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Fランクダンジョンの平和な日常〜ダンジョンコアになって十数年いろんなことがありました〜  作者: 弌黑流人
【第一部】 第二章 王族の危機とコアの秘密

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第15話 熱波ゴブリンとサウナ狂の冒険者

 地下深くのマグマがもたらした危機は、コアの緊急対応によって新たな施設、湯治場(サウナ&温泉)へと転換された。


 以前の『生命の泉』は、マグマの熱を魔力回路で制御した『熱波のスライムサウナ』に生まれ変わっていた。高温に弱い従来のポーションスライムは、避難区域で『極冷えアイスゼリー』の原料として働いている。


 代わりにサウナで活躍しているのは、新たに合成された『熱波ゴブリン(ロウリュウ師)』たちだ。彼らは耐熱スキルを持ち、サウナストーンに見立てた魔力岩盤に、冷却魔力が混ざった水をかけ、熱波を発生させる。この熱源を担うのは、マグマ溜まりを隔てる壁の一部である『タイルス・ゴーレム』だ。彼らが熱を精密にコントロールすることで、最高の熱効率を生み出している。


 (よし。中級への昇格回避、及びダンジョンの崩壊も免れた。この安全性と熱効率があれば、新たなサービスでEXPの収入源が増える)


 コアが安堵していると、早速、新しい施設を体験しに来た客がいた。彼は、全身をタオルと水着のようなシンプルな装備で固めた冒険者、タツミだ。剣も防具も持っていない。彼のステータスには、戦闘に関する値は低いが、『忍耐』と『発汗』のスキルが異常に高かった。


「 お、おぉ……。このダンジョン、噂には聞いていたが、この熱気はただ事ではない。マグマの息吹を感じるぜ……!」


 タツミは、周囲の熱波ゴブリンには目もくれず、興奮気味にサウナの扉をくぐった。彼の目的は、討伐でも素材でもなく、究極の熱波だけだった。


 タツミがサウナ室の木のベンチに座るや否や、俺は熱波ゴブリンに指示を出した。


 「いらっしゃいませアル!新サービス、究極の『熱波ロウリュウ』でごあす!」


 熱波ゴブリンたちは、慣れないながらもプロ意識を持って仕事に取り掛かる。高温に熱されたタイルス・ゴーレムに、勢いよく水をかける。ジュワーッ!という音と共に、熱気がサウナ室を満たす。


 タツミは目を閉じ、その熱気を全身で受け止める。


 「くぅーっ!これだ!これこそが、命の燃焼!ありがとう、熱波ゴブリン!」


 熱波ゴブリンは、客に感謝されたことが嬉しく、さらにタオルを振り回す手にも力が入る。


 「もっとアル!もっと熱く、魂を磨くアル!」


 コアのモニターには、タツミの極度の緊張と弛緩が繰り返されることで、良質なEXPが次々と流れ込んでくる。サウナの利用時間が、そのままコアの経験値に直結するのだ。


 十分ほど耐え抜いたタツミは、サウナから飛び出し、休憩エリアへと向かう。彼はマグマの熱を利用した温泉には目もくれず、休憩エリアに用意された『ヒエヒエ・ポーションスライムの湯(極低温水風呂)』に、「アァァァーッ!」と叫び声をあげて飛び込んだ。


 「これだ!この極限からの解放!最高だ、ダンジョンコア!」


 俺は、すぐさま『ヒエヒエ・ポーションスライム』を原料にした『極冷えアイスゼリー』を、タツミの休憩席に用意した。タツミはゼリーを貪り、恍惚とした表情を浮かべる。


 タツミは合計三セットをこなし、大量の汗と共に、最高の満足度と膨大なEXPをコアに残して帰っていった。


 (ふむ。戦う者だけでなく、「ととのう」者からも経験値がもらえるとは。ダンジョン運営は、奥が深い)


 地殻変動という危機は、結果的にダンジョンの魅力を飛躍的に向上させた。コアは、この新たな平和な日常に、静かに安堵するのだった。

 ご拝読ありがとうございます。これぞダンジョンの新しい形!冒険も憩いも、両方を提供できる複合施設の完成だぁ!などと、コアみたいに、はしゃいでしまいました。今後の展開としましては、経験値の使い道、新たな挑戦者、ザック再び、このあたりを考えています。どうぞ次回もお楽しみに!


(追伸 今日12/11のお昼に、[日間]異世界転生/転移〔ファンタジー〕にて、ランクインした通知が届きました。読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。どれくらいの数の作品があるのかは知りませんが、順位はちょうど300位でした、)

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