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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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古銭の誘い 8

 鮫島は退屈だった、何か事件でも起きないものかと不謹慎な事を考える程度には。

 それというのもかれこれ3ヶ月程度は仕事が無い。

 下の家主から仕入れをして販売もやっているがそちらもこの所は好調ではない。

 故にそろそろ家賃と仕入れの支払いが厳しくなってきた。


 「こいつぁ、不味いな。干上がっちまう」


 思わず呟きながら手持ち無沙汰に商品を磨く。

 それは直径10cm程度の水晶玉、結構な仕入額の商品である。

 お気に入りの物で最悪売れ残っても良い程度には愛着がある。

 磨いていると落ち着く。


 彼は今後について思案し始める。

 このまま仕事が来なければ下の家主に延々と3時間は働く事の素晴らしさを説かれるだろ。

 それは、考えるだけで悪寒が走る。

 それだけは何とか避けなければいけない。

 以前それを実行された時には精神崩壊一歩手前まで行き気絶した。


 では、どうするか。

 ここの所はペット探しやら失せ物探しの依頼すら来ない。

 どんな依頼でも解決する自身はある。

 まぁ、依頼があればの話しではあるが。

 最初は皆疑うが俺の占いは当たる、厳密に言えば俺の使う道具が教えてくれる。


 この世の中には科学では説明出来ない物は確実に存在する。

 家の家系はそういった物を集めたり作ったりする由緒正しい家系だ。

 とはいえ、栄えたのは過去の話であり、今は没落していると言えるが。

 現代日本では超常現象が眉唾の時代、故に俺は詐欺師紛いの探偵って訳さ。

 何故探偵かって? 祈祷師とか霊能者名乗ったらそれこそまぁ。

 分かるだろ?


 そんな事を考えてると時間は過ぎていく。

 ん? なんだって? それにしては余裕があるんじゃないかって?

 俺の占いによれば今日当たり渡部の所に悩みを抱えた奴が相談に来る。

 つまりは俺の客だ。

 おれ自身の事は占えないが、この方法なら未来がある程度分かる。

 渡部がいつ説教しに来るか気になり奴の未来を占ったら偶然見えたのだ。


 おっと、階段をあがる音が聞こえてきたな。

 早速お出ましか、それっぽい感じで出迎えてやるか。


 俺はくたびれたスラックスとワイシャツのシワを軽く直すとデスクの後ろにある回転椅子に座る。

 ドアが開く、俺はニヒルな笑みを浮かべながらで迎えようと身体を向ける。

 その時、水晶玉が砕け散った。

 俺は間抜けな顔をしながら思ったね。

 仕事は欲しいが是は無いな。

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