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耽美奇譚

不思議の国症候群

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。

これは読者様の問題ではなく、私の問題。


詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。


注意事項2

好きなのに怖いってなんなんだろう。

久々の耽美奇譚。彼女の精神は何処へ?

中学からのアリス推し。けれども学生時代は部屋の大きさも相まって、貯めたグッズを飾る事はまず無かった。ヲタ部屋への憧れはあったけれど、その空間がなかった。

その幼少期が影響してか、結婚して自分の部屋があっても、硝子棚を購入してフィギュアやアクスタを飾る事なく、個性のないベッドと机と本棚というシンプルな構造を極めていた。人目を引くものと言ったら、ランプにぶら下がったアクキーと赤の女王ぐらいだろう。

でも、そろそろ良いだろう。引っ越す事はほぼ無いだろうし、第一自分の部屋なのだから、何かに侵食されることは無い。

という事で、机の中に仕舞い込んでたグッズを卓上に飾る事にした。チェシャ猫との出会いのアクスタを土台に差し込んで端に立て、ポスカはフレームに入れて並べ立てる。誕生日に貰った白兎の置物を前に横並びにする。

ただそれだけで幸せな気持ちになる。推しが目の前にあるだけで目が離せない。幻想的で、可愛らしい、不思議の国。其れがこの小さな卓上に広がっている。あとは、あとは、あとは、アクセスタンドを用意して、アクキーをぶら下げて……。あぁ小瓶の中にアリスのフィギュアを入れたいな。一つ一つクリアケースに入れて、逃げられないようにして、捉えて……。

しかし思考を捏ねくり回す様に、鼓動が早くなる。ドクドクと血が巡り、視界がグラつく。気が付くと、私は椅子の上に座り込んでいた。


興味のないものには何をされても気にしない図太さを持っているが、惹かれたもの、焦がれた物に対しては神経系が脆くなる。其れは取り分け好きな専門店に訪れた時に顕著だった。

アリスの専門店に訪れた際には息が荒くなるし、買い物を終えた後も駅の椅子でぐったりとしていた。しきりに水を飲む事から、喉が渇いているのだろう。興奮している様だったし、其れを自分で落ち着ける事も難しい様だった。

ポスカやアクキーやアクスタを購入するのは構わないが、問題はその利用方法である。

世の中には趣味で部屋を固める、言わばヲタ部屋と呼ばれるものが存在する。彼奴も結構なアリス好きであるからこそ、そうなる事もおかしな事ではない。

だが、仮に其れを作り出したとして、彼奴は真っ当で居られるだろうか? また専門店を訪れた時のように、過度に混乱を招く事は無いだろうか?

そう言えば、彼奴は朝からずっと自分の部屋に籠っている。体の事も考えて、出歩く事に釘を刺したので、道理には適っているが……。

嫌な予感がする。其れは昨日、先週と専門店を訪れて、アリスグッズを購入していたからだろう。

「入るぞ」

様子を見て、大丈夫ならさっさと去ろう。しかし扉を開けた先にあったのは、机に突っ伏す恋人の姿だった。慌てて駆け寄って、肩を揺する。しかし反応はない。

「おい!! しっかりしろ」

耳元で叫ぶと漸く顔を上げる。目の焦点が合っては居なかった。ただ朦朧と遠くの世界を見据えていた。

部屋にはアリスのグッズだけが散乱していた。

ヲタ活の悩みって言ったら、


浴びる程グッズ出て、それら全部買わなきゃいけない。

同じもの複数買いして、対処に困る。

生命線削っても貢ぐ。


とかだと思うんですが、それ以前に、それ以前に、交感神経優位による疲労が先に来ます。


ドーパミン(脳内麻薬みたいなもの。快感とか、興奮とか、アクセルの方向)が止まらなくて死ぬ程疲れる。

オキシトシン(安心感とか、精神安定)が出ない。もうずっと落ち着かない。


アリスを閉じ込めた筈なのに、私自身があの世界に囚われている気がする。

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