大捕物
遅くなりましたが、続きです
ジャック達は昼間起きた銀行強盗の現場にいた。その銀行はニューヨーク、ウォール街を牛耳るマフィアの軍資金がある配下の銀行。
ジャックは、イカれたジャンキーの茶番劇と取り付かなかったが、その強盗団の犠牲者の中にアルファベット事件の容疑者であるブライアン・スミスがいると知る。
ジャック(ベテラン)
NY殺人課のベテラン刑事。軍隊上がりで体力ともに頭脳明晰。名前で呼ばれるのを嫌う
バミューダ・シュタイン(ルーキー)
最近ジャックの殺人課に来たばかりのルーキー。頭脳体力ともに平凡だが運転技術は元レーサーの親父を引き継ぎ相当な腕前。
ウィティカー
鑑識課の班長。
フレッグ・キラウェイ
ニューヨーク管轄部のFBI捜査官。
ブライアン・スミス
麻薬常習者
カール・アンダーソン
被害者
ローワン・バーキンス
被害者の友人
タレック・デギンズ
麻薬王
ブラッドキャット
犯人
ジョージ・シモンズ
DEA捜査官
~ウォール街。マーベリック銀行~
『ショットガンか……。それじゃ逃げれないわな』
『外見から相当な薬物中毒だ。だからマフィアの銀行なんか襲ったのか?』ウィティカーがブライアンの顔を調べる。
『かもな』
『被疑者死亡ですか……。なんか、後味悪いですね』
『いや、そうでもねぇさ』
『え?』
ベテランの携帯が鳴る。
『遅いぞ』
「1秒で持ってきても遅いって言うだろ?お望みどおり、DEAの保管室からブライアン・スミスの過去を探ってみたぜ。でも死んだんだろ?俺の苦労も水の泡か」
『いいから』
「はいはい。今お前の携帯に送ったぜ。資料のコピーの写メだ。読んだらさっさと消せよ。それと、被疑者が死んでそっちにシモンズが向かったぞ」
『バレたか?』
「いや、お礼を言うんだと。ブライアンが犯人かどうかまだ決定したわけじゃないが、世間的には……少なくとも裏の界隈では既にそいつが犯人ということになってる。全く、奴らと来たらCIA並の情報網をニューヨーク中に張り巡らせていやがる。シモンズに同情したくないが、麻薬とマフィアは俺達の最終戦線だぜ。まぁ、何はともあれキューバギャングとニューヨークマフィアの弔い戦争は回避できそうだってな」
『ふーん。そいつはマズイかもな』
「え?」
『ちょっと待ってろ、移動する』電話をしながら銀行を出てルーキーと車に乗る。
『やっぱりな!』
『隊長?』
『ルーキーこいつを見てみろ』資料のコピーの写真を見せる
『……これは!』
「おい!おいジャック!なんだよ!」
『なぁフレッグ、もう一つ調べて欲しいことがあるんだ!』
「なに!?俺をスケープゴートにする気か?」
『今度の野球のチケット、俺が何とかしてやるから!』
「アリーナ席で」
『もちろん!』
「ヤンキース戦」
『……ヤンキース戦で!』
「はぁ、わかったよ。何を調べりゃいい?」
『次も人だ。ブライアンよりは楽だろう。恐らく連邦捜査官のデータに入ってるはずだ』
「こっち側(警察)の人間か、誰だ?」
『ローワン・バーキンスだ』
『ローワン・バーキンスだって?そいつならある程度知ってるぜ』
『マジで!?』
「あぁ、FBIでも有名になってな。奴にかかれば検挙出来ない奴はいないってくらい優秀でな。でも確か、2年くらい前に相棒が麻薬中毒者に撃たれて死んでから引退したって聞いたな」
『……。なるほど、繋がったぜ。ありがとよ』
「ヤンキース戦忘れるなよ!」
『あぁ、わかったわかった』電話を切る。
『動機がわかりましたね』
『あぁ、奴の所へ向かうぞ。急がねぇとな。おい、シモンズに犯人がわかったと連絡しろ。ロングアイランドまで来いって。Bag and Drag(大捕物)だってな』
~ロングアイランド~
『ローワン・バーキンスさん。いますか?』
『あなた方は……。カールを殺した犯人がわかったのですか?』
『えぇ、まぁ』ベテランが周りを見回す。目には見えないが、火薬の匂い。『それよりあなた、DEAにいたそうですね』
『はいそうです。随分と前ですが……』
『腕がよく、検挙数では右に出るものがいないとか!』
『いえいえ……。それが何か?』
『いや特には。……今日、ウォール街で銀行強盗した男が殺されまして。名前はブライアン・スミス。我々は彼を重要参考人として機会を伺ってました』
『殺された?ということは犯人は死んだんですね!』
『ローワンさん。しっかりと聞いてください。我々は重要参考人として彼を追っていたんです』ルーキーが訂正する
『あぁ、すまん』
『ですが、4人の事件で奴の指紋が上がっています。恐らくブライアンが犯人と言っていいでしょう』
『あ、そうですか』
『ホッとしてますね』
『当然でしょう。カールの仇を取れたんですから!』
『おっと、誰もブライアンがカール氏を殺したとは言ってませんよ』
『え?』
『カール氏はブライアンと面識がなかった。なのに、彼は殺される数時間前、近くのバーで酒を飲んでるんですよ。私たちは2人の関係性を調べていると、飲んでいるその時間、なぜかブライアンにアリバイがあったんですよ』
『アリバイ?』
『完璧なね。彼はその日の夜、近くの別の酒屋で客と一悶着ありましてね。警察沙汰になっているんですよ。酒の席ということで大事にはなりませんでしたが。担当した警官に確認済みです』
『では犯人は一体誰なんです?』
『それはあなただ。ローワン・バーキンスさん』
『え?私が!?何を言ってるんだ!』
『指紋は出なかった。だが、カール氏の服には微量だが、土と砂がついていたんですよ。それはロングアイランド特有の石灰岩だった。それに、かすかにブドウの成分も検出された』
『あなたワイン畑を栽培してますよね?酒にも詳しいはずだ』
『ロカールの法則か』
『さすがは元警官だ。よくご存知で』
『だが、私はバーでは飲んでない!』
『バーのマスターが途中、感じが変わってたという証言がありましてね。トイレでブライアンと入れ替わったのでしょう。服装は同じ、帽子を深くかぶっていた。それに彼は酔っていた。顔をあまり見せずに喋り方などを真似すれば恐らくバレないでしょう。それに、あなたは優秀。完璧主義ですからね』
『……だが、私が殺したという証拠がない!確かに私はあの時彼と一緒に飲んだ!だが、その後は別れて家に帰った!』
『カール氏についても調べました。彼前科持ちでした。罪状は殺人。被害者はシェレーナ・ホイットマン。あなたの相棒にして、婚約者だった』
ジョセフは下を向く
『カール氏も昔ドラッグを使用していた。あなたにとって彼は、憎きジャンキーでありシェレーナさんの仇でもあった……』
『動機は揃いましたよ』
『……。えぇ、私は彼を殺しました。シェレーナの復讐です。すいませんでした』
『あんたが犯した罪はそれだけじゃないぜ』
『え?……』涙目のジョセフは上を向く
『あなたは殺人教唆も加わりますよ?』
遂に真犯人を見つけ、観念したローワン・バーキンス。彼の犯罪は恋人の殺した犯人の復讐だけではなかった。そして、彼が企てた完璧なまでの犯罪の全貌が明るみになる。
長らく空けてしまいすいません!
志望大学合格が決まるまで、次回も不定期となります。
次回は最終話!乞うご期待!!
(と、自らハードルを上げてみる(;´Д`))