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来訪者

ジャック(ベテラン)

NY殺人課のベテラン刑事。軍隊上がりで体力ともに頭脳明晰。名前で呼ばれるのを嫌う

バミューダ・シュタイン(ルーキー)

最近ジャックの殺人課に来たばかりのルーキー。頭脳体力ともに平凡だが、運転技術は元レーサーの親父を引き継ぎ相当な腕前。

ウィティカー

鑑識課の班長。

フレッグ・キラウェイ

ニューヨーク管轄部のFBI捜査官。


ブライアン・スミス

麻薬常習者

カール・アンダーソン

被害者

ローワン・バーキンス

被害者の友人

タレック・デギンズ

麻薬王

ブラッドキャット

犯人


ジョージ・シモンズ

DEA捜査官。



DEA、麻薬取締局のシモンズにより殺人課オフィスは動きを止めていた。だが彼は、そのことには気にもとめず、話を続ける。

『さぁ、証拠品を渡してもらうか』

『あ、あなたに渡す証拠品はありません!第一、これは元々俺達のヤマです。それに、被害者の1人に麻薬王が居たからってDEAに捜査権を委任することは納得できません!』

『おい、よせルー!』

『おおっと!威勢がいいな。おもしれぇ。お前新米だろ。ここに来て何年だ?2,3年ってとこだろ』

『……』

『図星か!』シモンズはルーキーの髪を掴む『ガキに用はねぇ。帰って指でもしゃぶってろ。NY殺人課刑事ごときがしゃしゃり出てくんじゃねぇ』

『お前今なんて言った!』ウィティカー

『おい』フレッグがシモンズの手を掴む。『そのへんにしとけシモンズ。証拠品は後でオフィスに届けてやる。だから今は帰ってくれ。同じ連邦捜査官の俺なら言う権利があるよな?』190cmの大柄なフレッグはシモンズを見下す。

『……。ちっ、命拾いしたな新兵。…………。それと、そこのお前!』シモンズは机に堂々と座るベテランを指す。『さっきから銅像みたいに黙って座りやがって、ここの隊長のジャックだろ。俺と話す勇気も知恵もないのか?』

『今考え事をしてるんだ。とっとと失せろ。それと、ジャックと呼ぶな』

『ふん!……おい皆!もう犯人は探さなくてもいいぜ。ここにはそのジャック(犯人)がいるからな!』

『てめぇ!』ベテランはホワイトボードを吹き飛ばし、シモンズに掴みかかる。

『おいジャック!やめろ!!』フレッグとウィティカー、周りの部下が止めに入る。

『クソ、この!』

『やめてください隊長!』

ベテランはシモンズの鼻に頭突きをする。シモンズは後ろへよろめき鼻から血を流す。

『おいジャック!冷静になれ!奴に乗せられるな!』

シモンズは鼻にティッシュをあてる。『あぁ、やっちゃったよ。俺はここと快く協力しようとしたが、彼は拒み証拠品を渡さないばかりか、俺を殴ってきた。局長や市長に報告して完全に外してもらうしかないな』

『あぁ、上等だ!市長だろうと大統領だろうと連れてこい!話つけてやる!』

『ジャック落ち着け!!』

『おいフレッグ。後で必ず持って来いよ。それと、そこのジャンキーには首輪を掛けとけ』シモンズはオフィスをあとにする。

『てめぇ待てこら!』

『おいジャック!』フレッグは腕を掴む。『確かにあいつはムカつくが、感情的になるな!今優先すべきは犯人の逮捕だろ!違うか!?』

『……ちっ!』ベテランはイスに座り外を見る。

『ほら皆!仕事に戻ろうか』ウィティカーが手を叩く。

フレッグは証拠品を再びテーブルに並べた。

ルーはしばらくベテランを見つめていたが、ウィティカーに促され、ホワイトボードを元に戻す。嵐の去ったオフィスに、ホワイトボードの乾いたキャスター音が響いた。


~イーストヴィレッジ~

タイムズスクエアから数ブロック東。ダウンタウンから離れた田舎町は、輝かしいマンハッタンに一滴の闇を投じる。それは夜になるとより際立つ。

ギャングの強盗。抗争。窃盗。レイプ。詐欺。ストリートレース。銃撃戦。ドラッグ。数多くの犯罪が日常化する場所だ。故に、そこで犯罪を行うと捕まるリスクが減る。警察も所詮人間。ギャングの縄張り相手に下手な真似も出来ないのだ。

Mr.カールは高架下のディキシーというバーにいた。人と待ち合わせしているのだ。

遅いな。

時計を見る。もうすぐ日にちが変わろうとしていた。

『もしかしてカールさん?あぁ、よかった!私です。ブラッドキャットです』手を差し出す。

『カールです。初めまして。……バーでも行きましょうか』

『はい』

彼―ブラッドキャット―と会うのは初めてだ。帽子とサングラスで顔はよく見えないが、スーツがよく似合っていた。

『ここのバー美味しいんですよ。ベルモットを。ミスターブラッドキャットは何を?』

『えーと、僕はテキーラをショットガンで貰おうかな』

『夜からテキーラですか』

『えぇ。お酒には強いんですよ』

と、1つ疑問がわいた。

『酒を飲む時も手袋をしてるんですか?』

『えぇ。仕事の癖で。ドライバーです』

『あぁ、なるほど』

その後彼とは映画の話をした。趣味が似ていたからだ。スタンリーキューブリックの素晴らしさ。スキャンダリストの女優達。気づくと閉店時間だった。

『さぁ、行きましょう』カールが促すと彼は酷く酔っていた。足がもつれ、肩を貸す。

『酒に強いんじゃないんですか?ほら!』二人は店を出て、閑散とした通りを歩く。

と、泥酔ブラッドキャットは肩を離れ路地裏へ。そこで、おもむろに吐いていた。

『ちょっと、大丈夫ですか?』背中をさする。

『え、えぇ。大丈夫です』ブラッドキャットが頭を上げたと同時に、ポケットからマグナムを取り出す。そしてカールの髪を掴み口に銃を突っ込む。

バァン

カールは血を吹き出し地面に突っ伏した。酒で火照った体が10月の冷えた空気で強ばる。ブラッドキャットは次のメッセージを彼の背中に乗せた。

落ちた帽子を拾い上げ、コートに手を埋める。

深紅の猫は白い息を洩らしながら夜の街を後にした。

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