サイコパス野郎
間が空いたので誰がどんな奴だか忘れてしまった人も多いとおもいます。前書きに簡単にまとめました。
ついでに、イマドキのサバサバ冒険者コミカライズ連載中です。ニコニコ静画やコミックウォーカーをご確認ください。また、コミカライズの次回更新は12/19となっております
勇者一行合計12名。
ヨハン:男。20代後半。連盟という小規模な魔術同好会に所属する魔術師。冒険者として西域を旅し、色々なトラブルに巻き込まれつつも恋人が出来、旅中に婚約した。旅中に色々と精神に取り込んでしまったせいか、性格は比較的丸くなっている。一通りの魔術の知識はあるが、好みは陰湿な魔術。冒険者としての等級は銀等級上位。
ヨルシカ:女。20代半ば。都市国家アシャラ出身の剣士。現王の庶子。武闘派気質でソロ冒険者をしている。旅の最中、傭兵都市ヴァラクでヨハンと出会い、共闘。その後、アシャラを訪れたヨハンと再開し、再び共闘。恋仲となったのはこの時で、以降は二人旅を続けている。戦闘者としてはマルチプルプレイヤーで、中域から流れてきた"気"の操作をはじめ、拳闘の類も佳くこなす。冒険者としての等級は銀等級上位。
カッスル・シナート:男。30代半ば。帝都の金等級冒険者。迷宮探索を専門とする。真っ当な性格。犯罪歴もない。"うねりの魔剣" という剣身が螺旋状にうねった剣を迷宮から発掘し、以後はこれを愛剣としている。
ラグランジュ:女。20代後半。レグナム西域帝国出身の近衛副隊長。帝国魔導と呼ばれる新機軸の術式をひっさげて魔王討伐に志願。ミサンドリスト。
ケロッパ:男。年齢不詳の小人族の老人。魔導協会の一等術師で "地賢" の異名を持つ。好奇心旺盛な性格で、人懐っこい。重力操作系統の魔術を使うが、これは厳密に言えば既存の魔術ではなく、ケロッパ独自の新体系の "理術" とよばれる法(『空の墓場』参照)。老人とはいうが、少年の面影をそのまま老化させたようでちょっと不気味。
ゴッラ:男。南域出身。年齢不詳。赤角と呼ばれる大鬼と人の女との間に産まれたハーフ(『転移門』参照)。レグナム西域帝国に闘都ガルヴァドスという都市があるが、そこの闘技場チャンピオン。彼にとっては皇帝サチコなどという者は知らないが、ゴッラにまともな生活を与えてくれた貴族たちには報いたいと思っており、魔王討伐の任に志願した。
ここまでが西域のメンバー。基本的には『イマドキのサバサバ冒険者』の登場人物が中心。
以下は東域のメンバー。基本的には別作『Memento Mori~希死念慮冒険者の死に場所探し~』の登場人物が中心。
クロウ:男。20代前半。東域、アリクス王国の金等級冒険者。別作『Memento Mori~希死念慮冒険者の死に場所探し~』の主人公。実の所は転生憑依者。前世はよくある過労死リーマン。酷い労働環境で情緒を破壊されて、肉体はリフレッシュできたものの、精神はそのまま持ちこしてしまった。承認欲求が人並以上にあるものの、100円ライター扱いのようにコキ使われて死んだため、かなり性格が拗れた。強い希死念慮があるが、死ぬ際には多くの人から承認され、認知されて死にたいと思っている。ただし、死に瀕すれば瀕するほど火事場の馬鹿力理論で魔力が捻出されて強くなってしまうため中々死ねない。冒険者稼業の最中に魔剣 "コーリング" と出会い、以来武器はそれ一本。
魔剣 "コーリング" :意思を持つ魔剣 。主を護りたいという想いと、魔剣としての災厄招来の権能のため、危機を招き入れてはその危機からクロウを護ろうと力を貸す。能力とは、コーリングで殺害した相手の魔力を簒奪し、自身の中で再構築し、クロウの手先として働かせること。情緒不安定。
ザザ:男。30代。東域、アリクス王国の金等級冒険者。剣の達人。常に金がない。風俗が好き。しかしいれこんだ風俗嬢が実はハグレ魔族だったため、女の人権を勝ち取って、ついでに大金も得るために魔王討伐の任につく。『ZAZA記』の主人公。
ランサック:男。30代。東域、アリクス王国の金等級冒険者。元中央教会所属、異神討滅官。王都冒険者ギルドのギルドマスター、ルイゼに惚れこんで奴隷となっている。ザザの腐れ縁の知人。
カプラ:女。20代。東域、アリクス王国のとある女公爵の手下である上級斥候。スラム出身。当時スラムで知り合った少年に今でも想いをよせているが、その少年は長じて犯罪者となり、最終的にはクロウによって殺害されている(Memento Mori~希死念慮冒険者の死に場所探し~『メンヘラと外道術師参照』)。カプラはそのことをまだ知らない。
ファビオラ:アリクス王国の貴族、フラガラッハ公爵家の令嬢。フラガラッハ公爵家は "勇者" の種を孕む家命がある。この場合の勇者とは正統勇者ではなくて、勇敢なる者という意味。また、魔王討伐の際の露払いとなる役目もある。旅の最中、クロウにアタックをかけようと画策中。『アリクス王国・婚約破棄』という作品に出てくるファラ・トゥルーナ・フラガラッハ公爵令嬢の血を引いている。
タイラン:肉体的には男。中域出身。年齢不詳。禿げてる。体毛がない。大きい。引き締まっている。体は男性、心は女性。中域はLBGTへの理解が皆無で、タイランのような者はぶち殺してしまえというような政策をとっている為に逃げてきた。中域はディストピア社会で、しばしば民が逃げ出す。そのメイン逃亡ルートにアシャラがあり、その為にアシャラでは "気" をつかった闘術を使える者がいる。もっとも数自体は余り居ないが。協調性が高い。
【これまでのあらすじ】
勇者一行は果ての大陸へと転移し、数多の難所を乗り越えて魔王城へ辿り着いた。
魔王城はまるで生き物の体内の様に不気味で、生々しい。
道中、肉の通路という不気味な場所でやや足踏みをするものの、一行は前へと進む。
やがて一行の眼前に鉄格子の様な意匠の扉があらわれた。
扉越しに放射されている鬼気はただ事ではない。
あの奥には恐るべき強敵がいるのだ、一行はそう感得し、扉を開く。
果たしてそこにいたのは、かつて勇者クロウ、異神討滅官ランサック、アリクス王国冒険者ギルド所属 "百剣" のザザ らと戦い、そして斃すに至らなかった魔族──オルセンであった。
かつてとは様子が異なるオルセンと一行がぶつかり合う。
連盟術師ヨハンの初撃、負の感情を増大させて敵手を自死させる呪いは、オルセンの魔王護持の精神によって防がれた。
そしてオルセンはクロウに痛烈な一撃を加える。
クロウはその一撃で重傷を負うが、より死に近づく事でスイッチが入り、精神の均衡を失いつつも同時に反撃(クロウの精神は常に精神の均衡を失っているため問題なし)。
クロウは吹き飛び、そして宙にはオルセンの腕が舞った。
◆
──受けたと同時に斬っていたか
オルセンの腕が地に落ちるまでの僅かな時間。
その場の時は凍り付いていた。
誰もが腕を注視し、集中力が僅かに緩む間隙……
ザザが身を低くして、まるで肉食獣の様にオルセンへ肉薄していた。
オルセンが腕を喪い、バランスを崩した所へ剣を横薙ぎに叩きつける。
狙いは腹部。
──重剣・石衝
インパクトの瞬間に全身の肉を引き締めることで、剣撃に体重をそのまま乗せることが出来る。しかしインパクトの瞬間といっても刹那にも満たない僅かな時間であるため、これが出来る剣士はそう多くない。
"百剣" のザザはその数少ない一人であった。
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オルセンは首元から頬にかけて、殺気の火がちりちりと自身を炙っている事を感得した。目を遣ればそこには銀光。
瞬間的に腹部に魔力を集中させ、斬撃を弾く。
ザザの業を以てしても肉を裂くには至らない。
だがそれでよいのだ、とザザは考えている。
元より切り裂くのが難儀を極める事は理解していた。
それだけオルセンから感じる魔力の総量は大きく、身体能力向上の度合も異常なものがあるだろう。
だから復帰をわずかにでも遅らせるため、そして次撃に繋がるための "崩し" をザザが担ったのだ。
オルセンはザザの斬撃を腹で受け、無傷のままに防いだ。
しかし衝撃までは打ち消せない。
重剣・石衝による重い一撃はオルセンの足元を僅かによろめかせ、そこへランサックが先端に黒雷を纏った槍を一息に、一切のブレなく3度突く。
狙いは腹部、ザザが狙った箇所と同じだ。
これは流石に先端が僅かにオルセンの肉に食い込んだ。
ただし、ダメージとまでは言えない。
しかし、ランサックもまたこれでいいのだと考えていた。
二者が同一の箇所を狙った事で、崩しはより大きく作用する。
オルセンは先程より大きく足をよろめかせ、完全にバランスを崩していた。
◆
それを見ていたヨハンは "流石にやる" と胸中独語した。
のんびり観戦しているのはヨハンだけではなくて他の者達も同様である。今オルセンに向かい合っているのはクロウとザザ、ランサックの三者のみだ。
タイランなどは "ちょっとクロウちゃん大丈夫なの!?" と騒いでいるし、ゴッラはおろおろしている。ケロッパはふわふわと浮きながらどこかのタイミングで介入しようと機会を窺っている様だ。カッスルとカプラは周囲に気を配っており、ファビオラは飛び出そうとしてラグランジュに止められている。
「あの魔族はどうにも厄介そうだ。俺も破壊力を重視した術を使えばいいのかもしれないが、この場所はやや狭い。同時に戦うにせよ3、4人が限度だろうな。それ以上だと同士討ちになりかねない」
ヨハンはそう言い、周囲を見渡した。ヨハンのそぶりに、なんとなく視線が集まる。
「この城にいるだけで俺たちは気が滅入っている。精神を搔き乱されている。そんな状態で付け焼刃の協調が使い物になるかどうか疑問だ。互いが互いの力を削ぐことになりかねない。強引にでも介入するなら、あの三人が明確に押されてからが良いだろう」
他の者達もヨハンの考えには同感といった風な様子であった。ファビオラは不満そうだったが。
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ザザとランサックの動きは洗練されていた。
近接戦闘者としては上澄みだろうとヨハンは思う。ヨルシカと比べてもザザの動きの方が切れ味は鋭い。
──ヴィリなんぞより余程優れた剣士だな
とはいえこれは辛口に過ぎる評価ではある。連盟術師ヴィリは己が抱く英雄像を自身に投射し、彼女が知る英雄と呼ばれる者達の得物を一時的に創り出す剣士だが、その本質は剣士ではなく魔術師だ。本職と比べられてはヴィリも立つ瀬がない。
「崩しの後は勇者君か」
傍らのヨルシカが無感情に言った。
ヨルシカはクロウの情緒不安定さを警戒しており、彼に余り好意的ではない。
情緒不安定な者に注意を払うというのは極々当然の事ではあるが、言葉が妙にささくれだったり、棘があったりする。
とはいえ、ヨハンはそれを咎めはしなかった。クロウの精神の形が奇妙なのはヨハンもよく知っているからだ。ヨハンはクロウの精神世界を覗いた時(『果ての大陸へ』参照)、クロウの裡に潜む何かによって、"出ていけ" とばかりに叩き出された事を思い出した。
しかしヨルシカとは違って、ヨハンはクロウに対して隔意はない。
──連盟にはもっとイカれている奴が山ほどいるからな
そんな事を思いながらヨハンは頷く。
「ああ。勢いを重視しているのかな?あんな低い体勢…まるで四足獣の様だが。随分溜めている…。む、速い」
ヨハンの言葉通り、クロウはザザの仕掛けからランサックの追撃の間の僅かな時間を使って "溜めて" いた。
そして、オルセンが大きく揺らいだ瞬間に、まるで弾丸の様に飛び出して強襲した。
型もへったくれもあったものじゃない、単純な突撃だ。
◆
オルセンの青い巨体に向かって疾走するクロウは、その1秒にも満たない時間を何十秒何百秒にも感じていた。
これは精神と肉体の活性度に差がありすぎた場合によく見られる現象だ。
例えるならば、短く他愛もない夢を見たと思ったら何時間も眠っていたというようなモノである。クロウの肉体が酷く傷み、死に近づいているというのもある。相互の作用でクロウは瞬間を永遠とする一時限りの魔法を手に入れていた。
そんな引き延ばされた時間の中でクロウは思うのだ。
──はやく帰りたいな
と。
どこへ帰りたいのかは実の所クロウ自身にもよくわかっていない。
アリクス王国かといえば否だし、前世のあのマンションかと言えばそれも否であった。
では場所ではなく人だろうか。
誰かの元へ帰りたいのか…といえば、これもまた否だ。
確かにクロウはいまや多くの友人がいるのだが、彼らの元へ帰りたいのかと言われると首をかしげざるを得ない。
──しんどくない場所
クロウは漠然とそんな事を思う。
世の中はとかくしんどいことが多すぎるようにクロウには思えた。
危険な魔物が跋扈するこの世界は勿論、前世の世界もだ。
争わず、憎み合わず、人はただ個人でもって世界を完結させ、他者が存在するにせよそれは無害で互いに干渉しあわず。そんな静かで完璧な世界がどこかにあるはず…という思いがクロウの中にある。
これは孤立主義と言えるかもしれない。
そして、クロウの思う "静かで完璧な世界" とは、すなわち死である。
彼の希死念慮の根源とはまさにそこであった。
だが、それならそれでとっとと自殺でもしてしまえばいいのかもしれないが、そうはいかないのが人間だ。人間は色々と面倒くさい。
前世で芽生えた承認欲求が邪魔をして、安易な死を佳しとしない思いが生えてくる。
認められたいのだ、多くの人々に。
クロウ様ありがとうと言われ、皆に覚えておいてもらいたい。
その満足感を胸に "静かな世界" へ旅立ちたい。
──俺は…僕は、頭がおかしいのかな
そんな事を思っていると不意に心が凪いで来る。
荒れ狂っていた精神の荒海が、途端に凪いだそれへと変じた。
自分で自分に呆れた時、人の精神はこのようなアゲサゲをする事がある。
動から静へ、挙動の面でも精神の面でも100から0へ急転したクロウだが、その激変に対応できなかったのがオルセンであった。
◆
とある小部族の長であるオルセンは魔王に未来を懸けていた。
一族の未来、己の未来。
魔族の領土、果ての大陸の環境ときたら酷いものだった。
魔族たちですら対処できない強大な魔獣が跋扈し、狂ったような自然環境が各所で広がっている。しかもそれは年々規模を拡大していくのだ。
──この地そのものが呪われてイル…星の魔のせいよ、だが我は勿論の事、魔王様ですらあの魔を取り除く事はできヌ…
魔王を除けば魔族最強、上魔将マギウスがその様に言った時、オルセンは僅かな失望を覚えた。
しかし
──陛下が大陸への侵攻を決断しました。恐らくは我々にとって、最後の攻勢となるでしょう。
上魔将"蛇の魔女"サキュラがそう告げた。
上魔将とは魔族の中でも力のある部族の長達である。
マギウス
デイラミ
シャダウォック
そしてサキュラ
彼らの言葉は魔王の言葉に次ぐものとおもっていい。
──ですが、何名かの魔将は残します。陛下は全てむかわせろと仰いましたが、陛下を狙う者もいる。オルセン、そして…
魔王の言葉は確かに重いのだが、上魔将は時にそれを破る事もある。
というのも魔王とは彼らの支配者ではなく、導き手であるからだ。
魔族で最も強大だから魔王の名を冠しているだけで、魔王自身は特別な存在でもなんでもない。厳密にいえば、魔族にとって魔王の命令は尊重すべきものではあるが、従わねばならない義務はないのだ。
結局、オルセンをはじめ何人かの魔将が魔王城の護りにつくことになった。
そして、"こうなった" 。
魔王と魔王城の抑制力に限界が来たのだ。そう、魔王城とは権力を象徴する城ではなく、地表から現れようとした星の魔の一部を大地に縛り付ける楔である。そして魔王は触媒だ。
楔は魔王の魔力を使い、極めて大規模な封印の術を常に起動しつづけているのだ。
それに限界が来たとなれば、変化は劇的だった。
"侵食" が速やかに行われ、護りに残った者達は皆変容してしまった。オルセンをはじめ、力ある魔将達も僅かな雑兵たちも。理性をなくした正真正銘の怪物となり果ててしまった。
魔王が全員を出せと言ったのは、これを危惧しての事だったのかもしれない。
しかしそれを口に出せば敢えて残ろうとする者もいるだろう。
ちなみに勇者は何かといえば、餌である。
これまでの人魔大戦で歴代勇者たちは最期まで魔王を斃し切ることができなかった。
それはなぜかといえば、勇者は魔王に決して勝てない様に出来ているからだ。
魔王は勇者を糧とし、封印のための魔力を回復させる。
しかし肝心の勇者は代を経るごとに劣化し、イム大陸の力ある存在を喰おうとしても邪魔をされ、もうどの様な小細工を弄しても封印を維持し続ける事は困難だとなった時、第四次人魔大戦の開戦が決定されたのである。
◆
クロウの静動の激変にオルセンはついていけなかった。
残った腕でカウンター気味に構えていた拳は雷を纏い、致命となるには十分な程の威力を有している。しかしそれも当たればの話である。
クロウは直線的な突撃から、ふわりと頬をなでるような緩やかな足取りでオルセンの前で立ち止まった。
クロウに敵意や害意はない。戦闘の場に似つかわしくないメランコリックな様子ですらある。
歴戦の戦闘者であるオルセンは、達人だからこそ "意" をアテにする。
殺意や敵意に敏に反応し、的確な反撃を返せるのだ。
かつて、3対1でクロウ達はオルセンを仕留めきれなかったが、それはオルセンが武に深い造詣があるからだった。
しかし今のクロウの様に意を消されてしまうと、そこに僅かなりとも間隙が生じてしまう。
要するに、戸惑ってしまう。
その僅かな隙とも言えぬ隙の内に、オルセンの首をクロウの "コーリング" が緩やかに薙いだ。
命を断つその瞬間でさえクロウはオルセンに殺意、敵意、害意を抱いていなかった。
彼が考えていたことはある意味で青年らしい悩みだ。
クロウは思いに耽る事で気付いてしまった己の中の "おかしさ" に疑問を抱いた。
『自分はもしかしたらちょっとおかしいんじゃないか?』と心を憂鬱色で染め上げていた。
戦闘の真っ最中にそんな風に悩むなんて異常以外の何ものでもないのだが、精神の高揚と痛打をうけて肉体が酷く傷み、死を強く意識したという状況が生み出したシンキングタイムが良くなかった。
メンヘラは考えれば考えるほど沼に嵌るのだ。
そして沼にはまったメンヘラは、周囲とのズレを更に加速してしまう。
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ぽん、と打ちあがったオルセンの首を、クロウは両手を広げて受け止めた。
ぼんやりと首をみているクロウだが、その表情は妙に哲学的だ。つまり、何か小難しい事を考えている顔ということである。
やがてクロウはオルセンの首をそっと床に置き、パンパンと手を合わせてから仲間達の方へ振り返って言った。
「なんていうか…人生は難しい。そう思います」
クロウの言葉を理解できたものは誰もいなかった。
ただ、ヨハンとケロッパはうんうんと頷いている。
クロウの事はさっぱりよくわからないが、人生が難しいというのは本当の事だからだ。
術師連中は非術師と比べて良くも悪くも割り切りの早いものが多い。
活動報告?近況ノート?だかなんだかに、各連載作品の今後の方向性、エタるかどうかなどをまとめてのせました




