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星々煌めく異世界で  作者: 二月ノ三日月
第四章【南国諸島編】
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第179話 空は暗く、しかし心は晴れやかに

 勝手に約束を取り付け、ヴェルゲイは少しずつ記憶を情報として解放する。

 もう自分に余裕が無かったから。

 次第に殺人欲求が膨れ上がり、唇を震わせて情報を発する姿を憐れに思った二人は、向けるべき矛先に想像を膨らませて、事情を聞く。


「かつて、一人の少女がいた。クレッタ、それが同じ孤児院で育ち、同じ船乗りとして、一緒に生活してきた、明るい子だった」


 お日様のような笑顔を浮かべ、いつも和やかに皆を包んでいたのが、クレッタという少女。

 目を閉じれば昨日のように思い浮かぶ。

 しかし、その少女の名前すら覚えていなかった。

 正確には記憶封じを受けて、その犯人と関わる記憶領域に鎖を巻かれ、喪失した部分を省いて現段階で記憶にある過去の思い出を滔々と語る。


「船乗りの連中の、殆どは、同じ孤児院で育った。グノーと俺は外から来た人間、だが……船長達は、潔く、受け入れて、くれたんだ」

「同じ孤児院って言ったわね。外から来たってのは?」

「俺達は……ウォーレッド大陸、から、迷い込んだのさ。港町出身でな、小さい頃に、間違えて船に乗った。そしてサンディオット諸島に、来たんだよ」


 僅か六歳で彼等はサンディオット諸島に来て、二人街を彷徨った。

 行く当ても、帰る場所も、彼等には無かった。

 そんな二人を見つけたのが、クレッタという孤児院の少女だった。


「クレッタは、諸島で捨てられた、そうだ。彼女や仲間と一緒に、育った俺達は……船長の厚意で、自警団に、誘われたんだ。船長も孤児、だったらしいし、孤児院の連中、は基本的に結束が、強いから、な」

「全員、誘われた?」

「強制じゃ、ない……入ったのは、十人、いなかったよ。けど、クレッタは、船乗りになった」


 少女クレッタは十五歳の『職業選別の儀式』を機に、自警団船乗りに入団した。

 島を愛するから、彼女は孤児でありながら、人々を守る船乗りとして自警団の仕事を請け負った。

 それから数年間は、仲間と一緒にサンディオット諸島という島を外敵から守り続け、島の問題も幾つも解決してきたのは記憶に新しい。

 しかし、とある事件が彼等の運命を変えた。


「約二年前、だ……島に、一つの事件が、発生した。密航者が、な、日輪島の孤児院に、目を付けたんだ」


 日輪島は本来、日夜喧騒に包まれている。

 観光客が大勢いて、ここに孤児を残していく者もかなりの数がいる。

 だから孤児院が存在している。

 その孤児院に目を付けた他国の人間が、人体実験のために孤児を攫っていく事件が発生し、それを解決するために船乗り達が事件究明に乗り出した。


「事件は、一ヶ月近く、掛かった。密航者を、捕らえた時だった……犯人の一人が、自害、したんだ」

「もしかして、その自害の方法って……」

「あぁ、大爆破、だったよ。体内に、魔石を埋め込まれ、てたんだ。真っ赤な、魔石をな」


 大爆発、それによって被害は甚大となった。

 その被害によって死傷者は多数、一人の少女もその爆発に巻き込まれた。


「その爆発で、クレッタは、死んだ。内臓の幾つか、が、吹っ飛んた……心臓、肺、肝臓、腎臓………四つ、も、無くなってた」

「ほ、ホントにその四つ?」

「そ、うだ……」


 有り得ない、そんな気がした。

 だが、その過去と現在は繋がっている、それが船乗りの中に裏切り者がいると暗示している。


「身体も、原型留めて、なかった……皆、泣いてた。俺、もだが、ユーグ、グノーも、沢山涙が出た」

「船長達は?」

「泣かなかった、よ。けど、それぞ、れ、がな……腹に、一物、背に……荷物抱えてる」


 大切な人が亡くなる悲しみを、全員が味わった。

 天寿を全うした場合は悲しみで済むが、それが理不尽な殺生であるなら、奪う者と奪われる者に区分され、次第に厭悪、惆悵、遺恨、宿怨、義憤、感情が解けて箍も外れ、暗く沈んだ情緒が黒い炎を生む。

 それが身を焼くとも知らずに、彼等は赤い涙を目尻から溢れさせ、その事件は船乗り達自警団を狂わせ、崩壊を招いた瞬間だった。


「子供も大勢、行方不明に、なった……そこから、船乗り達は少し、ずつ、歪み始めた」


 シャルへミスは密航船を絶対に捕らえようと躍起になっており、逆にギオハは親友の死によって抜け殻のように腑抜けとなった。

 バンレックスやウルグラセンは子供達の誘拐によって周りが見えなくなり、片方は事件の中核を覗いた挙げ句、殺人衝動から行方不明になった。

 フーシーやグノーは孤児院から殆ど離れなくなり、逆にユーグストンは誘拐事件の黒幕を捕まえるため、星夜島へと渡航を果たした。

 ヴェルゲイは、そんな変わってゆく船乗りの中で一人、諦観にも似た感情を有していた。


「クレッタは、皆に好かれて、た……ハァ………ハァ………そんな彼女が、死ねば、考え方も変わる」

「その犯人の動機『平等な世界の創造』、それが二年前の事件と繋がってるのね」

「多分、な……グッ…………平等な世界、か」


 その言葉を発したヴェルゲイの顔は、自嘲気味な笑みを浮かべていた。

 不平等だったから、クレッタは死んだ。

 孤児だったから、仲間が攫われた。

 血の繋がりが無いから、簡単に絆が途切れた。

 そこから生まれる情動が犯人の行動理念を歪曲させ、精神を病み、最後には他国の誘拐犯のように二年前と似た行動を取るようになってしまった。

 それが今回の事件。

 麻薬を飲ませ、操り、平等な世界へと変革を為そうとしている。

 それが犯人達の望む楽園の世界、それが過去と現在を繋ぐ因果であり、最初から運命という物語のページに綴られていた宿命、即ち因縁である。


「不思議な、もの、だな……平等、なんて、のは、幻想に過ぎない。ここは………地獄、そのもの、だ」


 息が浅くなっていく。

 殺人衝動の抵抗からの呼吸困難が、彼を苦しめる。


「続きを、話そう………事件は、半年前、だ」

「一月七日よね?」

「いや、もっと、前の……話だ」


 一月七日以前の話は、ここまでで初めて聞いた。

 いや、一月六日から雨が降っていた、という状況がヴェルゲイの天候師と関係があるとしたら、それは突飛な想像でしかない。

 想像ではなく妄想か、と心の中で突っ込みを入れ、続きに耳を傾ける。


「十三月……希月まれづきの、最終日、だ」


 この世界は一月から十三月まで存在し、その十三月の五日間は、一つの逸話に基づいて存在しているとされる。

 そして逸話は神話へと進化し、やがて和風名月の無かった年月に、『希月まれづき』という名が付けられた。

 戦争等によって死が最も身近にある時代で、本来は過酷な一年を生き抜いた誉れある月、『誉月ほまれづき』と初期に呼ばれてはいたが、いつしか人々は『』を忘れ、海から地上に移り住み、希望ある『まれ』の月、となった。

 忘却の五日間、忘れられし海の五日は、このサンディオット諸島が発祥とも呼ばれる所以だったりするが、その歴史を知る者は、まずいない。

 誉れを忘れ、希望へと繋がる五日間、その最終日に見た光景を、二人に伝える。


「その日、とある男が、この島に、来た……」

「とある男?」

「フードを被ってて、見えなかった、が……船乗りの誰か、と会って、た」


 途切れ途切れに言葉を紡ぐヴェルゲイは、その日を脳裏に描いて、二人に言葉を残す。


「誰かは、分からん……が、人気の無い場所、っで、何かを話し、てたのは、知ってる」

「声とかは聞いた?」

「微かに、だが、聞こえた………男だ……世界を、平等に、する………って、言ってた」


 その悪意が集い、結集した二人の力が、サンディオット全土に広まっている。


「犯人は、二人、いた……」

「二人? じゃあ犯人は日輪島に一人、星夜島に一人いるって事よね?」

「その、はずだ……催眠術、で、他者を操り、医療者も攫われた、はずだ」

「医療者?」

「エルフが、戦った屍人……抜き、取られた、内臓も……医療者が施し、た処置、で………ハァ……縫った、はず」

「けど、一人じゃ難しくない?」

「星夜島に………医療の、使節団、が、来て……る………何人、かは……攫、われたって、ユーグ、から……連絡、貰って、るよ」

「ソイツ等、いつから来てるの?」

「半年前、から………麻薬中毒、を治すために……大勢、ギルドから、派遣されて、きた」


 半年前からギルド本部が関与しているが、ギルド本部に所属する医療従事者達は一ヶ月毎に入れ替わり、毎月何人も攫われている。

 だが、それに対してSランク冒険者に依頼を出し、請け負ったのが『青薔薇』達だった。

 それだけサンディオット諸島での事件が危険である、という情報が出回っているためでもあり、諸島に行くメリットが少ないからだ。

 それなら、星都で稼いだ方が何倍も得である。

 冒険者は利益と行動が釣り合って初めて行動するため、今回は特殊すぎると、誰もが認めている。


「だが、無駄だ……悪意は、止まらない」


 この島の人間を根絶やしにしなければ、犯人の気が済まないのかもしれない。

 その悪意の一端に触れ、ヴェルゲイはいずれ失踪する。

 殺人衝動に苛まれ、精神が殺人の快楽に唆され、支配されて、最後には自我をも失う。


「俺が、思い出した、のは……潜水艇に、ついて、と……クレッタについて………それから、もう一つ、ある」

「もう一つ?」

「………犯人の、計画、だ」


 ヴェルゲイこそが情報の宝庫、バーバラの情報よりも事件の核心に近いもので、何故犯人の計画を知っているのかは横に置き、先に計画とやらを聞く。


「奴等は……平等な世界、の……王、になる、つもりだ」

「王ってのは?」

「文字通り、だ。希月の、最終日………俺は、コンテナで作業、してた。点検も、うちの仕事、だからな」


 その日、新年に向けての最終チェック、点検や整理に奔走していた時、偶然にも二人の人物が会話している場面に遭遇してしまった。

 ほぼ直感に近かった。

 それは、偶然でしかなかった。

 だが、もしかすると必然だったのかもしれない、彼は即座にコンテナの裏に隠れて、風読みの力によって声を拾っていた。

 二人がしていた会話の殆どは聞こえなかったが、事件の計画、その最終段階を耳にした。


「鍵に、なる、のは……暦の、祭壇だ」

「暦の祭壇? まさか儀式でもするつもり?」

「儀式、か…………そう、か、もな」


 だんだんと意識が闇に飲み込まれそうで、呼吸も荒く浅くなって、言葉の途切れも増え続ける。


「い、意識が………クソがッ!!」


 まだ負けてはならない、その瞬間自身へと天候師の能力を浴びせる。

 掌に現れた電撃を身体に向けて放った。

 体内に流れ込んでくる痺れと激痛から、一時的に殺人衝動が抑制されるが、その代わりに手足も痺れのせいで動かせなくなる。


「グッ!!」

「アンタ、もうキツいんじゃない?」

「……ま…だ………」


 今も脳裏では、セルヴィーネ達を殺せ、という命令が下されているが、それを理性が抑止しているから未だ殺人衝動には負けていない。

 ただ、それも時間の問題だった。

 次第に手が腰の短剣に伸びているのも無自覚に、ヴェルゲイは力を振り絞った。


「殺人衝動は……事件に、ついて話す、と、膨らんでく、んだよ。に、日誌に、全部書いてある、はずだ」

「日誌って言うと、フェスティの持ってるウルグラセンの日誌よね?」

「そう、だ………」

「アイツは何を知ったの?」

「空白の二ヶ月、で、犯人を……突き止、めた。だから、こそ……奴等は、コンテナを、爆破し………」


 ならば家は?

 何故ウルグラセンの家までもを爆破しなければならなかったのか。

 それに対するヴェルゲイの答えは、知らない、だった。

 最早抑制できるだけの理性が残されておらず、意識が闇に呑まれた。

 直後、一番近くにいたセルヴィーネへと刃が届き得るが、その短剣の攻撃を軽々と避けて、後ろへ下がる。


「ゥゥゥゥゥゥゥ………」


 とうとう、残されていた理性が爆発した。

 意識も無いようで、口からは涎が垂れている。

 両手は力が入っておらず、地面に向けて伸びている。

 そんな彼の様子はまさに異常、獣のような体勢で狭い部屋の中を縦横無尽に跳躍する。


「ガァァァァァァ!!!」

「うわっ!? ちょっとヴェルゲイ! アンタ殺人衝動に支配されてんじゃないわよ!!」

「セラたん、無茶」

「だって情報の山が――鬱陶しい!!」


 飛び回る殺人鬼の鳩尾へ渾身の回し蹴りをお見舞いし、中央に設置されている光の魔導具へとぶつけ、壊れた船乗りを気絶させた。

 龍神族の力は人間の何倍もの力を持っている。

 だから、普通なら鳩尾一発で倒れるはずだった。

 それでも彼は気絶から復活して、縦横斜めに移動し続けて攪乱するが、龍神族は元々の運動神経が抜群で、反射神経や動体視力、気配察知等に優れている。

 だからこそ、回避できる。

 人族と龍神族、二つの種族には決定的に違う部分が存在する。

 それがスペック、基礎能力の差。

 戦闘種族として生まれた龍神族に比べ、ただの人間の能力は脳のリミッターを外したとしても、龍神族の本気に対応できるかどうか。

 また、セルヴィーネは戦闘特化の魔法付与師であり、思考速度を上昇させる魔法も会得しているから、完全に動きを捉えていた。


「頑丈ね」

「リミッター、外れてる」


 反撃を喰らわせても、気絶しない。

 それどころか、電撃を纏ってスピードを底上げし、炎を拳に纏わせて火力も上げている。

 殺人衝動によって脳のリミッターが外れ、百(パーセント)の力を出している。


「まるでレイのような動きね……アイツの方が圧倒的に速いけど!! んぅぅ!!」

「ガッ――」


 身体強化したセルヴィーネの一撃が、線上を超速で移動していたヴェルゲイの顔面にクリーンヒット、身体を曲げて殴り落とされた。

 壁に激突し、その壁が壊れて外へと放り出される。

 宙をクルクルと回転した彼は、風を足場に瞬発的な動作で龍神族目掛けてダイブする。


「『多重付与(マルチ・エンチャント)・ブースト』」


 迫る特攻を真横に躱して、下から腹へと魔力込みのアッパーを喰らわせる。

 腕への強化付与は合計五枚、魔法陣を重ね掛けして威力を底上げし、ヴェルゲイを上空へと飛ばし、更には灯台の天井をも打ち破った。

 破壊に次ぐ破壊で、魔導具も、部屋の壁や天井も、見るも無惨な姿と成り果てていた。

 が、気にしている暇は無い。

 上空から天の力を借りて雷を呼び寄せるヴェルゲイ、龍神族を倒せないと判断したのか、その隣にいた闇エルフへと狙いを定めて雷撃を墜落させる。


「ん、不愉快」


 刹那の間に鍵を手にしていた少女は、頭上の空間に鍵を差し込んで対処する。


「『絶対たる空壁(ホバーエイクー)』」

「グァ!?」


 鍵を回した途端、雷が何かに動きを阻まれて、電撃も消滅した。

 落ちる身体も、その不可視の壁に当たる。

 現在の状態を表すなら、地面に額を押し付けた状態、が分かりやすい例えだろうか。

 そこにあるのは空気を固めた力場、強固な壁。

 それを即座に彼の周囲へと六面展開し、ヴェルゲイを空気の檻に捕獲した。


「ん、捕獲、完了」


 しかし根本的な解決には至っていない。

 外に放ったら、誰かを殺すかもしれない。

 逆に空気檻に閉じ込めていたとしたら、三日後には水不足で死ぬ。

 その前に殺人衝動が自分を殺してしまう。

 八方塞がりではあるが、問題を先延ばしにする。

 天井から大量の雨が入ってきて、空気檻を避けて二人に降り注いで、服が僅かに透ける。


「流石ね、アンタ」

「セラたんより、役、立つ」

「うっ……反論できないわね」


 闇エルフは職業三つ持ち、対して自分は一つの職業に一つの権能のみ。

 力の均衡が取れていないと思ってしまう。


「ん、適材適所……姉さんも、そう、言ってた」

「適材適所、か。まぁ、フェスティが言いそうな言葉ね。その通りかもね」


 戦い専門の種族だから、これは仕方ない。

 四つの権能の解放を急ぎたいが、切っ掛けが無いので、まだ解放できないでいる。

 いつになれば四つの権能が戻ってくるのか。

 それを考えながら、セルヴィーネはヴェルゲイをどうするか対策を練る。


「取り敢えず、バンレックスのいる潜水艇の倉庫に行ってみようかしら」

「ん、それが、一番」


 この事態を全員に共有しておかねばならないから、この場所も直さなければならない。


「『逆らう時辰儀(リバースピース)』」


 別の鍵を用いて、その場の空間全てを元通りに修復する様を見て、鍵技神の底知れない力を目の当たりにする。

 時間回帰すらも可能とする鍵の能力、次元が違いすぎるからこそ、どうやって強大な力を手に入れたのか、やはり気になる。


「取り敢えず、直した」

「ありがと……」

「『精神剥奪アストラルシアー』」

「それさっきの――」

「情報吸収、完了」

「早っ!? アンタ、そんな便利な力あるんなら、どうして最初に使わなかったのよ?」

「かなり、疲労、するから」


 情報を精神そのものから引き出して、彼女の一部として蓄えられた。

 貯蓄された情報を精査する中で、不可解な記憶が彼の中にあった。


「ん、不可解、発見」

「どうしたのよ?」

「この人、催眠術、掛かってる」

「そりゃ、殺人衝動なんてもんを植え付けられてるんだし、それも催眠術なんでしょ? 何でそんなに力を持ってるかは知らないけど……」

「違う、別の、催眠術」


 フィオレニーデは、精神と記憶は同じ情報体でしかないという結論を持っているため、精神から記憶を引き出せ、その情報体に不具合を発見した。

 その不具合から、二種類の職業の干渉痕跡を得た。


「二種類?」

「催眠術師、と、もう一つ、の、職業」


 現時点で今回の犯人の職業を知っているのは、二人の犯人とフィオレニーデの三人のみ、彼女は二人の犯人の面影を知覚した。

 二つの悪意が朧げに、彼女に虚像を現す。

 催眠術は他人に転移しない、だから彼女には影響しないものだが、その情報は彼女を一つの解答に導く。


(催眠術、凄い、力………欲しい(・・・)


 人間を少しずつ歪めていく力、それが催眠術による誘惑なのか、それとも彼女の自然に導かれた考えか。


「もう一つの職業って?」

「ん、姉さんの、考え通り、だった」


 懸念していた事態が現実となり、彼女達は岐路ではなく、すでに危路に立たされていた。

 知りたくなかった事柄を、彼女は伝えるか迷う。

 伝えたところで、龍女に対策を講じるだけの実力も能力も持ち合わせておらず、その職業を持っている時点で会話の真偽判定は意味を成さない。

 権能すら反応しないのだから、会話から求めるのは難しかった。


「姉さんに、伝えなきゃ……」


 眠っている姉の元へと向かおうと決める彼女の後ろ襟を引っ張り、首を絞められる。


「何処行くのよ?」

「姉さんの、とこ」

「先にバンレックスのいる倉庫に向かってよね。ヴェルゲイについても伝えといた方が良いでしょ?」

「ん、仕方ない」


 転移鍵で初めて行く場所へと繋げる。

 バンレックスの潜水艇の場所がハッキリと情報記載されているから、空間移動するための転移ゲートを簡単に繋げられた。

 セルヴィーネが先に門を潜って、空間を移動した。

 続いて本人も移動しようと一歩踏み出したところで、彼女はヴェルゲイの存在を思い出す。

 その場に残しておく選択肢よりも、再び基地へと送り届けるべきかと思案し、鍵をもう一本取り出した。


「『万能なる鍵杖(マスター・キー)固定ホールド』」


 現在気絶した状態で、浮いた空気の檻の中にいる。

 空壁を擦り抜けて彼の額に突き刺した大きな鍵を百八十度回転させ、その気絶状態を固定したため、しばらくは気絶したままとなり、殺人衝動を食い止められる算段。

 その彼を背負い、フィオレニーデも転移門を通る。

 そして潜水艇の修理に携わるバンレックスへと、話し合いを持ち掛けた。





 それから数時間が経過し、領主館で眠る少女は悪夢から目を覚ます。

 何故かノアの夢と繋がってしまったフェスティーニ、彼女はその光景を四回も見せられて慣れてしまい、延々と映し出されるノアが死に行く様を眺め続け、終わる頃には恐怖や焦燥等の感情は抜け落ちていた。

 今日は身体に無数の穴が空いて死ぬ悪夢。

 何故抵抗しないのか、彼女には理解できなかった。

 夢であると彼も認識している様子だった。

 逃げようと思えば逃げられたはず、しかし無抵抗、更に殺されても死ねず、再生した身体にまた杭が打ち込まれて死と生を延々と繰り返す。

 それは彼が現実世界に戻るまでの数時間、地獄が永遠に循環していると錯覚する程だ。

 最後には自害し、自分も犯人らしき人物と会話して、意識が現実へと浮上したが、その記憶さえも朦朧として霞掛かっていて、最後の方は思い出せない。


(今日も酷い夢だった……)


 嗚咽感すら失われ、悪夢を見た初日のように吐瀉物も込み上げてこない。

 気持ち悪い、と感じる気配さえ無くなっていた。

 毎日夢で殺される。

 まるで何かが憑依してるのではないか、と思うくらいの悪夢の連続に、彼女は溜め息を吐いて深呼吸を数回行い、気持ちを整える。


(今日一日でできる事はしときたいけど……眠い)


 明日明後日で決着となるから、その予感がするから、彼女は眠気を携えてベッドから出ようとした。

 しかし身体が思うように動かず、転げ落ちる。


「あでっ!?」


 途端に襲い来る倦怠感、眩暈、睡魔、徹夜作業はエルフの身体でも堪えるもので、もう少し休んでも良いだろうと甘い誘いに乗って、ベッドに戻る。

 眠気がまだ取れていない。

 しかし、眠っても悪夢を見る。

 起きている時は常時動いている。

 これが続けば身体を壊す原因になるのと、これから犯人達を捕縛するのに本調子でない場合、万が一にも逃してしまうかもしれないため、休みを選択する。


(もう一度寝よ)


 毛布を被り、夢の国へといざ行かん。

 と、目を伏せて静かに眠りへと誘われる……とはならなかった。


「姉さん?」


 音も立てずに、彼女の側にダークエルフの少女が佇んでいた。

 殺気も無く、生体反応すら消して忍び寄る。

 眠たげな眼を擦り、欠伸も少々、まるで妹のような半眼の表情をしたフェスティーニは、側に立つ褐色少女をボンヤリと見ていた。


「むにゃ……あれ〜、フィオちゃん、どうしたの〜?」

「ん、お昼ご飯、呼びに来た」


 食欲は皆無に近く、しかし朝食を作ったニーベル達メイドには申し訳が立たず寝台から這い出ようとしたが、身体を動かすのも億劫となって、結局頭を少し浮かせただけで終わった。

 眠気が最高潮に達していた。

 睡魔が彼女を誘惑する。

 目を開いたり閉じたりしている姉を見て、妹は彼女の様子に即気付いた。


「……疲れてる?」

「そうだね〜、ちょっと寝不足かな〜」

「姉さんの、職業で、回復」

「まぁできるけど、今日くらいボクとしても普通にお休みしたいかな〜」


 逼迫した状況には違いないが、慌てても事態は進行しないからこそベッドで休み、体力回復に勤しんでいるのだ、と力説する。

 が、妹は可愛らしく首を傾げるだけ。

 理解してもらえなかったようだ。

 と、休みたいという愚痴を力説し終えたところで、先程のフィオレニーデの発言を思い出す。


「ねぇ、フィオちゃん」

「ん、何?」

「ボクを呼びに来たのって朝ご飯、だよね?」

「違う、お昼ご飯」


 しっかりと耳にした言葉は朝餉ではなく、昼餉だった。

 お昼ご飯と言った少女の発言に、フェスティーニは時間を確認しようとベッドから這い出ようとし、シーツに足を絡めて再び地面に額を打った。


「ぎゃっ!?」

「……痛そう」


 ズキズキと額に痛みが生じ、涙目となりながらも眠気は綺麗さっぱり消えてしまった。


「大丈夫?」

「う、うん平気だよ。ボク、何時間寝てたか分かる?」

「ん、きっかり、十二時間」


 寝始めた時間が深夜十二時前、そして起きた時間と経過した時間から逆算して、彼女の言葉が正しい証明になったが、まさか現在午後十二時直前とは驚きだ。

 十二時間も睡眠取りすぎだと自身を叱責し、寝間着から普段着へと着替える。


「朝食を作ってくれてただろうし、ニーベルさんには申し訳ない事しちゃったかな? まぁ、疲れてたし仕方ないんだけどね」

「ん、働きすぎ」

「アハハ……でも、そうしなきゃ日輪島の事件を解決できないし、仕方ないかな〜」


 笑ってはいるが、精神疲労は彼女自身でも想像以上に消耗しているため、本来ならば身体を動かしたくない。

 職業に頼った回復方法もあるが、リスクもある。

 そのため、普段は使わないようにしている。

 素直に眠りたい彼女だが、まだやるべき作業が手元に残されているため、まずは昼食のために食堂へ。


「フィオちゃんは朝ご飯しっかり食べた?」

「食べた」

「なら良かった。因みに聞いときたいんだけど……朝食の時も呼びに来てくれた、んだよね?」

「ん、行った」


 その時の記憶が全くと言っていい程に無いフェスティーニは、妹に手を煩わせた事実に少しばかり罪悪感を募らせ、何かお礼でもしようかと思考を巡らせた。

 だが、直後の発言でその気持ちも彼方へ吹っ飛ぶ。


「でも、何しても、起きなかった」

「……はい?」

「水責め、感電、洗濯バサミ、唐辛子、浄化の鍵、沢山試した」


 姉に対する暴力だろうか、そんな過剰な反抗期のような行為に及んだのかと正気を疑ったが、真相は闇ならぬダークエルフの中だ。


「ホントに全部したの?」

「嘘、かも?」

「してないの?」

「した、かも」

「え、ちょっと待って怖いんだけど、ボク寝てる間に何されたのホント!?」


 姉妹の和気藹々とした会話が廊下に響き渡り、丁度フェスティーニを起こしに向かおうとしたニーベルも、それを耳にした。

 実際には、全部試している。

 だが、どれも失敗して起こせなかった。

 姉弄りを楽しむ妹達を歓迎するように、食堂の扉を開けてニーベルが待機していた。


「おはようございます、フェスティーニ様」

「もう、こんにちは、だけどね〜」

「昼食の準備ができております。どうぞ、お席にお着きくださいませ」


 場所は割り振られていないが、空いているのは先に食事を平らげていたセルヴィーネの隣、そして静かに食事を堪能しているオルファスラの隣だった。

 自然と、赤い龍神族の隣にフェスティーニが、青い龍神族の隣にフィオレニーデが着席する。


「おはよ、フェスティ」

「うん、もう時間帯違うけど、おはようセラちゃん。それからアスラちゃんも、こんにちは」

「はい、こんにちはです、フェスティ」


 昼の時間帯になって、出陣組全員が揃った。

 午前中の彼女達は、フェスティーニの部屋に行き、宿泊施設で情報を得て、更に情報を上書きするように灯台で新情報と微かな光を見た。

 それからバンレックスのいる潜水艇保管倉庫に行き、ヴェルゲイを預けた後、一旦戻ってきた。

 フェスティーニが寝てる間の午前中を一部始終二人から説明を受け、四人での食事に会話という香辛料スパイスが加えられた。


「へぇ、じゃあ、ヴェルゲイ君は事件開始前から全部知ってたって事?」

「全部とまでは言わないけど、大体は経緯も事情も犯人の動機も知ってたんじゃない?」

「それか、事件に関わって知ったか、だね」


 ヴェルゲイの情報は全部、フィオレニーデという器に収まっている。

 そこから記憶を抽出するのも、消去するのも、改竄するのも、フェスティーニの自由であり、彼女の特権であり、彼女の職業能力でもある。


「話を聞く限り、ヴェルゲイさんから聞いた話のうち、不自然……と言うより不可解なのは、考え得るだけで合計三つあるのです」

「三つも?」

「二つの催眠術、灯台での薬瓶、二時間の空白期間、なのですよ」


 空白の二時間は論外として、考察できるのは催眠術が二つという状況、灯台での薬瓶が結界通過できる、という内容だろう。


「二つの催眠術って事はつまり、唯一ヴェルゲイ君だけが黒幕と裏切り者の二人と遭遇してる、けど両方の記憶を封じられてる」

「そうです。だから、状況がややこしい」

「ややこしいって何よ?」

「分かりませんです? 一時的に日輪島に足を踏み入れたならば、黒幕の滞在していた期間が存在するのです。ならそれぞれ違う催眠術をどのタイミングで掛けられたのか、余計に難しくなるです」


 もし仮に、船乗りの中の裏切り者だけが催眠術を駆使していたなら行動を予測できたが、二人以上が駆使したら、何通りものパターンを想定しなければならない。

 誰が何処を封じたのか、何の催眠術を掛けたのか、人数や催眠術の回数が多い程、想定は困難を極める。


「よく分かんないんだけど……」

「じゃあ一例を示そう。一先ず二種類の催眠術をA、Bで分けようか。黒幕催眠術A、裏切り者催眠術Bだね。ではでは〜、デデンッ! 問題、催眠術の回数が三回なら、何通りの組み合わせがあるでしょ〜か?」

「答えは――」

「八通りなのです」


 組み合わせで二の三乗、オルファスラの発した八通りという解答がある。

 黒幕を『A』、船乗りの中の内通者を『B』とする。

 回数は三回、その三回は現在までヴェルゲイが掛けられていた回数を表す。

 一回目、???

 二回目、自警団の中で連続的に。

 三回目、昨日の夜、森の中で。

 1.A、A、A  2.A、A、B  3.A、B、A

 4.A、B、B  5.B、A、A  6.B、A、B

 7.B、B、A  8.B、B、B

 その八つの分岐が困難さを増す。

 そして追記事項として、二種類の催眠術が絶対に掛けられている。


「一回目は?」

「まだ謎だよ。けど状況から考えて、そうかなって思ったんだ。消去法で考えていこうか。ニーベルさん、ペンと用紙ってある?」

「はい、ございます。少々お待ちください」


 背後に控えていた家政婦長の華麗な女性が、メイド服のロングスカートを翻して部屋を後にする。

 数秒後、紙と用紙を持って帰ってきた。


「は、早っ……ニーベルさん、流石だけどこれ、どうやって持ってきたのさ?」

「はい、メイドですから」


 笑顔で受け答えするニーベルのスピード、最初から用意されていたのではないかと思える程、彼女は家政婦としては優秀すぎる。

 逆に恐ろしい。

 彼女から白紙と羽ペン、ついでにインクも借りて、そこに状況を簡潔に書いていく。


「八つの方法、まずフィオちゃんが齎してくれた情報から、二人分の催眠術があるから、最初に二つ消せるね。どれだと思う?」

「一番、八番の二つよ」

「正解、じゃあ次だね。さ〜てさて、二回目に掛けられた催眠術に関して、AとBどっちだと思う? さぁ、アスラちゃんどうぞ!」

「へ? あ、え、えと、び、Bなのです!」


 連続的に催眠を掛けるなら、それは船乗りの中の誰か、が犯人となる。

 つまり、黒幕ではない『B』が二番目に来る。


「正解、なら何が残るかな? はいセラちゃん!」

「え〜っと、残るのは……」

「ブッブ〜、時間切れ〜! ニーベルさん!」

「三番、四番、七番の三つでございます」


 二番目が『A』であるものを全部消去した結果、その三つが残される。


「流石ニーベルさんだね。では最後、その三つの中で残るのは一体ど〜れだ? はいフィオちゃん!」

「ん、四番」

「その理由は?」

「黒幕、星夜島……なら、三回目が、『B』。結果、四番だけ、残る」


 それがフィオレニーデの最終結論、四番しか有り得ないと考える。


(それが正しいとなると一回目は必然的に『A』、三番七番は黒幕がこっちに来てた場合だけど、水晶玉に映る星夜島の記録映像から時間的に野営中、抜け出すのは無理……だとするなら、やっぱり四番が最適解ね)


 二回目と三回目に裏切り者が催眠術を掛けたとしたら、フィオレニーデの持ち得た事実『二つの職業による干渉』と矛盾し、その矛盾点を回避するために第三回目、つまりは時間的に合致する一回目に催眠を掛けられている、と筋道が形成できる。

 そこから見えるのは、犯人は最初、日輪島にいた。

 それはヴェルゲイが、去年の最終日に犯人達の密会現場を目撃したため、その日に何かあったかと捉える。


(日輪島で陽光龍操って、それから月海島に渡った。そして最後に星夜島で生命龍を操って王になるための準備に勤しんだ、と。じゃあ調査団に紛れてる理由は何よ?)


 黒幕が呑気に野営している姿を見て、無性に苛立ちが込み上げてきたセルヴィーネは、食べ物を口に入れ、一気に平らげていく。

 その暴食っぷりに、ニーベルは即座に追加の食事を運んで馳走を用意した。


「ちょっとずつ黒幕達の足取りが掴めてきたね〜」

「その通りなんだけど明日には離島に行くのよ? 時間もギリギリだし、犯人の影しか見えてないのに、一体どうするつもり?」

「ま、何とかなるんじゃないかな〜?」


 その余裕にも満ちた態度に、他四人は何か企んでるな、とフェスティーニへと視線を送る。


「布石は打ったからね〜」

「その布石って?」

「祭壇から帰ってくる時に偶然遭遇したから、念の為、ボクの職業で干渉できるように二つ仕掛けたのさ。花の種子と花粉だね」

「「「……はい?」」」

「ん、流石、姉さん」


 この場で少女が打った布石を理解できるのは、何百年と一緒に過ごしてきた妹だけだった。

 花の種子と花粉、生物学者と言うよりは植物学者のような職業能力だと感じたが、言うのは野暮、セルヴィーネは食べ物ごと言葉を胃に流し込んだ。

 その二つで何ができるのやら。

 空での出来事は経緯を耳にし、縫合された龍の腹に種子が埋め込まれ、犯人には花粉を付着させた、と。


「で、その効果は?」

「追跡のために、ちょっとね〜」


 単なる悪足掻きが功を成すか、それは時と場合によるため、それを捕獲作戦には入れない。


「ご馳走様、ニーベルさん」

「はい、お粗末さまでした。これから自警団の基地へ行かれるのですか?」

「うん、船乗り達と最終的に示し合わせとかなきゃならないから。それに装備品とか荷物、捕縛グッズとかも必要だろうしね〜」

「いよいよ正念場って訳ね、滾ってきたわ!!」

「お行儀悪いのですよ、セラ」

「ん、オルオルの、言う通り」

「お、おる?」

「良いじゃない、戦前の腹拵えも終わったんだし、サッサとアイツ等と作戦練って明日に備えましょうよ」


 自信満々と龍女は真っ白な歯を浮かせ、拳を少女に突き出した。


「うん、そうだね。セラちゃんの言う通り、ここからが正念場だ」


 もう後戻りできない場所まで来ているから、迷いも悩みも捨てて、前に進むだけの話。

 全員、覚悟は決まっている。

 突き出された拳に自分の拳を軽く当て、以心伝心、二人の気持ちは一つになった。


「ニーベルさんにも一つ、お願いしとこうかな」

「はい、私めに何なりとお申し付けくださいませ」


 犯人vs異種族娘達、これはサンディオット諸島全土に蔓延る悪を祓うための、彼女達の戦いである。

 恭しくお辞儀したメイドに一つの頼み事を預け、それぞれが出掛ける準備を開始した。






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