【8】
ログインした俺は昨日クエストをクリアしたことによってレベルが上がったスキルを確認した。
【蒼海の天剣・Lv20】【剣刀二刀流・Lv52】【アクロバティック・Lv40】【魔導・Lv38】【調教・Lv3】【鷹の目・Lv29】【魔眼・Lv30】【魔王・Lv35】【生産王・Lv1】【精霊の愛し子・Lv1】
めっちゃスキルレベルが上がっていました。サービス開始一日でこのレベルはやはり異常だろう。スキルを覚える時に必要なSPも44もたまっていた。ちなみにSPはスキルレベルが十ごとに一たまるようになっている。まあ、使っていないスキルはクエストの報酬でもレベルは上がらない。
ついでに、昨日は急いでいて見れなかったモミジのステータスも見る。
NAME:モミジ
種族名:エレメンタルテイル・天空
スキル:【幻獣・Lv1】【幼獣・Lv1】【魔力・Lv1】【魔法才能・Lv1】【魔力回復・Lv1】【魔王『限定』・Lv1】【天空の加護・Lv1】【魔装換装・Lv1】
見たことのないスキルがあったので説明を見てみる。
【幻獣】
レアリティ:SR
アビリティ:幻の獣である証。レベルが上がるごとにステータス補正が上がる。
【幼獣】
レアリティ:C
アビリティ:幼い獣である証。幼獣である間はステータス半減、およびスキルの取得経験値半減。一定レベルに上がると成獣になる。
【天空の加護】
レアリティ:SR
アビリティ:大いなる空に愛された存在。空が見えるフィールドではステータス二倍。さらに一日に一回、ステータスを大幅に上昇させることができる。
【魔装換装】
レアリティ:RRR
アビリティ:魔法を鎧、または武器として使うことが出来る。換装できる魔法の種類はスキルレベルに依存する。
なんかすごかった。初期でこの状態とは、恐れ入る。成長するとどんな具合になるのかが楽しみになってきた。
とりあえず、俺は頭の上で寝ているモミジを指でつついた。
「くぅ?」
「ほら、モミジ起きろ」
「くぅ!」
モミジが起きたところで、昨日得たアイテムを売ってJを得ることにしよう。俺はアクアたちに教えてもらった、NPCショップへと向かった。
素材を売ったら、ちょっとお金持ちになった気持ちになった。ちなみに売った素材と値段を見てみると以下の通りだ。
・ゴブリンの皮×30 一つ10J、よって300J
・ゴブリンの肉×25 一つ15J、よって375J
・ゴブリンの骨×23 一つ20J、よって460J
・ゴブリンの大骨×20 一つ25J、よって500J
・ゴブリンの魔核×14 一つ30J、よって420J
・ゴブリンリーダーの皮×20 一つ50J、よって1000J
・ゴブリンリーダーの肉×17 一つ60J、よって1020J
・ゴブリンリーダーの骨×14 一つ70J、よって980J
・ゴブリンリーダーの大骨×10 一つ80J、よって800J
・ゴブリンリーダーの魔核×8 一つ90J、よって720J
・ウルフの皮×36 一つ20J、よって760J
・ウルフの肉×31 一つ26J、よって806J
・ウルフの骨×28 一つ32J、よって896J
・ウルフの牙×22 一つ38J、よって836J
・ウルフの魔核×18 一つ44J、よって792J
・ウルフリーダーの皮×12 一つ74J、よって888J
・ウルフリーダーの肉×10 一つ80J、よって800J
・ウルフリーダーの骨×7 一つ86J、よって602J
・ウルフリーダーの牙×7 一つ92J、よって644J
・ウルフリーダーの大皮×5 一つ98J、よって490J
・ウルフリーダーの大肉×5 一つ104J、よって520J
・ウルフリーダーの大骨×3 一つ110J、よって330J
・ウルフリーダーの大牙×3 一つ116J、よって348J
・ウルフリーダーの魔核×2 一つ132J、よって364J
・ワーウルフの皮×25 一つ158J、よって3950J
・ワーウルフの肉×24 一つ166J、よって3984J
・ワーウルフの骨×20 一つ172J、よって3440J
・ワーウルフの牙×15 一つ180J、よって2700J
・ワーウルフの大牙×10 一つ186J、よって1860J
・ワーウルフの魔核×5 一つ206J、よって1030J
・ワーウルフリーダーの皮×6 一つ304J、よって1824J
・ワーウルフリーダーの肉×5 一つ310J、よって1550J
・ワーウルフリーダーの骨×5 一つ316J、よって1580J
・ワーウルフリーダーの牙×4 一つ322J、よって1280J
・ワーウルフリーダーの大皮×3 一つ350J、よって1050J
・ワーウルフリーダーの大肉×4 一つ356J、よって1424J
・ワーウルフリーダーの大骨×3 一つ362J、よって1086J
・ワーウルフリーダーの大牙×2 一つ368J、よって736J
・ワーウルフリーダーの魔核×2 一つ522J、よって1044J
・アントの殻×25 一つ13J、よって325J
・アントの牙×22 一つ20J、よって440J
・アントの触覚×19 一つ27J、よって513J
・アントの魔核×12 一つ34J、よって408J
・ブラックアントの殻×15 一つ50J、よって750J
・ブラックアントの牙×12 一つ57J、よって684J
・ブラックアントの触覚×10 一つ64J、よって640J
・ブラックアントの魔核×5 一つ87J、よって435J
合計は48300J
初期金額の1000Jと比べるとかなり違う。積極的にMOBを倒したかいがあった。
これで、新しい剣や、かなり耐久値が減ったコートを直すことができる。とりあえず、この店で一番性能がいい、スティール製の剣と刀を買った。なぜ刀も買ったかというと、九尾のクエストで得た刀【インフィニティ・ロード】はちょっと目立ちすぎるためだ。街中では見せない方がいい。
スティール製の剣も刀もどりらも同じ値段で、1800Jだ。初心者の剣などが250Jだったのに対してこれはかなりの高値だ。しかし、今の俺には軽いものだ。まあ、この店が安いのもあるだろう。
さて、武器の次は防具だ。ここで新しく買うのもいいが、姉さんにもらった【黒のロングコート】はまだ使いたい。どこか、直せる場所はないかとダメもとにNPCの店員に聞いてみると、なんでも北から西、西から南の大通り付近は職人通りになっており、そこで、直してもらえるかもしれないとのここだった。しかし、驚いた。NPCなのにプレイヤーを相手にしているのかのような違和感ない会話をしている。今まで、最低限のことしか話さなかったので、気づかなかったわけだ。これからは、いろいろ話してみるのもいいかもしれない。
店を出た、俺は北の大広場を目指した。
「わぁお」
俺が声を出して驚いてしまったのは訳があった。北の広場に来た俺は所狭しと並んでいる露店があった。しかし、どうして開始二日目で露店が出せるのだろう?
確か、露店を出すには、露店設置用アイテムを五万Jで買っておかないとできないはずだった。
「あの~?」
俺はとりあえず近くに露店を出している空色の髪をした女性に話しかけた。
「ん~? あ、いらっしゃ~い」
何とも間延びした返事が返ってきてしまった。そこはスルーしていこう。とりあえずは露店が出ている理由を聞かなければ。
「なんで、露店がこんなにいっぱい出ているんですか?」
「あ~。あなた~、正規版からの参加者です~?」
「あ、はい」
「だったら知らないのも無理ないですね~。実は露店を出しているのはほとんどがβテストからの引継ぎをした人なんですよ~」
「引継ぎ?」
「はい~。βテスターの得点で~、所持金と~露店設置用アイテムまたは店舗、後生産用アイテムを引き継げるんですよ~」
「あ、なるほど、それで」
最初の日に姉さんがこのコートをプレゼントしてくれたのにはβからの所持金引継ぎがあったからか。納得だ。
「まあ~、これもゲームを円滑に進めるためにもいいんですよね~」
「円滑に進めるため?」
「はい~。私たちがプレイヤーから素材を買って、それでいいアイテムを作ります~。そのアイテムを今度は、素材を売ったお金でプレイヤーが買います~。そのアイテムでゲームの進行速度を速めてくれるので~、初期装備の時より良くなるってわけです~」
「なるほどな~」
「それで~、あなたの名前は~」
「あ、自己紹介がまだでしたね。俺はスノウです」
「スノウちゃんですか~。私はフェンリルって言います~。それにしても~、俺っ娘ですか~」
「いや、俺は女ではなく男ですから」
「そんなわけないです~。こんなに可愛い子が男の子なわけないです~」
「だから、違うって」
「いいんですよ~。恥ずかしがらないでも~」
だめだ。こう勘違いした人には何を言っても無駄だ。
「もう、良いです。それで」
「はい~。そうだ、知り合ったので何か買いませんか? 安くしておきますよ~」
「あ、はい。それじゃ」
見ると、フェンリルさんの露店はアクセサリーを中心に売っているようだ。ISOのアクセサリー装備欄は三つだ。今は、防御関係が弱いから、そのステータスが上がるアクセサリーを買った方がよさそうだ。
しばらく見ているといい感じのアクセスが二つ目に着いた。一つは青い真珠のようなのにツタが巻き付いているようなネックレス。もう一つは三日月を模した片方だけのイアリングだった。
「この二つをください」
その二つを指さして、フェンリルさんに申し出る。
「は~い。この二点ですね? 二つで八千Jになります」
支払いを済まし早速装備する。ネックレスのほうの名前は風魔のネックレス。イアリングの方は三日月のイアリングだった。風魔のネックレスは風属性に対しての耐性が高い。三日月のイアリングは闇属性に対して耐性が上がるというものだった。
「あ、そうだ。防具の耐久値を直せるところ知らないですか?」
「防具の耐久値ですか~、そうですね~? あ、そうだ。そこの路地からちょっと奥に行ったところにβ時代からトップクラスのプレイヤーに好評な武具屋さんがあるんです~。そこに行ったらどうですか~?」
「ん~、とりあえず行ってみます」
「じゃあ、マップにマーキング情報を送っておきますね~」
フェンリルさんが手元で操作をしたと思ったら、俺の頭の中でアラームが鳴った。メニューを開くとフェンリルさんからフレンド申請が申し込まれていたので、それを承諾した。承諾するとすぐにマーキング情報が贈られてくる。
「ありがとうございます。それじゃあ、俺行きますね」
「は~い。またのご来店をお待ちしております~」
フェンリルさんののんきな声に見送られて、俺は教えられた店に向かう。
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北の広場のそばにある、一メートルほどの路地に入って、たまに曲がりながら、奥に入っていくとその店はあった。
「ここだよな?」
マップを見るとここを指しているが、俺はちょっと不安になっていた。なんせ、目の前にあるのは古ぼけた扉一枚だけだからだ。周りには看板もなく人通りもない。
とりあえず、開けてみると、俺は驚いて一瞬立ち止まってしまった。
扉の中にはとても綺麗で洗礼された空間が待っていたからだ。店内は思っていたよりも広く、奥行きもある。武器や防具があらゆるところに置いてあるが、それも乱雑性がなく整頓されているかのような配置だ。表通りにあってもおかしくない雰囲気を醸し出している。
「いらっしゃいませ~」
扉を開けたことによりベルが鳴って、俺が来たことを知らせたようだ。奥から、可愛い声が聞こえてきた。
声の主はすぐに出てきた。
「ようこそ、【ミカ武具店】へ!」
その女の子は空色の長い髪を持っていて、同じく空色の美しい瞳を持っていた。
ついにヒロインが出てきました。