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Actors On The Last Stage  作者: J.Doe
Program:Liberator
161/190

Save Your Soul/Crave Your Whole 1

 くすんだ銀色のバイクが岩肌が露出した峡谷を駆け抜けていく。

 ウィリアムはハンドキャノンの銃口を背後に向けるように構え、追走する闇夜に溶ける藍色の装甲へと放つ。

 曳光弾に照らされた藍色の巨体をウィリアムの緑色の瞳は捉え、緑がかった視界に情報を表示するもウィリアムはそれに嘆息せざるを得なかった。


 敵性戦力/蹂躙戦火力装甲特化型機動兵器

 装備/バトルライフル/粒子砲/炸裂装甲エクスプロッシブアーマー

 ウィークポイント/マシンアイ


 どの機動兵器であっても一番脆い箇所であるマシンアイ、それだけがウィークポイントであるとのたまう自らの瞳にウィリアムは舌打ちをする。


「本当に面倒だな、クソッタレ」


 アズライト・キャヴァリアが放つ弾丸をバイクを蛇行させることで回避しながら、脳裏にローラから与えれた類似機体の情報を滑らせる。

 企業壊滅戦にてローラが相対し策を弄して撃破した機動兵器、クロム・ヒステリア。不格好なほどに纏われた合金の装甲は戦闘車両のグレネードキャノンに数発ほど耐えることが可能であった。そして技術が進み幾度も改修されているであろう、アズライト・キャヴァリアのその装甲には数年前に急に現れた技術である炸裂装甲エクスプロッシブアーマーを組み込まれているのだろう。


 装甲を削り切らなければハンドキャノンの弾丸は届かず、更に武装パージのシステムも組み込まれている以上、クロム・ヒステリアと同じ方法での撃破は不可能である。

 そう断定させられた情報達にウィリアムはうんざりをした表情を浮かべ、手っ取り早く終わる方法はないかと思索を始める。


 強い衝撃を外部から与え、炸裂装甲エクスプロッシブアーマーを暴発させ装甲を失ったところを一気に削る。

 ヴァイオレット・ヴァーヴァリアンの装甲をハンドキャノンの弾丸が何度も抉ったが、ローレライが発動させるまで動く様子すらなかったため却下。

 ローレライに援軍を寄越させて戦闘車両の数台を犠牲にして、コロニーLibertalia(リベルタリア)防衛部隊に撃破させる。

 防衛部隊の戦力が疲弊しているのは事実であり、曳光弾とそれを射出する車両というバックアップを既に受けている以上、これ以上は望めない。


 武装全てを破壊し、抵抗できなくなったところをジワジワと削りきる。


 それで自棄を起こしたあの巨体が、コロニーLibertalia(リベルタリア)内で炸裂装甲エクスプロッシブアーマーを使われてしまう。あの巨体を止める方法などウィリアムは知らず、それを決行されてしまえばコロニーの被害は目も当てられないものとなるだろう。


「高火力で一撃必殺、か」


 お世辞にも知的とは言えない行動方針を呟き、ウィリアムは再度左目で解析したアズライト・キャヴァリアの情報を緑がかった視界に投影する。

 キャタピラ、胴体、腕部、そして頭部を囲う強固な装甲。それらは歩兵と戦闘車両にから機動兵器を守ることを想定された物であり、物資が枯渇しているこの世界で最も巨大である兵器が機動兵器である以上、不必要とされ削られた装甲がないわけではない。

 現に攻撃されることはないと断定されたのであろう、胴体部の上部に装甲が薄い装甲のみが存在するポイントがあった。


 しかし6mはありそうな巨体の上を、逃げながら銃撃を繰り返しているだけのウィリアムがどう取るかという問題が残る。

 ヴァイオレット・ヴァーヴァリアンの撃破の際、ローレライが発したフィナーレのファンファーレを鳴らすのは自分であるという発言から、炸裂装甲エクスプロッシブアーマーは搭乗者、もしくは操作権を持っている第3者が居なければ発動しないと判明した。だが一撃で搭乗者ごとで撃破出来なければウィリアムは飛散する装甲の餌食となることは自明の理であった。


『逃げるばかりか!? この惰弱がァッ!』


 プランABC全てを却下しプランD、上空へハンドグレネードを投げて後を居もしない神に任せる、を実行することにしたウィリアムの思考を、スピーカー越しに聞こえる女の怒声と粒子砲から放たれた光弾が妨げる。

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