モテる男(雄)は大変だ。
今回はビルメンとは直接関係ありませんが、
間接的には多いに関係あります。
私は子供はおろか恋人もいませんが、その分自由があります。
むしろ自由が恋人です!
でも、自由なそれは包容もできないし、会話もできません。
たまに孤独や孤立といった危うい友達をつれてきます。
まぁ、単にボッチでモテないだけですが・・・(汗
私が黒江くんと出会ったのは、札幌の冬があけて一息ついた五月の中頃だった。
場所は市内中央区を流れる鴨々川、そこに隣接する某ホテルの前。
当時彼は妻帯する身であった。
私よりも若く、こんなことを言うのは悔しいが容姿についても恵まれており、身に纏う雰囲気もどこか野生の力強さが伝わってくる。
こうなれば、異性からモテるだろうと考えるのは想像に堅くない。
熱心な女性達が彼に求愛しその中で一人の女性を射止めたのであろう。
独り身で恋人もいない私にとっては、実に羨ましい身の上である。
もっとも当の本人はそんな事を味わう間もなく毎日あちこちを飛び回っていた。
その中で一つ困ったことがある。
彼は自分の住まいに近づくヤツが大嫌いなのだ。
私も自分の部屋に他人を招き入れるのは好きではない。なので、彼のテリトリーに対する気持ちも良くわかる。
だが、じっと睨み付けられたり背後から鋭い爪やくちばしで攻撃してくるのは勘弁してほしい。
「なあ、黒江君 先日卵が生まれたそうだね」
おめでとう、と私は視線を上に向ける。
電線にとまった一匹のハシブトガラスは、グガァと言って相変わらずこちらを睨んでくる。
黒江君はカラスである。
が、カラスも人も育児は大変だ。
長くなりそうなので分割にしました。
続きは後日に!




