出会い
「はぁっ、はぁ、」
枝木に腕を切り裂かれ、石に足を突き刺され、肺が破れそうになりながらも少女はその足を止めることは出来なかった。何故ならすぐ後ろに巨大牙を持つ魔物が迫っていたからだ。しかし、魔法で身体を強化しない限り魔物から逃げ切る事などできない。抵抗も虚しく大木の下に追い込まれる。
「・・・はぁっ、、はっ、・・来ないでぇ、、」
魔物が目前に迫まる。心身ともに限界に達していた少女は絶望に打ちひしがれる。
少女が死を覚悟したその瞬間_____
「斬撃っ!!」
力強い声とともに放たれた斬撃が魔物を両断した。
「大丈夫か!?」
「人間・・、」
少女は警戒を強める
「かなり出血しているな、このポーションをやる」
--「すごい、傷が、、」たちどころに治っていく傷を見た少女は目を輝かせる
「助けてくれて、、ありがとう、」
「おう、俺はリヒト!冒険者だ、お前は?」
「・・・わからない、」
「わからない・・、どういうことだ?」
リヒトは首をかしげながら質問する
「・・何も思い出せない・・自分が誰なのか、名前も何もかも思い出せない・・気が付いたらこの森にいて、魔物に襲われて--、痛いっ!突然、頭を抱えた少女が気を失う
「おい!大丈夫か!?おい!」
体を動かすが反応は無い、だが呼吸をしている事を確認したリヒトは一瞬安堵の表情を浮かべる。そして、すぐさま少女を抱えて帰路を急いだ。