ツイログ
ツイッターで上げた小話です。ツイッターで盛り上がって勢いで書いたネタです。なのでIFです。
セシル君率多めのデレ多め。というか殆どセシル君。ツイッターで盛り上がったから仕方ない。大抵リクエストでした書いてます。
それでも宜しければどうぞ。
【壁ドンセシル君】
何が起こったのか、私は直ぐに判断出来ませんでした。目の前に迫るのは、眉根を寄せて苦しそうに、そして乞うような、縋るような眼差しを私に注ぐセシル君。
目と鼻の先、と言っても過言ではありません。彼我の距離は拳一つもなく、鼻が触れ合いそうな程に近い。少し動けば、下手すればキス出来そうな程に。
私を壁に押し付けたセシル君、我に返ったのか接近に顔を真っ赤にして戸惑ったように視線をさまよわせますが……離れようとは、しませんでした。
寧ろ覚悟を決めたように此方を見定め、体勢を変えます。私が逃げられないように、私を腕の間に挟む形。脚も逃げ場がないように私の脚の間に滑り込ませ、もっと体を密着させようとしていました。
「え、あの、せ、セシル君……?」
戸惑いつつも名前を呼ぶと、瞳が細まります。それだけでぞくっと、背筋に痺れのようなものが走るのは、何故でしょうか。
身長差も屈まれて縮まって、至近距離。吐息が互いの肌を擽る程に近いこの距離で、セシル君は私にも分かる程熱っぽく、そして切なげな眼差しを向けては唇を動かそうとして、押し黙るの繰り返し。
何が言いたそうにして、でも上手く言えなくて……そんなもどかしさを孕んだ表情で見つめられて、心臓が有り得ないくらいにペースを早めます。
とっ、とっ、と跳ねる心臓。見詰められるだけで身体中に熱が広がって、セシル君よりも此方が赤くなってしまいそうでした。
「……リズ」
「は、はい」
「頼むから、これ以上……煽るな、あほ」
煽る……?
何を、と言おうと思ったのに、セシル君は更に爆弾発言を投下しました。
「……俺をこれ以上、お前に惹かれさせないでくれ。おかしくなりそうだ」
「せ、セシル君……っ」
「……俺の理性ぶっ壊すなよ、あほ」
吐息にも近い囁きは、耳ではなく唇に直接伝えさせられました。
【陥落したセシル君】
「セーシル君っ」
能天気な笑顔で此方にてててっと小走りしてくるリズ。本当に、間抜けな顔してると思う。そんなこいつを可愛いと、あまつさえ愛おしいと思ってしまった俺の方がよっぽど間抜けだが。
俺が避けると思っているらしいリズが俺の前で急停止したので、止める気はなかった俺が首を傾げるとおずおずと見上げてくる。
「……珍しいですね、避けないとか」
「猪を受け止めてやろうかと」
「そんなに勢いないです!」
もう、とぷりぷり怒っているものの、本気で怒っている訳ではないと分かりきった事なので、苦笑してそのまま腕を広げる。ぽかんとしたリズの顔は、なんつーか……可愛い。
「え、せ、セシル君?」
「……抱き付くんだろ?」
「そ、そうですけど、てっきり嫌がるかと」
「嫌がって欲しいか?」
「い、いえ!」
不可解そうな顔をしながらもぎゅうっと腕を回すリズ。最初は訝るような表情ながらも、頭を撫でてやれば次第にとろけていく頬。
……無防備な。こんな表情、他の奴に見せてるんじゃないだろうな。というかジルには見せてるだろ。
そう考えるとちょっと苛立たしく、でもそれが自分勝手な考えだと言うのも理解できたからもどかしい。
「……リズ、お前、俺に抱き付くの止めろよ」
「さっきと言ってる事違いませんか」
「……好きでもないやつに抱きつくなよ」
「好きだから抱きついてるんです!」
は、と息を漏らせば何を言ったのか自覚したらしいリズ、みるみる内に顔を赤らめて、「あう」とか「い、今のは口が滑って」とかもごもご呟いている。……ああ、駄目だ。
「……リズ」
「だ、だから今のは……っん」
唇を塞ぐと、瞳をぱちくりとさせて、それから混乱したように胸を叩いてきた。痛くも痒くもないが、その反抗全てを抑え付けるように抱き締めると、抵抗は直ぐになくなった。
「……せ、セシル君、強引、じゃないですか?」
「お前には強引くらいが丁度良いと学習したんだよ」
子猫のようにすっかり大人しくなったリズを抱き直して、それから今度は額に口付けを落とす。真っ赤になったリズを見て、自然と口角が吊り上がった。
……俺は、漸く我慢しなくても良くなったらしい。初めて手に入れた欲しいものは、腕の中で俺に体を預けている。
……改めて好意を口にするのは恥ずかしいが、後の一押しを。
「リズ、――……」
五文字、今の気持ちを伝える言葉を耳元で囁けば、真っ赤になる顔。惚れた方が負けなら、恐らく俺が負けてしまったのだろう。
まあ負けても良いか、と思えるくらいには手に入れたものが大きくて、俺は腕の中にある柔らかさを堪能しながら再度耳元で名前を囁いた。
【にゃんこの日】
「……何で猫耳」
「知るか、いきなり生えてたんだよ」
「セシル君可愛いですね」
「怒るぞ」
「えー」
「それに、俺よりお前の方が可愛いだろ」
「え、」
「……あ、あくまで一般論だろ。男より女が生やした方が可愛い」
「そ、そうですよね。可愛いですか?」
「……まあ」
「えへへ。セシル君も可愛い」
「嬉しくねえ」
「このふさふさお耳も凄く可愛いです」
「っ」びく
「……擽ったいですか?」
「止めろ」
「……ふふ?」
「っ、や、止めろばか!」
「セシル君の顔可愛いですもん」
「やめっ、くそ、お前も道連れだ」
尻尾掴んですりすり。
「ふにゃあ!?」
「どうだ、懲りたか」
「んっ、セシル君、擽ったぃ」ぷるぷる
「……」むらっ
「にゃ、やめっ、ごめんなさい……許して……っ」
「……駄目だ」
腕の中に収めて尻尾すりすりと耳あむあむを繰り返すセシル君に、リズも限界。
「ひっく、ごめんなさ、ふえぇ……」
「あ、」
「ごめんなさ、もうしないからぁ……」
ぐずぐずと泣き出したリズに流石のセシル君も罪悪感。慌ててよしよし。
「ごめん、やり過ぎたな。もうしないから」
「ひっく、セシル君きらいっ」
軽くショックなセシル君。リズは全力で逃げてソファの陰に隠れる。近寄ろうとすると尻尾逆立てて警戒。
「……リズー、ほら悪かったから」
「やっ」
完全警戒で威嚇されるセシル君、近寄るのに三時間はかかるのでした。
【もし浮気したら?】
セシリズver
「セシル君はもし私が浮気したらどうしますか?」
「有り得ねえだろ」
「もしもですってば」
「……その時は俺の不甲斐なさが原因だろうから、お前が幸せならそれで良いよ。けど、お前が幸せじゃないなら……その時は、取り返す」
「……」
「……何だよ」
「……えへへ」
「何にやけてんだ」
「セシル君大好きですっ」
「うおっ」
「へへー、絶対にセシル君から離れないです! セシル君大好き!」
「……知ってるよ、ばーか」
ジルリズver
「ジルはもしも私が浮気したらどうしますか?」
「浮気……ですか。リズが?」
「もしもの話ですよ」
「そうですね……その時は、惚れ直させます」
「え?」
「つまりリズは私よりその男の方を好きになったのですよね? ならその男より更に好きにさせれば良いでしょう?」
「お、男前ですね」
「そもそも手放す訳がないでしょう。愛しいリズ」
「……うん」
ユーリズver
「ユーリス様はもしも私が浮気したらどうしますか?」
「国の一大事だな」
「む、それもそうですね」
「いずれ王妃となる女が他に男を作るなど許される行為ではないな」
「知ってます。もしもの話ですよ」
「そうだな……その時は、離宮に閉じ込めるしかないだろう」
「殺したり離縁したりは?」
「殺すとしても相手の男であろうし、リズを殺す訳ないだろう」
「そういうものですか?」
「ああ。そもそも、リズしか考えられないから私はリズしか選べない。……もしもそんな愚かな行為に出たならば、だったか? そうすれば、私はリズをたっぷりと愛して躾けないといけないな」
「冗談ですので監禁は勘弁して下さい」
「冗談だ」
「……偶にユーリス様の心が広いのか狭いのか分からなくなります」
「それだけリズに惚れているという事だな」
「もうっ」
おまけでヴェルフセレンver
「ヴェルフは私が浮気したらどうするのかしら?」
「セレンがか? はは、そんな事ないだろ」
「……」にこにこ
「……まさかだよな?」
「さあ?」
「……ぜ、絶対にそんな事させないぞ。セレンは俺のだ、子供が居るのにそんなの許さない」
「冗談よ。もう、あの子達にそんな顔見せられないわ」
「それだけセレンを愛しているからに決まっているからだ。……セレンは俺のものだ」
「あらあら、じゃあヴェルフは私のものね。逃がしてあげないわよ」
「望むところだ」