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Fランクダンジョンの平和な日常〜ダンジョンコアになって十数年いろんなことがありました〜  作者: 弌黑流人
【第一部】 第二章 王族の危機とコアの秘密

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第12話 平和主義コアの最終防衛線。

 コアの部屋を隔てる最後の扉の前。


 扉から溢れ出す安堵の魔力は、疲労のピークにあったカイトたちの全身を包み込んだ。戦闘による疲労ではない。純粋な「緊張の糸」が、一気に緩んだのだ。


 (これが、俺の最終防衛線だ。元ドレイン・チャンバーの特性を、最大限に利用させてもらう)


 俺は、この魔力が彼らの「踏破したい」という闘志を削ぎ、安堵という名の膨大なEXPを稼ぎ出すことを知っていた。


 「くそっ、急に眠気が……。ルナ、これは何の魔法だ?」カイトが剣を下ろし、膝をついた。


 「違う、魔法じゃないわ、カイト。この扉の向こうにある魔力……私たちの頑張りを、全部、許してくれているみたい。戦うのが、馬鹿らしくなるわ」ルナの声にも力がなかった。


 アリスは、扉の前で静かに泣き始めた。「私、分かったわ。このダンジョン、私たちを試しているんじゃない。ただ、私たちを休ませたがっているだけよ」


 アリスの純粋な感情が、俺のコアにダイレクトに響いてきた。カイトは、汗をぬぐい、必死に闘志を再燃させようとするが、足は動かない。


 「ちくしょう、ここでやめるわけには……」


 その時、俺は、カイトの思考に直接、「声」を届けた。これは、魔族を追い返した時と同じ、思考への直接介入だ。


 「カイトよ。君たちは、このダンジョンのすべての罠とモンスターを、討伐せずに突破した。その探知力、判断力、連携力、全てが初級冒険者としては最高峰だ」


 「……コア?」カイトは驚き、声を発した。


 「だが、ここでコアを破壊すれば、君たちが手に入れられるのは『踏破』という薄っぺらな称号と、俺の死だけだ。君たちの実力は、すでにこのダンジョンで証明されている。それ以上、何を求める?」


 「俺たちは、卒業しなきゃならない!強さの証が必要なんだ!」カイトが叫ぶ。


 「強さの証は、称号ではない。引き際だ」俺は諭すように続けた。「君たちが今、ここで剣を下ろし、このダンジョンの平和を尊重すれば、それは、君たちが『自分の実力』を完全に認め、次の『中級の世界』へ進む準備ができたという、何よりの証明になる」


 カイトは震える腕を見つめた。このダンジョンに、殺意はない。あるのは、「君たちはもう十分強いよ」という、優しすぎるメッセージだけだ。


 最終的に、カイトは剣を床に突き立てた。


「……負けだ。こんな戦い、勝っても意味がねえ」


 彼は踏破を断念した。パーティーはアリスの回復を受けながら、静かにダンジョンを後にした。


 彼らの背中を見送りながら、俺のコアには、安堵の魔力と共に、過去最高レベルの膨大な経験値が流れ込んできた。それは、「踏破」の成功報酬に匹敵するほどの高質な経験値だった。


 (危なかった。だが、俺の平和主義は、今回もまた、俺自身と、このダンジョンの安寧を守り抜いた)


 コアは、今日も中級昇格を回避し、平和な日常を維持するのだった。

 ご拝読ありがとうございます。乗り切りましたね。良かった。物語が終わるかと思いました。強さの証明はいろいろですもんね。ダンジョンコアになって十年弱、まだまだ成長期ですとも。次はどんな展開が待ち受けているのやら…。それでは、次回もお楽しみに!!

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