表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/240

★アシャラ二百景

 ■


 グィルに事情を説明する。

 流石にいきなりギルドマスターに会えるとは思ってなかったため、本来は手紙を渡す予定だったのだが良い意味での想定外のお陰で話が進んだ。


「地脈が乱れている。森でそこまで影響を与える様な存在はただ1つ。上級斥候達を2名向かわせたが戻らなかった。彼らは手練だったが。シルヴィス、分かったことを話しなさい」


「はいマスター」

 後ろから声が聞こえてくる。


 背後に気配……なんて感じなかったが急に現れた。

 だがヨルシカが少し前から緊張した風だったので、彼女は気付いていたのだろう。


 振り向くと……誰も居なかった。

 しかし気配だけはそこに鎮座している。

 ヨルシカを見ると目を細め、ある一点を見つめていた。

 そうか。

 認識阻害かな? 

 少し考え方を変えてみる。


 “そこには確かに誰かがいる。俺がそう決めた”


 強く目を瞑り、見開く。

 果たしてそこにはダークエルフと思しき者が居た。


 ■

挿絵(By みてみん)

 ダークエルフの女は意外そうに俺を見つめ、口を開いた。


「大森林奥地、北方4万歩。緑の使徒と思われる者らの隠れ家を見つけたの。調査に向かった者は2名。いずれも上級斥候。鳥を飛ばして連絡を取り合っていたのだけれど、定期連絡が途絶えて今日で2日目。多分捕らえられたか殺されたわ。隠れ家発見、そしてその位置の報告が最後の報告。分かった?」


「ああ。ありがとう。貴方はあの森に何があるかご存知なのですね」


 グィルは頷き、森の伝承を話してくれた。


「緑の使徒等はかの存在を解き放とうと言うのだろう。愚かな事だ。どの道、すぐに封印は解ける筈だったのだが。そして、解けたなら解けたで構わなかった。もとより穏和な存在だ、放って置けばよかったのだ。過去の事に拘泥する存在ではない。今というその瞬間を平穏に生き続けたいと願っている様な存在であったと言うのに」


 グィルが首を振り、ため息をつく。


「見てきた様に言うのですね」

 俺がそう言うと、グィルは何も答えなかった。


「封印の解き方が問題、ですか」

 グィルが頷く。


 全容が見えてきたな。

 一部の行商が消えたと言う話も、ここで繋がる。


「ヨルシカ。話をまとめて伝える。どこかの馬鹿共が欲に駆られ、阿呆な事をして、そのお陰で神だか神もどきだか知らないがそういう存在と対峙する必要が出てきた。我々がする事は2つ。馬鹿共を皆殺しにするか全員捕縛する事、そして神だか神もどきだかを殺すか、再度封印してしまう事だ。王宮と繋ぎは取れるかい? 事はアシャラの存亡に関わるぞ」


 ◆◇◆


 SIDE:ヨルシカ


 ヴァラクの時とどちらがまずいか聞いてみたいが、聞いてしまったらそれはそれでうんざりしてしまいそうだな。


「ああ、私は余り立場は良くないけれど、最初に君に言われた時に既に繋ぎはとった。状況を話せば兵を出して貰えるだろう」


 ギルドマスターの話してくれた伝承程に強大な存在なら、この国だって今の状況を放っては置けないはずだ。


 王とは明日の朝一番で接見を出来る様にしておいた。

 それをヨハンに伝えると、明朝一緒に行こうと言う話になる。

 彼の話を聞く分には結構大きな話だったはずなのだが、なんだか事務的に話がどんどん進んでいっている気がする。


 ◇◇◇

挿絵(By みてみん)

【それ】が浸る優しく甘いまどろみに、黒くドロドロしたものが入り混じる。


 その黒い何かは【それ】の中へ入り込んできて、じゅくじゅくと蝕んでいった。


 美しいもの、尊いもの、清浄なものがどんどん黒く染まっていく。


 その感覚は時に痛みを伴い、例えようも無い不快感を【それ】へ与え続けた。


 ◆◇◆


 SIDE:ヴィリ・ヴォラント

挿絵(By みてみん)

「ねぇー。あたしは別にコイツが起きればどうでもいいんだけど、あんた達本当にちゃんとやってるの? なんかぁー、適当に封印解こうとしてない? だって変な色してるじゃん。いや、みれば分かるでしょ、それでも信者かよ。中身だよなーかーみ! というか、無理矢理封印といたら大抵のモンはしょっぱくなるよ。それじゃあ興ざめなんだけどなぁ。……はあ? 味じゃねえよカス! 弱くなるって事だよ。当たり前だろ。お前等だって寝てる時に腹にナイフぶっさされたら起きた時しんどくない? 起こすなら起こすでスッキリ爽快! ッて感じで起こしてやれよ、それでも人間なの? ……え? 死ぬ? しなねーよ! 人間舐めんなボケ! 人間はねー、しめーかん……使命感? と勇気さえあれば頭吹き飛ばされたって生きていられるんだよ! ……あ! 使命感ゲームしよっか! お前等、コレを復活させる為に頑張ってるんだろ? だったら使命感で溢れてるはずだよな? なら頭ぶっ飛ばされたって死なねぇよな? よーし! まずはお前からね!」


(悲鳴)

(笑い声) 

(絶叫)

(笑い声) 

(断末魔)

(笑い声) 


「……ん~?? ドクンドクン言ってるねェ~……もう少しかな?」

ヴィリの画像を差し替え、加増しています。ヴィリちゃんは怒ると目が赤くなります。

①初見にっこり笑顔ヴィリ

挿絵(By みてみん)


②もう200年くらい経ってるンですけど!

挿絵(By みてみん)


③使命感ゲームな!!

挿絵(By みてみん)


いいねやブクマ、評価ポイントなどありがとうございます(´・ω・`)ぺこぺこ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他に書いてるものをいくつか


戦場の空に描かれた死の円に、青年は過日の思い出を見る。その瞬間、青年の心に火が点った
相死の円、相愛の環(短編恋愛)

過労死寸前の青年はなぜか死なない。ナニカに護られているからだ…
しんどい君(短編ホラー)

夜更かし癖が治らない少年は母親からこんな話を聞いた。それ以来奇妙な夢を見る
おおめだま(短編ホラー)

街灯が少ない田舎町に引っ越してきた少女。夜道で色々なモノに出遭う
おくらいさん(短編ホラー)

彼は彼女を護ると約束した
約束(短編ホラー)

ニコニコ静画・コミックウォーカーなどでコミカライズ連載中。無料なのでぜひ。ダークファンタジー風味のハイファン。術師の青年が大陸を旅する
イマドキのサバサバ冒険者

前世で過労死した青年のハートは完全にブレイクした。100円ライターの様に使い捨てられくたばるのはもうごめんだ。今世では必要とされ、惜しまれながら"死にたい"
Memento Mori~希死念慮冒険者の死に場所探し~

47歳となるおじさんはしょうもないおじさんだ。でもおじさんはしょうもなくないおじさんになりたかった。過日の過ちを認め、社会に再び居場所を作るべく努力する。
しょうもなおじさん、ダンジョンに行く

SF日常系。「君」はろくでなしのクソッタレだ。しかしなぜか憎めない。借金のカタに危険なサイバネ手術を受け、惑星調査で金を稼ぐ
★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)

ハイファン中編。完結済み。"酔いどれ騎士" サイラスは亡国の騎士だ。大切なモノは全て失った。護るべき国は無く、守るべき家族も亡い。そんな彼はある時、やはり自身と同じ様に全てを失った少女と出会う。
継ぐ人

ハイファン、ウィザードリィ風。ダンジョンに「君」の人生がある
ダンジョン仕草

ローファン、バトルホラー。鈴木よしおは霊能者である。怒りこそがよしおの除霊の根源である。そして彼が怒りを忘れる事は決してない。なぜなら彼の元妻は既に浮気相手の子供を出産しているからだ。しかも浮気相手は彼が信頼していた元上司であった。よしおは怒り続ける。「――憎い、憎い、憎い。愛していた元妻が、信頼していた元上司が。そしてなによりも愛と信頼を不変のものだと盲目に信じ込んで、それらを磨き上げる事を怠った自分自身が」
鈴木よしお地獄道



まだまだ沢山書いてますので作者ページからぜひよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ