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源流堂探偵事務所にようこそ  作者: 西渡島 勝之秀
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魔境の復讐 14

 「それじゃ、明氏。何が知りたいのかな?」


 俺は、問いかけてくる岳に状況の説明をする事にした。

 正直に言えば、俺は、今、相当に焦っている。しかし、的確な情報を与えなければ、余計に時間が掛かる。

 そう、焦っている時ほど、冷静にならなければ行けないのだ。言葉で言うのは簡単だが、これは、難しい事だ。

 だが、岳は俺が冷静さを欠いた時、必ず、俺を冷静にさせてくれる。

 言葉で諭すわけでは無く、その態度、さり気無く俺を落ち着かせてくれる。彼こそが、もっとも信頼出来る友人である事は、間違いが無い事実だろう。


 「玲子が、攫われた。俺の、目の前で」

 「玲子たんが? しかも、明氏の目の前でかい? それは、随分と......」


 俺の言葉に、岳は神妙な面持ちで言葉を返す。

 彼は、俺達と違って、オカルト現象のエキスパートではない。

 寧ろ、それらを否定する主義の人間だ。いや、否定する主義の人間だったと言った方が正しいのだろう。


 だが、彼は俺と出会った事で、その主義をあっさりと変えた。いや、変えてくれたのだ。

 玲子がオカルトに関して力説した時、彼は、「この科学の時代に、解明出来ない事は無い」と、秒で言い切った。

 しかし、その後に、俺が、「しかし、それでも奴らは存在する」と、言うと、彼は事も無げに言った。

 「明氏が言うなら、そうなんだろうね」と、あの時の玲子の顔は、今でも思い出すと、笑いがこぼれてしまう。


 俺は軽く、ふっ、と、笑いと飛ばすと、岳の正面に座り、彼に準備を促す。

 岳も同じく、笑みを見せると、自慢のノートパソコンを取り出し、俺に余裕をアピールする。

 岳も、自体の深刻さを理解しているだろう。しかし、今、この瞬間に、そんな事は、事も無い事に変わったのだ。

 何故なら、今、この場には、最強のパートーナーがいるのだから。


 「知りたいのは、相手がどんな存在か、先ずはそれだ」

 「了解! 先ずは、相手の行動と特性、そして出現パターンとキーワードを入力」


 彼は、素早い手つきで文字を入力していく。彼が扱っているパソコンには、独自のプログラムが入っている。その名は、ビンゴちゃん。

 彼が作り出した解明プログラムだ。ネット上にばら撒かれた情報を収集し、その中から一番真実に近い答えを導き出す。AI探偵とでも言っておこう。


 「後は、解析を待つだけっと、教えて、ビンゴちゃん」

 「ビンゴ! 答えが出たよ」


 可愛い女の子の声で、ビンゴちゃんが解析の終了を宣言する。余談ではあるが、彼女の声は、岳のお気に入りの声優のものを使っているらしい。


 「ビンゴちゃんの解析によると、怪異の正体は、ハンプティ・ダンプティだね」

 「鏡の怪人か、これはまた、厄介な相手だな」

 「でも、明氏。これは、創作の怪人で、伝承や実在はしないよね?」

 「それを言ったら、伝承も創作に過ぎない。重要なのは、いるかも知れないと言う認識が、いると言う認識に変わることだ。そうして、識鬼は生まれる」

 「なるほど、そういうものなのね。で、次に知りたいことは?」


 俺は、岳に促され、今回、一番重要な情報を調べて貰う。

 

 「今回の犯人、識鬼の寄り人を調べて欲しい」

 「本当に良いのかい? 見当は付いてるんだろ?」

 「だからこそ、かな? 確認して、認識する必要がある。それをしなかったから、目を逸らしたから俺達は、失敗した」

 「了解、学園のデータベース、裏サイトをハッキング開始」


 岳は、流れるような手つきで、膨大なタイピングを繰り返す。そして、遂に、その声は出た。


 「ビンゴ! 答えがでたよ」


 ビンゴちゃんの声を聞き、俺達はパソコンを覗き込む。

 其処には、該当の人物と、人間関係、それに至った経緯、そして、原因が事細かに表示されていた。

 予想は、無慈悲にも想定通りのものであった。その人物は......


「「石黒彩香」」

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