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闘犬師とブリーダー

作者: コウチマン

闘犬、つまり犬に喧嘩をさせてそれを鑑賞すると言う行為だ。


食用犬に次いで間違った使役用途だし悪趣味でしかない。本来犬は不必要な闘争は極力避けるし、群れで暮らす協調性の高い動物であり、同族同士の争いを好む様に仕向けるのは本来備わっていた良い性格を歪める事に他ならない。


その為に愛犬家、動物愛護達を筆頭に何かと闘犬は槍玉にあげられ今日では人気は下火の傾向だ。


だが僕が奇妙に思うのは闘犬を批判をしている人々が往々にして闘犬どころか狗肉を喰らう以上の悪逆な行為に加担していると言う事だ。


それは品種改悪された犬を金を出して買い、珍重すると言う行為である。

ここで言う品種改悪とは犬そのものの命、健康を脅かす方向へ意図してブリードする行為と定義する。


超小型犬、短頭種、巷では生まれながらにして病気の奇形犬が溢れかえっている。


愛護活動家は闘犬師を弱い犬を淘汰すると言う点で批判するがそれは間違っている。


何故なら品種改良には淘汰と言う悪は避ける事の出来ない必要悪だからだ。淘汰とは子孫を残させない事で必ずしも殺処分する必要は無いが殺処分とて状況によっては許されるべきだろう。


例えば適切に躾をされているにも関わらず先天的に精神異常で飼い主にも噛み付く様な犬であるとか、治る見込みの無い苦痛を伴う病の犬であると言った場合には殺処分、マイルドな言い方にすれば安楽死させる事も仕方ないと思う。


またより現実的な問題として駄犬を養うスペースを名犬に置き換えた方が良いと言う事もある。犬は人間の庇護なしでは存在出来ないのだから、ある犬を処分して別の犬を飼うと言う事は新しい犬にとっては食い扶持にありつける恩恵を受けれると言う事でもある。闘犬師はもちろん全てのブリーダーが多かれ少なかれこの考えを持っていると思う。


自然界のオオカミ等動物達も絶えず生存競争による淘汰圧を受け続けているのだ。そしてそれが進化を促すのである。


しかし巷に溢れるブリーダー達はどうだろう?淘汰する対象は根拠なく決めた犬種基準を外れた犬である。彼らは名犬を始末して駄犬を量産しているのだ。イングリッシュブルドッグやフレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリアと言った犬達は帝王切開で繁殖させるのが当たり前。ゴールデンレトリバー、ロットワイラー、セント・バーナード、バーニーズ・マウンテン・ドッグ、グレート・デーン等の大型犬は奇妙な遺伝病に侵され10年そこそこしか生きられないのが当たり前。チワワ、トイプードル等の超小型犬は40センチ程度の高さから落ちて骨折したり、極めて脆弱で水頭症を患っている事もザラだ。


品種改良には必ず淘汰と言う必要悪が伴う。つまりこれらの犬種のブリーダーは健康な犬を淘汰し、不健康な犬同士を掛け合わせ増やして来たのだ。


弱い犬を淘汰し、強い犬を増やしてきた闘犬師、つまり闘犬ブリーダーの方が遥かに自然の摂理に逆らわず犬に対して真摯ではないか。


近親交配、インブリードも品種改良に欠かせない必要悪である。良い特徴を遺伝させる為にはさけて通れない。ただ悪い点も固定されるから慎重にならなくてはいけない。


闘犬に使うピットブル、ゲームピット等の闘犬や土佐闘犬の中にはかなり濃い近親交配で作出された物もいるが健康な物ばかりだ。

やはり喧嘩で勝つには先ず健康でなくてはならないからだろう。


巷に溢れる人気犬種のブリーダーが生み出す犬は同一犬種の個体同士を比べてみると毛色も顔つきも不自然な程同一で不健康な犬ばかりである。

これらの犬も極めて強い近親交配と淘汰を繰り返して来た事が伺える。病気や奇形の犬を同じ血縁関係内で掛け合わせ続けた結果がこれらの犬達である。


当然愛玩犬ブリーダー達は自分達の増やした犬が奇形で将来的に健康リスクがある事も知っている。彼らは確信犯なのだ。だがペット産業としては愛玩犬が脆弱な方が良い。その方が金になるからである。


間抜けな飼い主は高い金を出して奇形犬を飼いあれこれ世話を焼き体調を崩せば獣医に行き高い薬やフードを与え、服を着せ、死ねばまた犬を買う。


そういうふうに犬の世話を焼いて大金を使い自分の庇護欲を優しさと勘違いした犬の飼育者が世の中には溢れていて闘犬師を非難する。


どの口がほざくのだと思う。

彼らが猫可愛がりしている愛玩犬の影には闘犬に負けない程の屍と闘犬以上の闇がある。それは命を冒涜した果ての産物なのだ。

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