ベテラン)

NY殺人課のベテラン刑事。軍隊上がりで体力ともに頭脳明晰。名前で呼ばれるのを嫌う

バミューダ・シュタイン(ルーキー)

最近ジャックの殺人課に来たばかりのルーキー。頭脳体力ともに平凡だが運転技術は元レーサーの親父を引き継ぎ相当な腕前。

ウィティカー

鑑識課の班長。

フレッグ・キラウェイ

ニューヨーク管轄部のFBI捜査官。


ブライアン・スミス

麻薬常習者

カール・アンダーソン

被害者

ローワン・バーキンス

被害者の友人

タレック・デギンズ

麻薬王

ブラッドキャット

犯人


ジョージ・シモンズ

DEA捜査官


~ロングアイランド。ローワン・バーキンス宅~

『殺人教唆だと?私はカールを殺した!それはシェレーナの復讐だ!それに、殺人教唆だっていう証拠はあるのか!』

『ブラッドキャット』ルーキーがタブレットを見せる。

『!!』

『証拠を消すためにアカウントとデータを削除したみたいだが、復元できるんですよ。サーバー対策課に頼んでしてもらいました。これによると、貴方はブラッドキャットというハンドルネームでFacebookに登録してますね。貴方が犯人とわかったが、ブライアンとの関係性がイマイチ分からなかった』

『あんたはそのハンドルネームでブライアンを釣り、もう1人の自分になりすましてもらった。ローワンというブラッドキャットで情報、交信し計画。ブライアンというブラッドキャットで犯罪を行わせる』

『まさに、自分の手は汚さず且つ、ブライアンが勝手にやったと言い逃れる』

『そしてもう1つ。事件現場に残されてるアルファベットだ。最初は全く解らなかったが、数字の規則性に焦点をあててみた。そして、その規則に則ったアルファベット……いや、頭文字を探しに探したよ』ベテランは続ける『最初のG-1。これはGarnet(ガーネット)。1月のパワーストーン。誕生石ってやつだ。解れば簡単だったよ。これは次に何月の人物が死ぬってことだ』

『A-2はAmethyst(アメジスト)。AC-3はAquamarine(アクアマリン) Coral(サンゴ)。D-4はDiamond(ダイアモンド)。そして最後のヒントのEK-5はEmerald(エメラルド) Kingfisher(ヒスイ)。被害者の唯一の共通点は誕生日でした』

『なんで見知らぬ人の誕生日をあんたは知ることが出来たか。それはあんたが現役の頃だろ?』

『そこまで……』

『貴方は検挙数では引けを取らない。そして、FBIの先輩に頼んであなたの捜査資料を拝見しました。被害者全員麻薬中毒者、又はバイヤーでした。そして、それも全員あなたに逮捕歴があった』

『ご苦労なこったなー。わざわざ自分が逮捕したジャンキー達を再び調べあげ、誕生日順に殺していく。そして、ベタなヒントを残しておいてこれから行うアンサンブルを完結させようとしたろ』

『え?なんのことですか?』

『とぼけるなよ先輩』裏口からシモンズ捜査官が現れる。手にはショットガンを持っていた。

『今部下があなたの倉庫を調べてる。そして見つかったよ。尋常じゃない量の武器弾薬を』

『クソ……』

『まずあんたは、現役時代に逮捕したブライアン・スミスを金か何かで釣り、連続殺人を行わせた。自分の手を汚さずにな。そして、麻薬王を殺させ、キューバとニューヨークの麻薬シンジケートを戦争させ自滅させようと目論んだ。カールもブライアンに殺させようとしたんだろうが出来なかった。友人だった上に相棒の敵討ちだ。バーテンが感じた違和感、手馴れた殺しの仕方、ロングアイランド特有の土。ブライアンが殺していればそんなのはなかった。もしそうだったら、俺達はあんたを哀れな被害者の友人として思ってたよ。そして仕上げに、ブライアンに銀行強盗の計画を伝え、マフィアの銀行を襲わせ殺されるよう仕組んだ』

『マフィアの金を盗んで無事でいられる奴なんて居ませんからね』

『だが、犯人は全てブライアンということになり、麻薬戦争は回避された。そこであんたは急遽計画を変え、ニューヨーク、キューバの麻薬マフィアに特攻しようとしたんだろ』

ジョセフの顔は赤くなり、今でも泣き崩れそうになっていた。

『深くないヒントはタダの飾り。私達を翻弄させ、真の目的から遠ざけようとしたんですね。レジーの心理分析がないとわかりませんでした』

『お前は賢すぎた。だが、完璧というやつは厄介でね。どこかでボロが出る』

『……。後悔はしてない。私はカールをこの手で殺し、シェレーナの無念も晴らせた!そして、ニューヨークに蔓延る麻薬マフィアもバイヤーも減らせた!だ、だが俺は何もしていない。全てブライアンがラリって起こした殺人だ!』

『おいおい、自分が神にでもなったつもりか。いくら

頭が良くても人の心など簡単に操れない。血で血を払うことなんて出来ないんだよ』

『えぇ。それにカールを殺してシェレーナさんが本当に報われると?シェレーナさんがそれを望んでいますか?』

『ベタなセリフはよせ!死者は喋らないし思いも持たない!カールは麻薬に手を出す前、シェレーナを愛していた!それなのに奴は……。麻薬が憎い、カールに麻薬を推めたバイヤーが憎い、カールが憎い……。お前にはわからない。一生……わからないだろう』

ローワンは少し半狂乱になっていた。ルーキーは涙と怒りを我慢する。なぜ涙が溢れるかわからない。この感情を

『俺達は犬だ。麻薬を嗅ぎ回る犬。俺達の目標はニューヨークの麻薬を撲滅すること……。無論シェレーナも同じ。これがシェレーナと俺達DEAが望んだ世界だ。だが、彼女はもういない。シェレーナは何も語らない。俺の想いだけだ……』

『もういい。シモンズ、この件はそっちにやるよ』

『あぁ。私はあなたを尊敬してたのに……。まさか身内から犯人が出るとは……』手錠をかける。『カールの殺しもこっちで送検する。いいな?』

『あぁ。その代わり……』

『フレッグに証拠品を盗ませたのは目をつぶってやる。俺たちも少し強引すぎたしな』

『ありがとうな』2人は握手をする。

そして、ローワンはシモンズとDEAの車に乗り我が家を後にした。

すると、ベテランの電話が鳴る。

『なんだ?』相手はフレッグだった

『ローワンを逮捕できたか?』

『あぁ、たった今シモンズが』

『譲ったのか?珍しいな』

『そうか?』

『まぁいい。FBIも今回の件から手を引くそうだ。でもまぁ、これでDEAに内部監察が入るだろうな。珍しくうちの局長が笑ってたよ。DEAの出る幕は当分ないだろうってな』

『話はそれだけか?』

『あぁ。それと、礼が野球のチケットだけと言わず今度高級フランス料理か寿司をおごって』

ベテランは電話を切る。

『誰からでした?』

『ん?いや、鬱陶しい旧友だ』

ベテランはタバコに火をつけ車に乗り込む。ルーキーが車のキーを回してギアに手をかけようとしていた。それをベテランが見つめる。

『相棒……人生の大切な人……か……』

『え?何か言いました?』ルーキーが力強くギアを引き横目で見る。

『いや、何でもない。ふぅー、しかしロングアイランドは寒いな。早く俺達の巣に戻ろう。署長が首を長くして報告を待ってる』

ベテランは小さく開けたウィンドウから灰を軽く落とした。


こうして、アルファベット事件は犯人逮捕により幕を閉じた。ベテランがフレッグに野球のチケットと食事をおごったかどうかはまた別のお話。

―完―

この話で完結となります!読んでくださった方、ありがとうございました!この話が初めてという方は是非1話から(;´Д`)

忙しく、毎度1ヵ月おきの投稿となっており申し訳ない。まだまだこのベテラン&ルーキーシリーズは書く予定なので興味があり、こんな下手な小説でも構わないって方はどうか読んでやった下さい( ̄▽ ̄;)

11月の上旬に面接があり、大学の合否が中旬までに決まります。(受かったら)投稿ペースをあげれると思いますので、飽きずにチラ見してください。

何はともあれ、初投稿シリーズでしたが、読んでくださった方々ありがとうございました!

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