第14話 マグマの化身と、動く「ととのい」の迷宮。
地殻変動という最大の危機は、コアの即座の対応により、新たな「サービス」と「防御システム」へと転換された。
熱を逃がすための通路の再構築と、マグマのエネルギー制御を進めた結果、コアの部屋の直前に、新たな階層が一つ追加された。
新たな階層は、地下深くのマグマ溜まりから熱が漏れ出す『火熱の迷宮』となった。壁は常に熱を帯び、通路には煮えたぎるマグマ溜まりがいくつも点在している。
この階層の壁を構成し、サウナの熱源も担う、新たなモンスターを合成した。
元の素材: マグマの熱に耐える岩石 + マグマの原液 + 『細分化スキル』
結果: 『タイルス・ゴーレム(通称:熱タイル)』
体躯の大きなマグマゴーレム(中級)ではなく、手のひらサイズのタイル状に細かくされたゴーレムたちだ。彼らは互いに連結し、迷宮の壁や床として機能している。
(これで良し。ゴーレムを細かくすることで、一体あたりの殺傷能力を初級レベルに抑えた。全体では中級の防御力を持つが、個々の討伐報酬は低級のままだ)
『熱タイル』ゴーレムたちの最大の役割は、迷宮の形を自在に変えることだ。冒険者がこの迷宮に侵入すると、コアの魔力制御に従い、壁が自動で動き始める。この動く壁によって、コアの部屋に続くルートは常に変化し、事実上、最短での踏破を不可能にした。さらに、マグマ溜まりの熱は非常に強力だ。この階層を突破するには、耐熱装備や高度な冷却魔法が必須となる。
「マグマの熱に耐えうる装備や魔法が必要になる。初級ダンジョンなのに、難易度が自然に上がったな……」
コアのモニターには、新たな階層の設置により、このダンジョン全体の難易度が「中級に限りなく近い」と表示されていた。しかし、提供される素材の品質(低級)とモンスターの個々の殺傷能力は変わらないため、あくまでもダンジョン格付け上は低級のままだ。
(完璧だ。平和主義を貫きながら、誰もコアに到達できない絶対防御を築き上げた。しかも、この熱を利用して「安堵の湯」と「サウナ」という、新たな EXP 源も確保した)
そして、この熱タイルゴーレムは、サウナの質も支えていた。コアは熱タイルの一部をサウナ室の「ストーブ」として使用した。タイルス・ゴーレムは、自身の体温を精密にコントロールできるため、熱波ゴブリンが水をかけた際も、常に最高の熱効率を生み出す。
危機を乗り越えたコアは、地殻変動を逆手に取り、自らの安寧を確固たるものにした。こうして新たな障壁が加わったダンジョンは、「低級ダンジョンでありながら、誰も踏破できない」という、さらに奇妙な評判を獲得しつつあった。
ご拝読ありがとうございます。温泉施設と迷宮フロアを獲得した低級ダンジョンがここに爆誕!!これは一度難易度査定をした方が良いかもしれませんね(汗)。ひとまず、温泉施設を楽しんでいただこうと思います。それでは、また次回をお楽しみに。




