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星々煌めく異世界で  作者: 二月ノ三日月
第四章【南国諸島編】
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第168話 見えざる敵5

 とある宿の屋根を伝い落ちる雨粒は強く大きくなり、その一つの宿泊施設全体が風によって軋みを上げ、崩れるのではないかと宿に泊まる者達は思う。

 窓に打ち付ける雨音が、それを証明しようと更に強く降り頻る。


「うっひゃぁ……やっぱ雨、強いわねぇ。服もビショビショになっちゃったし」


 最初に領主館を飛び出したセルヴィーネは、日輪島初日に宿泊した施設『日光』へと赴いていた。

 出入り口の表玄関の扉を開けた後に即座に閉めたが、多少の横殴りの雨が入ってきてしまい、床は水浸しとなってしまった。

 がらんどうとした一階では、看板娘のミィアがせっせと床を掃除していた。


「あ、セルヴィーネさん、おはよう」

「えぇ、おはようミィア」

「あ、ちょっと待ってて、今タオル取ってくるから!」


 身体が濡れていたセルヴィーネを気遣い、ミィアがタオルを取りに奥へ戻った。


(それにしても……人が少ないわね)


 事件のせいで客足は遠退き、収入も少ない。

 客は離れ、現在は数人しか宿泊していないせいで、半年間ずっと雨が降っている現状を鬱陶しく感じている。

 しかし仕事をしなければならないから、ミィア達は同じ時間に起床し、仕事をして、最後に雨音を子守唄代わりにして就寝する。

 外を歩けはするが、それが絶対に安全とは保証できず、雷が街に落ちる場合もあるため、人は滅多に外に出ない。


(どうやって生活してんのかしら?)


 家内へと籠もる一般人達は、外出を恐れている。

 幾つもの状況が重なって、人々は排他的な生活を繰り返して自己世界に閉じてしまう。

 ウルグラセンが騒ぎ出して発生した誘拐に対する住民の不信感、何故か半年間降り止まぬ雨、その中核に陽光龍が洗脳されている事実が加味され、景気も悪くなったため、それ等の状況が複雑に絡み合って現在の消極的な島になった。

 一部は事件解決のために奔走しているが、大多数の人は他からの干渉を嫌って昼夜問わず外に出なくなった。


「お待たせ、はいこれ!」

「えぇ、ありがと」


 厚意に甘えて、タオルを受け取ったセルヴィーネはそのまま髪から水分を拭き取る。


「ねぇねぇ、昨日と一昨日は帰ってこなかったけど、何処で何してたの?」


 セルヴィーネが宿屋にいたのは入島した初日と翌日の朝のみ、その朝から二日掛けて彼女はフェスティーニ達と領主館にいた。

 そして、ここの宿代は払ったままとなっていたため、数日間はセルヴィーネの好きにできる。


「まぁ、ちょっとね。それより、バーバラいる?」

「バーバラさんなら今頃、部屋で寝てるよ。最近は仕事も無くて暇なんだって」


 娼婦をしているバーバラという女性が、今回のセルヴィーネがここにやってきた理由でもあった。

 彼女は情報屋も担っていると踏んだから。

 事実として、彼女は色々と知っているのだと第六感が囁いているから、直感を信じて辿り着いたのが『日光』という宿屋だ。

 用事があると伝えると、ミィアがバーバラのいるであろう部屋へと案内する。


「こっちだよ」


 奥の階段を駆け上がり、二人は三階の突き当たりの部屋へと到着した。

 そこで、セルヴィーネは無遠慮にドアを数回ノックする。


「バーバラー、ちょっと良いかしらー?」


 他の客達の迷惑にならないように声量を抑えて、呼び掛ける。

 それに応じるかどうかは、バーバラ次第。

 何度かノックしてみたが、寝ているのか蛻の殻なのか、出てこなかった。


「中から気配を感じるから、部屋にいるのは分かってるんだけど」

「バーバラさんは夜型の人だから、この時間帯だと寝てる場合が多いね。たまに朝も起きてこないし」

「ま、寝てるなら叩き起こすわ」

「うわぁ……」


 しかし物理的に叩き起こすのではなく、自分の持ち得る能力で外へと自ら出てくるように、彼女は悪どい笑みを携えて魔法を発動せた。


「『魔法付与エンチャント・ヒートアップ』」


 部屋の奥に魔法を仕掛け、部屋全体の熱量を底上げしていく。

 つまりそれは、現在バーバラの宿泊する部屋の気温が上昇傾向にあり、謂わばサウナと同じ状態であるため、部屋の熱気を換気しようとも服を脱ごうとも暑さからは逃れられはしない。

 少ししてバタバタと部屋の中から物音が連続して聞こえてきて、その音が扉前まで近付き、廊下にいた二人は一歩後ろに下がった。


「プハァァァァ……き、急に暑くなっちゃって……もしかしなくても貴方達のせいかしらぁ?」


 涼しげな空気を味わうべくして、ほぼ全裸の妖艶な女性が部屋より姿を現した。

 煌びやかな金色の髪が乱れており、先程まで寝ていたのが寝癖から察せた。


「あらぁ、貴方は……誰だったかしらぁ?」

「セルヴィーネよ、一昨日アンタから情報を買った客、そう言えば思い出す?」

「えぇ、えぇ、思い出したわぁ、ウフフ」


 火照った身体からは汗が滴り、その肢体は瑞々しく透き通るかのような若さを保ち、人気の娼婦の身体をしているが、他の客が廊下に出てきたら大惨事となる。

 しかし娼婦であるが故に、バーバラは気にせず対話を始めようとしていた。


「それで、私に何か用かしらぁ?」

「……その前に服着なさいよ」

「だってぇ、身体が火照っちゃってぇ」


 妖艶な脳殺ポーズを取り、暑いのだとアピールして服を着ようとしない。

 バーバラの大きな乳房が視界で揺れ、純情な少女ミィアは羞恥心が込み上げて、顔から湯気が出るくらい赤面させて気絶した。

 数滴の鼻血が、赤面による効果だった。

 顔を見合わせたバーバラとセルヴィーネは、一旦ミィアを部屋へと運んで休ませる。


「ミィアの目に毒だから、服着なさいよ」

「えぇ? だってこの部屋、何だか暑いしぃ」

「悪かったわよ、すぐに冷やしてあげるから」


 便利な魔法を部屋に施し、空気全体の気温を下げる。

 すると冷んやりとした空気が素足に触れ、娼婦の火照りを鎮めた。


「貴方……何者なのかしらねぇ?」

「前にも言ったはずよ、世の中知らない方が良い事もある、ってね」

「えぇ、だから答えを言わなくとも構わないわぁ。私だってまだ死にたくないし」

「別に殺しはしないわよ」


 大事な情報源である今は、セルヴィーネの方から手を出したりはしない。

 逆に対価として自分が何者なのか問われた場合、それをチップに情報を交換するつもりでいたが、バーバラには詮索する度胸は持ち合わせていなかった。

 その通り、二人が戦えば結果は歴然、絶対に龍神族には勝てない。

 職業の差よりも種族の差が如実に肉体へと表れてしまうため、もしセルヴィーネに脅されたなら簡単に情報を吐き出してしまう。

 虚勢を張りながらも気丈に振る舞っているバーバラは、ベッドに放置されていた皺だらけのドレスを纏い、そこに腰掛ける。


「さて、私に何の用かしらぁ?」


 ここからは思考を切り替える。

 交渉のためだと二人共目を合わせた瞬間から理解していたため、龍女も交渉の場に座する。


「情報を買いたいの。だから何か知ってそうなアンタに聞きにきたって訳」

「ふぅん、何について知りたいのかしらぁ?」

「事件について」


 それしかない、しかし聞きたい内容次第では彼女でさえ答えられないだろう。

 しかしセルヴィーネが知りたいのは、たったの一つ。


「曖昧ねぇ、もっと具体的に教えてくれない?」

「なら単刀直入に……犯人について教えなさい」


 その発言は要するに、自身が犯人と繋がりを持っているのだ、とセルヴィーネがバーバラに対して疑っている、とも捉えられる。

 犯人の共犯者と疑惑を持たれているため、身体が少しばかり強張り、冷えた部屋が暑く感じる。

 生唾を飲み込んで、緊張を心の奥底に隠す。

 しかし言葉を濁すのは、それこそが共犯者だと証言しているのと同義、彼女は身の潔白を証明するために最初に真意を問う。


「そう言われてもねぇ……何で私が犯人を知ってるって思ったのかしらぁ?」


 冷や汗が止まらず、衣服を汚していく。

 再度火照り始めるのを体感している。

 最初に見せ付けられた恐怖の感情が、逃げろと警鐘を奏でて煩わしい。

 セルヴィーネなら僅かな震えや感情の機敏に全て権能で反応できてしまうが、それを知らないバーバラは悟られないようにと震えを隠すため感情を抑制し、営業スマイルで取り繕った。

 相手が何を策謀しているのか、その目的は何か、情報屋を兼任する娼女はセルヴィーネという龍神族の質問や島に来た理由も知るため、対価を求めた。


「初めて喋った時、アンタ水晶見せて言ったわよね? 『私は『調教師』の職業を授かってるの。だから島全体で何が起こってるのかが分かるのよ』って」


 島全体を見通せる能力を持っているバーバラならば、景況を掌握できる。

 島の情勢を覗き見れるなら、それはリアルタイムで誘拐する場面を見ている、と誰もが思う。


「それってつまり、犯人知ってるって意味でしょ?」


 不敵な笑みが自信を表し、それは核心を突く言葉、バーバラの表情が一瞬のみ崩れてしまう。


「……」

「あの時は知り合いに早く会いたかったから別れたけど、今なら時間はたっぷりあるし、きっちりと弁明してもらおうかしらね?」


 セルヴィーネお得意の嘘発見、ある意味では尋問にもなる彼女の話題誘導が完全に主導権を握っている。


(権能様々ね)


 彼女の権能は単なる嘘発見とは訳が違う超感覚であり、だから大抵の話題では主導権を握れるが、それでも頭のキレる人間には分が悪い。

 ノアとの会話で彼自身を探ろうとした時も、一定の誘導でセルヴィーネの感知を掻い潜っていた。

 しかしバーバラにはそれができない。

 大前提とする権能が露呈していないから、嘘を吐いたとしても矛盾が発生しなければ誤魔化しも可能となるが、それは危険な橋となるため、バーバラは石橋を叩く。


「……何処から話せば良いのかしらねぇ」

「それならアタシが幾つか質問してくから、それに答えるだけでも構わないわ。それに見合った賃金もちゃんと提供する。どう?」


 懐から一枚取り出して、小型ラウンドテーブルに置かれた金色の硬貨が、カチャリと音を弾く。

 釣られて金色に輝く貨幣へと手を伸ばすが、その金貨は人差し指一本で勝負の手から遠退いてしまう。


「金貨を提供するのはアンタが情報を喋ってからで、先払いはしない」

「ハァ、分かったわぁ。質問をどうぞ、龍神族さん」

「そうね、最初にこれを聞いとこうかしら」


 この諸島はきな臭い、味方が誰かも判別できない、ここではバーバラが敵か味方かを判断する場でもあった。


「アンタは今回の事件に、犯人側の人間として関与してるのかしら?」

「いいえ」


 即座に首を横に振るバーバラを注意深く観察し、嘘ではないと判断する。

 これだけでも価値はある。

 情報屋が敵だった場合、勝ち目は無いからだ。

 情報を手にした方が勝つ、それはいつの世も情報戦争が勃発していた理由に起因し、主導権を握った方が優位に立てると戦争の歴史が教えている。

 つまり犯人かそうでないかの明確な判断ができ次第、次の段階へと進めるようになる。


「なら次ね、アンタは犯人を知ってる?」

「……半分知ってる(・・・・・・)わぁ」

「半分?」

「えぇ、半分」


 知っている、それか知らない、その二つが両立しているという意味自体が意味不明で、まず誰もが要領を得ない。


「ちゃんと説明する前にぃ、ミィアちゃ〜ん? 起きてるでしょう?」

「うっ!?」

「起きてるなら部屋から出て行きなさいなぁ、仕事中だったはずでしょう?」


 朗らかな笑みが昏睡状態の少女に向けられ、その威圧するかのような視線に耐えきれずに目覚めた。

 部屋を去る機会を獲得した少女は、空笑いを顔面に貼っ付けたまま逃げるように退室した。

 バーバラが先にミィアを部屋から追い出したのは、事件に巻き込まれる可能性を危惧したから、誘拐される確率を少しでも下げようとした。

 逆にセルヴィーネは、ここで話したとしても権能が反応を示さないため、問題無しと判断していた。


「さて、じゃあ教えてもらおうかしら、半分の意味を」

「……」


 どう説明すれば良いのか思案しながら、脳内で手順を並べ綴っていく。

 しかし説明する情報を最小限にするため、賭けを課す。


「まずはこっちの対価を要求するわぁ。貴方がどれだけ犯人について知ってるかを教えてくれないかしらぁ? あ、お金は必要ないからねぇ」


 金の代わりに情報をくれ、そう言っている。

 その意図を汲んだ龍女は、話を進めるために犯人に対する情報を素直に話した。

 知っている内容をあるだけ全部彼女に伝えると、驚嘆とした視線と声が返ってきた。


「お、驚いたわ……貴方、この日輪島に来てまだ三日程度でしょう?」

「えぇ、運が良いのかもね」


 これも他島にいるユーステティアの運命を引き寄せる異能のお陰なのか、そう思ったセルヴィーネは現在森を探索中の少女へと礼を述べ、次のステップへと移る。

 渡した対価は値千金、その価値を知るバーバラもそれに応える必要が出てきた。


「半分って言ったのはね、私が見たのは本物の犯人じゃなかったからなのよ」

「本物じゃ、ない?」

「えぇ、正確には内臓を抜き取られて(・・・・・・・・・)いた誰かの死骸だっ(・・・・・・・・・)()ってところかしらぁ?」


 そこで最初にセルヴィーネの脳裏に描かれたのは、フラバルドで対峙した死霊術師(ドルネ)の存在だった。

 前回の事件と関係しているのかと勘繰る彼女は、続きへと聴覚を傾倒させる。


「その犯人を尾行したところねぇ、ちょ〜っと面白いものが見れたのよねぇ」

「勿体振ってないで早く教えなさいよ」

「ウフフ、なら見せて……あ・げ・る」


 テーブルに用意するは一つの水晶、彼女はそこに魔力を流していき、空中に映像を投影した。


「『真実を映す宝玉(トゥルース・オーブ)』を知ってるかしらぁ?」

「え? えぇ、まぁ、ギルドが管理してる水晶玉でしょ。ってまさか、それ――」

「じゃないけど、似たような力は持ってるの。これには映像の記憶と再生ができる魔法が備わってて、この水晶を通して記録した一部の映像をこうして空中に展開してるの。本物の複製品のようなものかしらねぇ」


 投影された映像を指差したバーバラは、大事な部分だけを再生していく。

 謎の人物が子供を引き連れ、何処かの通路を通って森へと向かうが、肝心なのはその場面ではなく、その前だと直感したセルヴィーネは巻き戻しを要求した。


「これって最初の方まで巻き戻せる?」

「え、えぇ、可能だけど……ちょっと待っててねぇ」


 最初から見たいと言われ、それに従って巻き戻す。

 行動が後ろ歩きになり、何処から撮られていたのかが明確となった。

 最初は些細な場面からだった。

 小高い丘を一匹の猫が歩いている視点、ゆっくりと餌を探して西へ東へ、強い雨風が映像を悪くしながら移動する猫は数分後には一つの場面を捉える。

 そこは孤児院、明かりも付いていない深夜の出来事で、その玄関から堂々と二人の人物が出てきた。

 一人はフードを被り、もう一人は裸足で雨に濡れ、フードの人物へと猫が近付いた。

 薄暗い視界によって見え辛くなっているが、その時運良く雷が鳴って、姿が映し出される。


(これは……)


 彼女達が見たのは、内臓が刳り抜かれたまま動いている、虚ろな色を瞳に宿す一匹の死骸。

 ローブから見え隠れする髪は雨に濡れ、口からは血が垂れている。

 それを形容するなら、まさに屍人。

 しかしエルフではなく、種族不明な女性だった。

 ローブとフードで殆ど特徴が見られない。

 映像の解像度の荒さも問題である。

 しかし屍人を操っているとなると、死霊術師が関係してくるのかと少し心臓が跳ねたセルヴィーネは、より注意深く観察を続ける。


(この映像、ロディって子の言ってたらしい証言と全然違うじゃない……)


 ロディは耳にイヤリングをしたエルフが誘拐犯だと言っていたが、その死骸は耳飾りをしていないどころか生命すら奪われた屍人、そしてその死骸以外に動いているのは子供のみだった。

 合計二人が、そこにいる。

 一人は孤児院から出てきて虚ろな表情のまま雨に打たれる小さな子供、もう一人は屍人、その二人が何処かへと向かって動き出した。

 死骸と誘拐された子供、その二つの暗闇で蠢く姿が猫の目を介して伝えられたが、向かう先を追跡するように猫も移動を開始していた。


「ねぇ、これってもっと近付けなかったの?」

「流石にそれは無理よ。だってこの全身ローブの人に見つかったらぁ、猫ちゃんが殺されちゃうかもしれないじゃなぁい?」

「そ、それはそうだけど……」


 猫の命を引き換えに情報を得るよりかは、彼女は付かず離れず尾行して文字通り尻尾を掴もうとして、超接近を回避して映像だけを入手。

 何処かに移動する二人は一言も会話は無く、死骸を先頭に間隔を空けて歩いている。


「コイツに心当たりは?」

「さぁ……顔が殆ど見えなかったんだもの、知ってるとは言えないわねぇ」


 顔はフードによって隠され、時折雷光によって見せる表情は虚空を見つめているばかりで、暗闇と光の二色以外は判別できず、顔も殆ど原型が見えずだ。

 何処へ向かうのか、目で追いながらセルヴィーネは考え始める。


「これ、いつの話?」

「二ヶ月くらい前だったかしらぁ?」


 稀に記録を整理する彼女は、ある日偶然に行っていた記録媒体の整理作業中に、孤児が誘拐される場面が偶然撮られていたのに気付いてしまった。

 ローブの人間が何者なのかはさて置き、この映像が何処へ向かうのかを早送りすると、何故か二人は森へと入っていった。


「なっ――」


 少し先の視線が映したのは、一匹の黒い竜だった。

 暗黒龍よりも身体は小さく、二足で立ち、手が翼となったワイバーンのような翼竜が待機していた。

 しかし普通の化け物ではなく何故かツギハギだらけの怪物で、黄色い瞳孔が強く光っている気味の悪い生き物、その背中にはまた別の全身隠した人間が映り込み、二人の人間と一匹の死骸は翼竜の背に跨って何処かへと飛んでいってしまった。

 猫は空を飛べない。

 だから、その先を見つめる以外に何もできず、そこで映像は終了した。


(ロディって子が嘘を吐いてた? いや、でも、フェスティが嘘を吐いてないって言ってたし……だったら水晶の映像はロディの言ってたのとは別の場面って事? そもそもロディが見たのはエルフが孤児を誘拐する場面だし、だったらこの映像は何?)


 混乱しそうになるが、彼女は情報を覚えてフェスティーニへと伝えるため、更に深く切り込んでいく。


「この映像が撮られた場所って何処ら辺?」

「確か……森の中心地に近い場所だったかしらぁ?」


 ここでも繋がりを見せる情報があった。

 これから捜索する森がここまで関係深いとなると、先に権能で森を示したのも何かしらの意図があったのだと信憑性が増す。

 同時に攻略の鍵という意味付けへと昇華した。

 そもそも夜に出歩く人間がごく僅かなために堂々と犯行に及べる状況ではあるが、その屍人が催眠術師なのか、疑問が出没した。

 ロディが言ったのは、誘拐したのはエルフで、特徴は耳にイヤリングをしている、そして攫われたのは孤児院の子供、というだけ。

 つまりそこから窺える事実は、やはりこの映像の場面はロディの証言とは多少の食い違いを見せている、というところだ。

 似た部分もロディは明示している。

 攫われたのが孤児である、という部分。

 しかし似ていない箇所は犯人の特徴で、大前提として屍人という情報が無かったから犯人はエルフかと情報が伝達されたが、現在手に入った情報を混ぜれば、犯人が屍人では有り得ない、だったら犯人は誰だ、という議題が呈される。

 数日が経過した死骸には、霊魂という職業を内包する器が無いので、職業は使えない。

 ならば死骸以外の第三者、ツギハギの竜に跨っていた人物が催眠術師なのだろうか、セルヴィーネは何故か納得できずにいた。




『職業には相手を惑わすもの、己の姿を変化させるもの、認識そのものを変えるもの、色々とあるんだよ』




 不意に天啓が訪れたように、フェスティーニと夜にした会話の一文が脳裏に蘇った。

 これも第六感たるセルヴィーネの権能で、何故その文が浮かんだのか不明ながら、彼女はこの映像が事件の鍵を握っているような、そんな気がした。

 耳にイヤリングをしたエルフ、もしそれが虚偽申告だったらどうか、犯人像が根底から覆ってしまう。


(もしかして、あの職業なら(・・・・・・)――)


 一瞬だけセルヴィーネの脳裏に、とある職業の名前が浮上した。

 しかしロディの年齢は十歳、職業選別の儀式を受けられる年齢ではなく、もしかしてロディではなく別の人間が犯人か、それともロディ自身が偽りの年齢と体型をしているか、有り得ない想像が彼女の中で膨らみ続ける。

 影を掴むような感覚に苛立ちが込み上げ、ギリッと奥歯を噛み締める。


(今のとこ考えられるのは三つ、か)


 一つ、犯人がロディでフェスティーニやセルヴィーネの能力を掻い潜り、尚且つ身体特徴や職業所持を偽装する職業、催眠術師という職を持っていた。

 二つ、犯人は第三者でロディはこの場面を見ていた。

 三つ、同じく第三者でロディとは無関係の場面。

 ロディが犯人か、そうでないかで違いは複数に分岐して雁字搦めとなり、身動きが封じられる。


「……」


 セルヴィーネはバーバラから水晶玉を借り、途切れた映像を何度も見直してみる。

 孤児院から二人が出てきて、そのまま森へと向かって、そして見知らぬ人間と翼竜に乗って飛び去る。

 その一連の動きや背景等の視界全体を凝視して、とある事実に気付く。


(誰かが映り込んでるわね)


 雷が落ちて女性の顔が映り込んだ瞬間、塀の向こうから顔を覗かせる少年の姿が見えた。


(もしかしてロディって子かしら?)


 彼女は直接ロディと会ってないため、その子供がどのような人物なのかを知らず、首を傾げる。

 しかし対面には情報屋がいる。


「ねぇ、この奥に映ってる子供、誰か分かる?」

「えぇ、知ってるわぁ。確か船乗りの子供だったはずだけどぉ、何でこんなところに映ってるのかしらねぇ? そもそも何でこんなところにいたのかしらねぇ?」


 バーバラに言われて同感した。

 何故雨に濡れながらも塀の向こうから覗いていたのか、何故そこにいたのか、それが不思議だった。

 孤児院から森の中心地付近へと向かったのはこの際後回しにし、先に少年が何故そこにいたのか、そしてそれがロディならば何故エルフだと宣ったのか、一気に疑問という疑問が増殖した。

 もう自分では分からない、流石にそれぞれの謎すぎる行動の数々に限界を迎える。

 知恵熱を出して頭から湯気が見えるような錯覚に囚われたバーバラは、龍女の意識を一時的に水晶玉から移すため、近くに落ちていた紙袋を膨らませ、一気にパンッ、と割って大きな破裂音を鳴らす。


「うひゃっ!? な、ななな何よ!?」

「驚きすぎじゃなぁい?」

「う、うるさいわね! 集中してるところに急にビックリするような事するからでしょ!?」


 予想以上の驚きっぷりに、驚かせた張本人が逆に驚いてしまうという歪な状況、変な空気となったが、気を取り直してバーバラは休憩しようと提案した。

 ずっと事件について考えていると、脳が疲弊する。

 そして数時間もしないうちに集中力が切れ、脳が糖分を欲するようになる。


「まぁまぁ、少し休憩にしない?」

「ハァ、分かったわよ、少し休ませてもらうわ」

「ウフフ、なら少しお茶にしましょうか。良い茶葉がまだ残ってたはず……あったわぁ」


 ドレスの山から幾つかの日用品が掘り出され、その中から茶葉の入った筒が出現した。

 部屋が散らかっている人間の様子に、一匹の酒呑みエルフを思い出したセルヴィーネは、水晶玉を一時的にバーバラに返して脳を休める。

 茶葉、ポット、コースター、そして紅茶のカップ、甘い食べ物はセルヴィーネの持つ空間魔法のポーチから、テーブルが彩られていく。

 休憩するには丁度良い時間、水晶玉の映像を何度も見返して一時間近くは経過していたが、まだ午後まで時間は残されている。

 バーバラの水の魔法でポットに水が溜まり、それをセルヴィーネが熱し、ティーカップへと注がれる熱湯が茶葉に作用して部屋に香ばしい匂いを放ち、満たされていく。


「良い香りね、何て茶葉?」

「これは『ディプシーティアーズ』、酔いしれる涙って意味のハーブティーよぉ。少し水色をしているのが特徴で、幻想的な夢を見せてくれる安らぎの紅茶、脳を休めるのに最適なものなの」

「へぇ……何だか落ち着くわね」

「ウフフ、リラックス効果のあるハーブを数種類混ぜ込んだものらしくて、紅茶を嗜む人なら誰でも知ってるくらい有名なのよぉ?」


 香り、見た目、そして味わい、紅茶を楽しむ上で、その紅茶は精神を落ち着けさせるには最適の飲み物で、香りと色合いを嗜んだ彼女達は、静かに紅茶の縁に口を付け、静かに喉へと流し込む。

 ほんのりとした甘さが口全体に広がり、その安らぎは脳から足の爪先までもを癒していく。


「落ち着くわね、少しスッキリしたかも」

「それは良かったわぁ」


 気持ちを鎮め、纏まらない思考領域を少しずつ整理整頓していく。


(犯人が誰かは分かんないけど、少しずつ近付いてるって感じがするわね)


 手応えを感じながら、彼女はティータイムに興じる。

 身体は休まっても、心の安定は寝ただけでは解消されないもので、彼女も俗に漏れず心身共に疲れが抜けきっていなかったりする。

 権能を三つも封じられた今、彼女は第六感のみを頼りに動いている。

 しかし彼女自身、それでは足りないと考える。

 どうすれば封印が解けるのか、方法を知らぬまま龍女はひたすらに手掛かりを掻き集める。


「ハァ……」

「あらあら、溜め息なんて吐いちゃって。幸せが逃げちゃうわよぉ?」

「それ、迷信らしいわよ。何でも、息を吐く事で交感神経が働いて自律神経がどうたらこうたらって、レイが――知り合いが言ってたわね」


 他の島で戦っている青年に想いを馳せ、紅茶を大きく呷って全てを胃へと流し込んだ。


「紅茶、ありがとね。美味しかったわ」

「気に入ってもらえたら何よりよ、ウフフ」


 和やかな小さな茶会は終了し、セルヴィーネは再び同じ動作で水晶玉を弄り始めた。

 その執念にも似た行動が、バーバラの内心を水紋のように揺らめいて広げていく。

 だから聞かずにはいられなかった。


「ねぇ龍神族さん、貴方は何で、この事件にそこまで頑張れるの?」

「いきなり何よ?」


 質問の意図が分からず、聞き返すセルヴィーネは手を動かして録画映像を再度観察する。


「この島にいる人間の大半はねぇ、事件に巻き込まれて誘拐されたか、昏睡状態、或いは島から出られない、そんな中で動ける人間は出ていく者ばかり……貴方はどうして事件に固執するの?」

「別に固執してる訳じゃないけど、強いて言うなら過去を清算(・・・・・)したいから(・・・・・)、かしらね」


 質問に対する回答は、珍妙なものに聞こえた。

 サンディオット諸島に因縁があるかのような言い分に娼婦は踏み込もうとしたが、そこに映る表情が悲しそうに、そして寂しそうにしていたため聞くに聞けず、声を発しようと開いた口を閉じる。


「事情、聞かないのね。ま、そっちの方がアタシとしては有り難いんだけど」

「そのような顔をされたら流石の私も聞くのを躊躇っちゃったわぁ」

「顔?」


 窓に映る自分の素顔を視界に入れ、初めて自分が悲しそうな表情を繕っていたのを知った。

 思い出すと胸が張り裂けそうで、心苦しくて、つい親友の名前を零してしまう。


「フェルン……」


 それは彼女の胸に深く刻まれた『業』、そして『後悔』と『懺悔』の記憶、消したくとも消せない生涯の傷痕が心に彫られて、それは完治していない。

 凄惨な出来事が精神を抉るようで、拳を強く握って一度深呼吸して怒りを鎮める。


「アタシが無力だったから……」


 その伸し掛かる重責が文字通り重荷となって、彼女を縛り付ける。

 事情を知らないバーバラには何かを言える訳もなく、少しばかり気不味い雰囲気に耐えきれず、セルヴィーネは記憶から目を背けて映像に集中した。

 今回の事件は自身の過去も多少なりとも関係してくるかもしれない、そう権能が伝えてくる。

 初めは単にフェスティーニの気配を感知したからだったのだが、今ではそれだけでなく、自分も事件の全貌を知りたくなったから介入した。

 それも親友の眠る日輪島で、彼女は過去と向き合うために事件捜索に加わった。


「その水晶玉、予備があるからお貸ししましょうか?」

「でも、映像は――」

「ちゃんと全部の記録を転写して渡してあげる」


 サービス精神満載で、バーバラは早速作業に入る。

 行う作業は記録のコピーのみで、内部に仕込まれた魔法を起動させて二つの水晶玉を近付け、片方には複製の魔法を、もう片方は複製した記録を読み取って保存する魔法を発動させ、約一分で完了した。

 これでセルヴィーネは、数ヶ月間の島の映像を全て手に入れられた。


「……何でここまでしてくれる訳?」

「さぁ、何でかしらねぇ」


 これで事件解決するならば自分の商売も元通りに戻るから、という打算込みで博打に乗った、等とは言えるはずもなく、彼女は窓の外に視線を逃した。

 雨が天より注がれ、いつまで続くのかと不安が募る。

 しかしここに、三神龍と関係ありそうな龍神族が突如として現れた。


「敢えて理由付けするならぁ……そうねぇ、新しい時代というのを一度、見てみたいのかもしれないわねぇ」

「新しい時代? 何それ?」

「ウフフ、それは――」


 急に部屋の明かりが突然消え、言葉は遮られた。

 暴雷雨の影響は半年前より始まっていたため、バーバラはさして気にせず、これも当然とばかりに部屋の魔導灯のスイッチを連続して切り替える。

 だが、やはり魔導灯は反応を示さず、部屋は依然として暗いままだった。


「あらぁ、困ったわねぇ」


 部屋の暗がりに反して、空中に展開された映像が光源の代わりを務めている。


「いつまで雷が続くのかしらねぇ?」

「さぁね。けど、少なくとも犯人が目的を達するまで、でしょうね。情報屋なら何か知らない?」

「いいえ、知らないわねぇ。それに映像に映ってたのは犯人じゃなくて屍人、つまり裏で操ってる誰かがいるという訳なのよ」

「それは見れば分かるわよ。裏で操ってる奴について何か知らない?」


 残念だと彼女は横に首を振った。

 彼女には猫の目があるが、それも万能ではなく、催眠術師が犯人であるという情報のみが彼女の記憶にある。


「この屍人も催眠術を使ってるけど、本物の劣化版のようなものかしらねぇ」

「この女も催眠術を……そうか、だからロディは直接見たからエルフの姿に映って、猫の目を介したアタシ達にはエルフじゃなくて普通の屍人に見えたのね」

「でしょうねぇ」


 ここから察するに、事件には二人の催眠術師がいた、という事になってしまう。

 しかし腑に落ちない。

 何故ワザワザ犯人は自身をエルフに見立てたのか、そこが引っ掛かる。

 また、バーバラの発言も少し変であるとセルヴィーネは直感した。


「でも劣化版って? この女は催眠術師じゃないの?」

「多分違うわねぇ」

「何故、そう言い切れるの?」

「だってぇ、この映像が見えてる時点で、そこまでの影響力を持たないって訳だからぁ」

「つまり同じ能力じゃなくて、別の職業の何等かの力によって催眠術を扱えてるって訳ね。でも、だったら今の映像は催眠術じゃないって事にならない?」

「大事なのはぁ、この死んだ人も他者を操るのに長けた力を持ってるって事でしょう?」


 大事なのは職業を看破するのではなく、その職業の詳細を知るのだというバーバラの意見に賛成し、その映像の屍人について考察を深める。


「ともかくこの人も催眠術か、それに近しい何かを使っていて、その屍人も誰かによって操られている、そんなとこかしら?」

「そうねぇ」


 屍人には意志が無く、決して黒幕には成り得ない。

 何処までも慎重に物事を運ぶ不可視の敵、明確な敵意も感じさせずに忍び寄る。

 一番重要なはずの動機が空欄となっているため、誘拐の理由も謎のまま、ここに来れば何か分かるのではないかと期待したセルヴィーネだったが、結局は島の映像を手に入れただけだった。

 どうしようもなく、推理に行き詰まる。

 島の映像が整理されたファイルの数々が空中に展開されており、それは三つの分類に組み分けされていた。

 一つは日輪島のファイル、残りの二つはそれぞれ月海島と星夜島のファイル、二つのうち何となしに星夜島のファイルをタップした。

 すると、星夜島のとある映像が映し出された。

 黒い癖っ毛のある髪、青色の瞳、見覚えのある顔がセルヴィーネの視界に収まった。


「な、何でレイが映ってんのよ?」


 本来、そこに映っているはずのない人間の動画が垂れ流しにされ、理解が及ばずに一瞬停止した脳が、辛うじてノアの行動を目で追い掛けるよう指令を出す。

 その画像の奥の青年は、一つのテントを見て、それから誰かが森の奥から現れ、その後は殺伐とした雰囲気で一触即発となる。


「一体何が起こってんのかしら……それに何でレイが星夜島に……」


 飛行船の中でノアはセルヴィーネへと、一日だけ星夜島に宿泊して翌日には月海島に向かう、そう言ったが、実際映像を見るに彼は星夜島に留まって事件に介入しているではないか。

 事件解決のためのピースは別のところでも集められているのは直感できた。

 ただ、何故か胸騒ぎがして、とてもではないが居ても立っても居られず、そこへと手を伸ばす。

 だがしかし、掴めたのは虚空。

 空中の映像を擦り抜けて、映像はプツッと消えてしまった。


(魔力切れ……)


 魔導具に注がれた魔力が底を尽き、水晶玉の効力が切れてしまう。


「今の色男、貴方の知り合いかしらぁ?」

「うわっ、アンタ何目を爛々と輝かせてんのよ」

「ウフフ……是非とも紹介して欲しいわねぇ」


 まるで野獣の如く舌舐めずりした彼女は、まさに獲物を狙う狩人。

 危険だとセルヴィーネは第六感を働かせる。


「紹介する気は無いわ。それより、何でレイが星夜島にいるのかしら……」

「現在、月海島行きの連絡船は全て停止してるから、でしょうねぇ」


 だからノアとユーステティアの二人は月海島には行けず、成り行きで地質調査に参加するに至った。

 それを改めて知った彼女は、彼が何故そこにいるのかを理解できずに違和感に支配される。

 だが、彼は行動している中でも常に苦しげな表情に苛まれており、全ての映像が擬似的な水晶玉へと記憶されて残存している。


「他に聞きたい情報はあるかしらぁ?」

「えぇ、沢山あるわ。けど、ウルグラセンのとこにあった情報で大体理解してるから、今のところ質問は無いわね。もう権能に反応は無いし」

「え?」


 権能では、もうここには用はないだろ、と訴えてくる。

 そのために彼女はここを離れる。

 記録媒体を忘れずにポーチの奥の異空間へと収納し、踵を返して部屋の扉を開けた。


「いえ、何でもないわ。じゃ、水晶玉借りてくわね」

「えぇ、使い終わったら返しに来てねぇ」


 まだまだ聞くべき内容は彼女の中で溢れんばかりに広がりつつあるが、それでも現在の情報だけでも有益であるのは確かだった。

 特にフェスティーニにとっては、だ。

 少なくとも犯人がエルフでない可能性が出てきて、それを伝えるためにも船乗り達のいる船着き場へと行かなければならない。


「さて、まだ時間あるし……久し振りにあそこ、行ってみようかな」


 午後からは森の探索へと入るが、それまでにまだ少しだけ時間が余っているため、もう一つの用事を済ませておこうと彼女は、身体の熱を奪う大粒の風雨に見舞われながらも飛翔する。

 龍翼を羽撃かせ、稲光の迸る空を翔け抜けた。

 向かう先を想う一匹の赤龍は、船着き場へと向かう前にとある場所を目指す。

 事件へと向き合うための覚悟を貰いに、彼女は翼をはためかせ、親友の永眠する地へと赴いた。






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