莉音と海と夏祭り (※今回は優視点です。)
皆さん、どうもYukiです!
最新話、遅くなってしまってすみません。
でも、次回は今週中に出そうと思います!
(“予定”ですけどね)
それでは本編を
「「どうぞ!」」
莉音と夏祭りに行く約束をした。
それと同時にカナには、誘われても来ないようにお願いした。
カナは元々、私が莉音を好きなのを知っていた。
なので、幸いにも快諾してくれた。
そう、私は莉音の事が好き。心の中でも、言ってて恥ずかしくなってきた。
そういえば、いつ莉音を好きになったのだっけ。記憶の山を漁ってみるが、それらしきものは思い出せない。気がついた時には好きになっていた。
そんなこんな考えているうちに、夏祭りの集合場所まで来ていた。
三十分も早く着いてしまった。莉音と夏祭り、楽しみだ。
私とカナと莉音の三人で、海へ遊びに行った時の事を思い出してしまった。
それは八月十日。
◇◇◇
その日は、空一面が綺麗なブルーだった。太陽もキラキラと輝いている。
日差しが痛い。今からでも引き返して日傘を取りに帰ろうかと思うと、前を歩く莉音の姿を見つけた。
やっぱり、このまま進もう。駆け足で莉音に追いつく。
「おはよう、莉音。」
どうだ莉音、今日は服装をバッチリきめたぞ。
五部袖の白シャツにベージュ色のロングスカート。それに、黒のミュール。メイクも一時間かけてやってきた。
「優、今日も似合ってる。」
莉音はきっと、社交辞令的な意味で言ったはず、なのに、、、なのに、ドキドキする。
「莉音も似合ってる。」
黒のジーンズに、白いティーシャツには英語で何か書いてある。
社交辞令でなく、本心から似合ってると思う。
その後数分間、会話をしていると集合場所に着いた。
カナはアイスを食べていた。ズルい、私も食べたい。
カナともあいさつをして、電車に乗る。電車にはほとんど人が乗っていなかった。
電車では海に着いたらしたい事を話していた。
莉音は「かき氷が食べたい。」と言い、優は「アイスが食べたい。」と言った。
二人ともも食べ物。
海なら海水浴だったり、砂遊びだったりするものでは?食べ物目的で海に行くなんて、本当に2人とも面白い。
車内なので笑いそうになるのを必死に抑える。
「みんな食べ物ばっかり。海で泳いだり、水かけあったりしようよ。」
たまにはツッコミを入れておかないと、二人がどんどん面白くなってしまう。
笑いすぎてもお腹が痛くなるから、大変だ。
しばらくすると、大きな駅に着いたので多くの人が乗ってくる。
みんな大荷物なので狭い。それに家族連れも多い。
押し寿司状態の電車に揺られていると、目的の駅に着いた。
その頃にはもっと人が増えて冷房が意味なっかった。もしかすると外よりも暑い。
頑張って、冷房。私たちのために。
と言っても、この駅で降りるので私たちには関係無い。
電車を降りてから歩くこと30分。ついに海に着いた。潮風が気持ちいい、けれども暑い。
もちろん定番のアレを叫ぶ。
「う〜みだ〜」
「「海だ〜」」
まさかの莉音とカナは「海だ〜」派だったらしい。これは予想外だった。
驚くべき新発見。
そんなこんなでさっさと着替えて海に行く。
「おっ、みんな似合ってるね。勿論私も含めて。」
「自分で言っちゃう?優は自分が似合ってるとか言うのか。」
みんなで大いに笑った。
笑いが収まると泳いだり、水を掛け合ったりした。
遊び疲れると、莉音はかき氷を買いに、カナはアイスを買いに、私ははお留守番で一旦解散。
近くの日陰で座って涼む。涼むといっても暑いが無いよりはいい。
「あれ、お姉さん一人?暇なら俺らと遊ばない?」
「あっ、間に合ってます。」
「即答は傷つく…..って、違う。君がナンパされてる風になって、友人はどう動くか的な実験。どう、面白そうじゃ無い?」
「それのった!凛音たちが帰ってきたらやりましょう。」
打ち合わせをする際にわかったことだが、このチャラい二人組はただのいい人だった。
「莉音が来ました、始めましょう。」
「よしきた」
さて、莉音はどんな反応をするのだろうか。
「そこのお姉さん、暇なら俺たちと遊ばない?」
「ちょっと困ります。」
狙い通り、凛音が駆け寄ってくる。
「ちょっと、やめてください。優が困ってるじゃないですか。」
「いいじゃん、ちょっとぐらいさぁ。」
ナンパ野郎(演技)の圧が凄まじい。莉音も気圧されている。
これじゃあ、予定通りネタバラシして終わりか。
なんだか呆気なかったな。
「あなたは、人の気持ちを考えて行動しているんですか。優の顔を見てください。笑ってませんよ?さっきまでは、あんなに笑顔が輝いていたのに。」
低く冷たい声だ。まるで刃のように鋭い。
莉音は人のために怒ると、とても怖い。
私に怒りが向いていないのに冷や汗が止まらない。
「わ、悪かったよ。許してくれ。」
ネタバラシせずに一目散に逃げていった。
「ありがとう莉音。」
「いや、良いんだ。優が無事なら。」
ここまできて「ドッキリですとは流石に言えない。
気づけばもう莉音の怒った表情は消えていた。
代わりに空がとても曇っていた。
「莉音、優。雨が降りそう。そろそろ帰ろう。」
「だね」
「そうしよっか」
「今日は仕事終わるの遅くなるから、宿屋にでも泊まっといてくれ。」
そう言われては仕方がない。宿屋に泊まるとしよう。
宿屋は金銭的に、みんなで出し合って一部屋しか借りられなかったので一部屋で3人寝ることになった。
着替えは無いので宿屋の寝巻きを着た。寝る時は部屋の奥から順に凛音、優、私で寝る。
普段はベッドで寝るが、敷布団なので不思議な感じがする。
着替えて、みんなでもう一度集まった時には大雨だった。
大雨のせいで電車は止まっていて帰れない。
しかも、莉音しかスマホを持っておらず莉音の親に電話したが、宿屋にでも泊まっておくように言われた。
一応、カナと私の親にも宿屋で泊まって翌日帰ることを伝え、許可をもらった。
宿屋は金銭的にみんなで出し合って一部屋しか借りられなかったので一部屋で3人寝ることになった。
着替えは無いので宿屋の寝巻きを着た。寝る時は奥から順に莉音、私、カナで寝る。
敷布団タイプなので不思議な感じがする。
〜〜〜
体が重くて目を覚ますと顔のすぐ右に莉音の顔があった……なんだ莉音か。
いやいやいや、おかしいでしょうが。
急な展開に目が覚めた。
莉音を起こすのも気が引けるので、カナが起きるまで待つとしよう。
朝日が昇って少しするとカナが起きた。
「助けてカナ。」
小声で助けを求める。
「え、どういう事。」
「朝起きたら体が重いと思ってみたら寝ている莉音に抱きつかれていたの。」
私が混乱している間のもどんどん優の顔が赤く染まっていく。
「ふわあぁ。あっ、カナ先輩、優おはよう。あれ、優なんか顔近くない?」
莉音が起きてしまった。幸か不幸か、莉音は寝ぼけていて今の状況に気がついていない。
そのまま三人で見つめ合っていた。数分が経過した。
「ん?えっ、ごめん!僕寝相が悪くて。」
「いいい、いや全然大丈夫。」
莉音はすぐに優から離れて土下座。今の状況にやっと気がついたらしい。
朝から大騒ぎだ。莉音が誤解が解いた後、みんなで電車に乗って帰った。
行きの電車よりも空気が重かった。
きっと朝のことを全員が引きずっているせいだ。
◇◇◇
待ちに待った凛音との夏祭り、待ち合わせの駅に着いたので凛音とのメールを開く。
「カナ、風邪ひいて夏祭り来れないみたい、残念だね。」
『えっ、残念だな。』
初めて凛音に嘘をついた、カナは風邪など引いていない。私が凛音と2人で夏祭りに行くために協力してくれているだけだ。
そして、レンタルの着物を確認する。
黒い帯に白い生地の浴衣。水色の凛と咲く花が描かれている。頭には霞草のドライフラワーをさしている。
我ながら可愛い……いや、もはや美しいかもしれない。
そうして待つこと五分。
凛音が来たのだが、じーっと見つめてくる。ものすごく、照れるのだが。
「おっ、来た来た……なーに、見惚れてるのだか。」
「か、可愛いかったからだよ。」
「っ、い、行こっか。」
照れ隠しのドキッとさせる攻撃をカウンターで返された。
会話がまるで、付き合って一ヶ月目の初々しいカップルみたいだ。
頬が熱い、口も緩んでいるような気がする。
電車に乗って5駅ですぐに降りる。
「祭りで何をする?」
「祭りで何を食べる?」
まさかの同時に真逆のことを言ったのが面白くて笑い合った。
私と凛音が出会った幼稚園の前で。
「は、はぐれたら困るし、手でも繋ぐ?」
「いいよ。」
凛音が勇気を振り絞って言ってくれたのだろう。声が震えていた……なんだか可愛い。
凛音の手は厚くてゴツゴツしていたけども、握る手は優しさを感じさせた。
少し手を強く握るとより強く握り返された。
「痛い」
強さは元に戻ったが、どこかギュッと強く手を握ってほしい私がいた。
祭りの行われている場所に着くと、凛音はチョコバナナとホルモンを買っていた。何も面白くないのに笑いが込み上げてきた。
「チョコバナナとホルモンって、あっはははは。組み合わせどうなのよ。」
ちなみに私が買ったのはベビーカステラとかき氷。
お腹いっぱいになったら、めいいっぱい遊んだ。まるで天国のように最高だった。
もうすぐで花火の時間だ。
今日カナがいないのは、私が凛音に告白するためだ。自分を奮い立たせて声を出す。
「凛音、あのね。その……やっぱり、なんでもない。」
「なんだ、なんでも無いのか。真剣に言い出すから、重要なことかと思ったじゃん。」
やっぱりダメだ。言うのが怖い、フラれるのが怖い。
ヒュー、ズドン。
星瞬く夜空に咲く、一輪の華。
「凛音、花火綺麗だね。」
「……綺麗。」
「そんなに花火にむかって、愛おしそうに『綺麗』だなんて。好きな人に対して言うみたいに、言うんだ。」
「そ、そうかな?」
今の言い方で花火にではなく、私に言ってほしかった……まさか、これが嫉妬?
花火に嫉妬は流石に嫉妬深いにもほどがある。
終盤に放たれた花火は生きる希望が湧くような花火だった。
辺りは誰もいないかのように静かだった。誰もが花火の余韻に浸っている。
◇◇◇
帰りに莉音が幼稚園の前で話し始めた。それと同時に私も声をかけた。
「あの。」
「ねえ。」
「えっと……じゃあ、先僕から。」
「何?」
そこで二人は自然と歩みを止めた。周りの喧騒が遠のいていく。
「優、僕は……優のことが好ーー」
私は全力で凛音を突き飛ばした。
どうでしたか?
私的には、花火の表現は毎回頑張っているんです!
それでは早速、次回を書いてきます。
(シナリオはできているので、ちょちょいのちょいです!)
それではまた次回お会いしましょう。
「「バイバイ!」」




