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ハンバーガーとドングリ

作者: せおぽん

令和50年。人類は労働から解放され自由な生活スタイルを満喫していた。


令和50年の政府は、国民のIDカードとしてライフパスを発行し携帯を義務づけている。ライフパスには個人の選択した文化のライフスタイルが記録されており、全てのサービスは選択した時代のライフパスに基づいたサービスが提供されるのだ。昭和のライフパスを携帯した者は昭和のサービスが提供される。このライフパスは成人と認められる18歳から発行され以降5年毎に更新及び変更が可能となっている。


ケイは真新しいライフパスをイジりながら、友人のジョーを待っている。ケイの選択したライフパスは昭和。お爺ちゃん子だったケイは18歳になったら昭和のライフパスにしようと決めていたのだ。


ジョーは、いつの時代にしたのかな?


そう思っていたら、大分ラフな格好のジョーが到着した。


「お前、なんだよ。その格好」

「知らねーの?貫頭衣だよ。100%ヘンプ」


ジョーは縄文のライフパスを選択したんだそうだ。昔からコイツは何も考えちゃいない。更新は5年後だぞ。


腹ごしらえをしようと、俺たちはハンバーガーショップに入った。テーブルについてメニューをコールするだけで良い。支払い等の手続きはライフパスが自動でリモート処理してくれる。


「チーズバーガーのセット」

「ドングリと野イチゴのセット」


ワイルドすぎる。


配膳ドローンが俺たちのメニューを届けにくる。配膳ドローンはチャリンとベルを鳴らし、受け取りと支払いの確認を告げた。


「この頃のハンバーガーは100円なんだってよ。スゲーよな」

「ああ、俺のセットは無料だけどな。肉も欲しいところだが、命懸けだから気軽には食えない」


ジョーはガリガリとドングリを齧りながら、俺に言った。ワイルドすぎるだろ。


腹を満たした俺たちは、服屋に向かう。道をすれ違う人々は様々な文化の格好をしている。


「あの服装はモガかな。大正時代だ」

「あの髪型は弥生時代か。流石、服装も俺より大分洗練されてる」


服屋でそれぞれ服を選ぶ。

俺は70年代のサイケで野心的なファションが好きだ。今の時代はいろんな時代が混在しているから、古臭いと馬鹿にされなくて良い。ジョーが俺に声をかけた。


「なあ、ケイ。どれが似合うと思う?」


すまない。ジョー。残念ながら、俺にはズラりと並ぶ貫頭衣の違いは見分けられないんだ。


俺達は店をでた。


いろんな時代の混ざった社会だが、なぜだか上手くいっている。



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